先日、HPに送られてきた読者の方からのメールが、女王様の心をズキンと突いた。
「もう以前のような軽妙で自虐的な爆笑エッセイは書かないのか、あるいは書けないのか」
と、その人は、このように女王様に問いかけてきたのであった。
「書かないのか、あるいは書けないのか?」
女王様は、彼の問いかけを自分の胸に質《ただ》してみた。作風が変わった、内容が重くなった、という批判は、以前からいただいている。が、彼の口調にはまったく批判めいた調子はなく、ただ知りたいから質問してみました、といった感じだったので、女王様も素直に受け止める気になったのであろう。批判されると、人はついつい頑なになっちゃうからなぁ。
で、その質問に対する女王様の答はというと、
「今は書けない」
これであった。というのもですね、この連載をずっと読んでくださっている方はお気づきかもしれないが、女王様は現在、「軽鬱状態」なのである。月刊と違って週刊連載は、刻々と変わっていく書き手の精神状態が、修正する余裕もなく如実に表れてしまう。いや、そのような精神の揺らぎが露出してしまうのは、ひとえに女王様の稚拙さゆえなのであろうが、取り繕うこともできず笑い飛ばすこともできないくらい、昨今の女王様はどんよりと暗く澱んでいるのであった。
思えば、この軽鬱状態、もうかれこれ一年くらい続いているような気がする。買い物だホストだと乱痴気な空騒ぎをしていた頃は、我ながら一種の「軽躁状態」であった。そもそも浪費なんて、「躁」の典型的な症状なのだ。女王様の場合は、この「軽躁状態」が十年以上も続き、その反動で、去年あたりから「軽鬱状態」に入ってしまったのではないか、と、このように自己診断している次第である。大変スパンの長い躁鬱病なのだと思えば、まぁ納得できないこともない。
だから、以前のように自虐的に己の愚行を笑い飛ばすような文章は、書きたくても書けないのだ。そして、いつになったら再び書けるようになるのか、残念ながら自分でもわからないのであった。しかし、そこはあくまで前向きな女王様であるから、「鬱なら鬱で、鬱状態でしか書けないことがあるだろ」くらいに思っているので、あまり深刻に悩んでいるわけでもない。つーか、深刻に悩み始めたらますます鬱が悪化して何も書けなくなるのではないか、という恐怖があるため、できるだけ気楽に構えるよう自分に言い聞かせているのだ。書けなくなったら、洒落にならんからね。
で、前回報告したように、先日からミクシィなるものを始めたワケなのだが、そこの日記ではバカバカしい自虐ネタをポツポツと書いて、女王様なりのリハビリをしているのだった。金を貰う原稿ではないので、気負わずに書けるし、何より短くてすむからリハビリにはちょうどいい。最近は、もっぱらウンコネタである。何と言っても、これ、女王様の原点ですから。初心に帰ったってコトかしら?
長い人生、躁もありゃ鬱もあるさ。できるだけ軽度ですませられるよう努力するくらいしか、我々にできることはないのである。