返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

ショッピングの女王03

时间: 2020-10-22    进入日语论坛
核心提示:痩せるボディシャンプー 前回の買い物で、はからずも胸の貧弱さを暴露してしまった私であるが、じつは肉体に関する悩みは他にも
(单词翻译:双击或拖选)
 痩せるボディシャンプー
 
 前回の買い物で、はからずも胸の貧弱さを暴露してしまった私であるが、じつは肉体に関する悩みは他にもある。
 ウエストから腹にかけて、ルノワールの裸体画と見まがうばかりの豊満な脂肪……いや、ルノワールの女は胸もそれなりにあるから、まだマシだよ。胸がなくて腹だけ出てるんじゃ、そりゃ女というより、中年オヤジ体型ではないか!
 こりゃ、マズい。今さら胸を大きくするのが無理なら、腹の脂肪だけでも、なんとかならないものか……。
 そんな私の目が、ある日、女性誌の広告ページに釘付けになったのである。
 痩せるボディシャンプー……これだよ、これ!
「無理なダイエットや苦しい運動とは、もうサヨナラ。お風呂で身体を洗うだけで、見る見るボディラインが引き締まる!」
 素晴らしい! 努力や我慢の嫌いな女にとって、これほど魅力的な商品があるだろーか?
 ジムやエステに通うのは面倒だが、お風呂なら毎日入るのも苦にならない。ああ、医学(なのか?)は、ここまで進化したのねっ! 身体を洗うだけで痩せられるなんて、まるで夢のようなお話!
 たちまちポーッとした私は、すぐさま通販用フリーダイヤルに電話して注文し、ワクワクしながら商品の到着を待ったのであった。ところが……。
 商品が着くまでの十日ほどの間に、やや冷静になってきた私の頭には、ある苦い過去の記憶が徐々に蘇ってきたのである。
 そういえば……身体を洗うだけで痩せるって売り文句、前にもどこかで聞いたよな。そして、その時も私は、目を輝かせて飛びついたような気が……そうだ! あれは、中国製の「痩せる石鹸」だぁーっ!
 読者の方は、ご存じだろうか? 二年ほど前に、クチコミと女性誌に煽《あお》られて、爆発的に売れた「中国の痩せる石鹸」を!?
 身体を洗うだけで脂肪が取れるという、中国三千年の神秘が産みだした魔法の石鹸。私が二千円で購入したその石鹸の正体は、じつは中国で百円(笑)で売られている粗悪な安物石鹸であったのだ!
 確かに、泡立ちはムチャクチャ悪かった。けど、それは石鹸に含まれる薬効成分のためだと思ってた。匂いも、なんだか安っぽかった。でも、ありがたい中国三千年の石鹸に、チャラチャラした香水の匂いなんて似つかわしくないと、逆に頼もしく感じたものだ。
 しかしそれが、ホントに安物の単なる石鹸だと知った時……中国三千年の魔法は泡のように消え去り、裸の私が風呂場にポツンと残された。まるで、十二時過ぎのシンデレラ……しかも妖精の魔法は詐欺だった、というミもフタもない結末で。
 その後、その石鹸は風呂場の片隅に忘れ去られた。再びその存在が脚光を浴びたのは、泊まりに来た父親が何も知らずにその石鹸を使い、風呂からあがるなり「おまえの家の石鹸、泡が全然立たないぞ。安物だろ、あれ」と文句を言った時である。
 父ちゃん、それはあんたの娘がまんまと騙された「痩せる石鹸」なんだよ。美容とは縁もゆかりもない初老の男が、娘の「痩せる石鹸」でゴシゴシと身体を洗ってる光景は、想像しただけでやるせない。
 そうだった……と、今や、すべてを思い出した私は、殺伐とした気分で考えたね。
 この世には、魔法なんかないんだよ。身体を洗うだけで痩せられるなんて、そんなうまい話があるものか! もしかしたら、今度のボディシャンプーも、とんでもない詐欺なのかも……。
 ああーっ、私って、私って……何度、騙されたら気がすむのっ(しかも、まったく同じ手口に)!
 でもまぁ、一抹の希望はあるのだ。というのも、二年前のは中国製の石鹸だったが、今回のボディシャンプーはドイツ製なのである。ドイツといえば、医学の国。しかも、真面目なお国柄。いえ、中国のお国柄がフザケてるって意味じゃないですけどね。
 そんなワケで、今日も女王様は、ドイツの魔法のシャンプーで身体を洗っている。ま、こーゆーのは宗教だからさ。信じる者は救われるのだ。二年前は救われなかったけどね。フン!
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%