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さすらいの女王52

时间: 2020-10-22    进入日语论坛
核心提示:私のお部屋に来て! 新しい年を迎えたから、という動機では全然ないのだが、「ミクシィ」というものを始めた。「ミクシィ」とい
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私のお部屋に来て!
 
 新しい年を迎えたから、という動機では全然ないのだが、「ミクシィ」というものを始めた。「ミクシィ」というのは、インターネットを通じて「お友達」の輪を広げる会員制のコミュニケーションサイトである、らしい。「らしい」というのは、いまだに女王様がシステムをよく理解してないからであるが、まぁしかし、システムがわかってなくても何となく始められちゃうところがインターネットの便利さなのであった。
 それにしても、インターネットを通じてお友達を増やしたい、などと考えるほど、女王様は孤独に苛まれているのであろうか。
 じつは、そういうワケでは全然ない。ただ、友人が「面白い」と言うので、何となくやってみたくなっただけだ。当初は、面倒臭いから日記も書かないつもりであった。何が悲しくて一銭にもならん文章を書かなくちゃいけないのよ、と、本気で訝《いぶか》っていたのである。何しろ女王様は、小学生の頃から日記をつけるのが大嫌い。しかも、日記なんて本来プライベートなものでしょ? それを不特定多数に向けて公開するなんて、どういうつもりだよ、露出狂なのかい、と、正直、バカにしていたのであった。インターネットで日記を書いている民には、このような傲慢な言い草、まことに申し訳なく思う。この行間に溢れる女王様の嫌らしい「物書きサマサマ自意識」を、どうぞ、思う存分、揶揄してくれたまえ。
 ま、そんなワケで、鼻持ちならない傲慢女王様は、斜に構えまくってほとんど後ろ向きになるくらいの体勢で、件の「ミクシィ」を始めたのである。そしたらさぁ、あーた、だぁれも女王様のお部屋に来ないのよ。他の人の部屋を覗くと、お友達が十人も二十人も登録されてるのに、女王様のお部屋には、いつまで経っても紹介してくれたお友達ただひとり……。
 こ、これは寂しい! なんか知らんけど、むちゃくちゃ孤独じゃん!
 女王様は、我ながら愕然とするほど、この状況に動揺した。つまりですね、自分は人々から全く無視されており、世間からこれっぽっちも存在を認められていないのだ、というアイデンティティの危機をリアルに味わい、まさに現代人の疎外感ってヤツを身につまされて実感したワケですよ。
 皆に私の存在を認識して欲しい、私に興味を持って欲しい、という自己顕示欲がむくむくと頭をもたげ、そのためには日記でも書くか、という気になってしまった女王様は、一銭にもならない文章を書くべくカタカタとキーボードを叩く始末になってしまった。
 バカじゃないのか、本当に。不特定多数に向けて日記まがいのエッセイを書くことを生業としていながら、「ミクシィ」というインターネット内小世間の中で認められたいというちっぽけな願望に突き動かされて、本業より優先して他愛もない日記を必死で書いてるこの私は何者であろうか?
 しかも、相変わらず友人の数はたいして増えず(現在、ようやく三人……トホホ)、日記にはほとんどレスもつかず。それほど女王様の文章には魅力がないのか、と、膝から崩れ落ちそうな気分の今日この頃である。ミクシィよ、厳しい現実を教えてくれてありがとう。本気で感謝してるぜ!
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