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燃えよ剣34

时间: 2020-05-26    进入日语论坛
核心提示:与兵衛の店「土方歳三を斬る」というはなしが伊東一派のあいだで真剣に論議されるようになったのは、|この《ヽヽ》前後《ヽヽ》
(单词翻译:双击或拖选)
与兵衛の店

「土方歳三を斬る」
というはなしが伊東一派のあいだで真剣に論議されるようになったのは、|この《ヽヽ》前後《ヽヽ》からであった。
この前後、——つまり、新選組が、京都守護職|御預《おあずかり》浪士という身分からはなれて、徳川家の直参に御取り立てになる、というはなしが具体化しはじめたころである。
新選組年譜でいえば、かれらが京洛の地で四度目の秋をむかえたころであった。
慶応二年初秋。
参謀伊東甲子太郎は、表むき、
「江戸のころの仲間の供養をする」
という届けを隊に出し、伊東派のおもだった者を、洛東京都守護職|御預《おあずかり》浪士という身分|泉涌寺《せんにゆうじ》山内の塔頭《たつちゆう》、戒光寺にあつめた。
あつまったのは、伊東の実弟である新選組九番隊組長鈴木三樹三郎、同監察篠原泰之進という大物のほかに、伊東の剣術の内弟子であった内海二郎、中西登。それに伊東の江戸以来の同志の伍長加納★[#周+鳥]雄、同服部武雄、同監察新井忠雄などである。
そのほか、たった一人だが、新選組以外の人物がまじっていた。
その人物、柱を抱くようなかっこうで、だまっている。
戒光寺の方丈の一室がこの密会所で、縁側のむこうは、東山の崖をとり入れた灌木《かんぼく》の多い庭になっていた。
初秋だが、陽ざしはあつい。
風は、崖のうえの大紅葉《いちぎよういん》の老樹のあたりから吹き落ちてくる。
「伊東さん、離脱。その一手だよ。いまさらむずかしい相談も策もありゃせんじゃないか」
と、篠原泰之進はいった。維新後、秦林親《はたしげちか》と名乗って官途につき、ほどなく悠々自適して明治末年八十四歳という長寿で死んだこの久留米浪人は、どこかのんきそうなところがあって、めんどうな策謀がきらいだった。
「あんたはね、伊東さん」
と、篠原はいった。江戸以来の伊東の仲間だが、としは七つ八つ上である。
「未練だよ。事ここにいたっても、なお新選組を乗っ取って、勤王の義軍にしたいとおもっているのだろう」
「思っている」
「策の多いひとだ。なるほどいまの新選組も三転している。はじめは清河八郎が作り、ついで芹沢鴨が斃されて近藤一派が乗っ取りはした。四度目は伊東甲子太郎」
と、篠原は、首筋を鉄扇でぴたぴたたたきながら、
「そうは問屋がおろすかねえ。いまの新選組には桶屋が居るよ」
「桶屋?」
「土方のことさ。野郎は、武州のころは薬売りをしていたそうだが、じつは桶屋だね。ぴたっと板を削って、大石を投げこんでもゆるまねえような|たが《ヽヽ》を締めてやがる」
「篠原君、よくみている」
と、伊東甲子太郎は、微笑した。
「その桶屋を」
「斬《や》るかね」
「そう」
伊東はうなずきながら、
「土方さえ殺《や》れば、あとは馬鹿の近藤さ。説けば勤王になる。私には、たびたび中国筋へ同行して、自信はある。あれは、可哀そうに、政治とか思想とかというものが好きなおとこだ。きっと鞍替えをさせてみせる」
「すると、問題は桶屋か」
篠原はくすくす笑いながら、
「しかし、強いぜ」
ぴしゃっ、と鉄扇で首の根をたたいた。秋の蠅が、ころりと膝のうえに落ちた。
「篠原君、なにも君にやってくれとは、私はいっていない」
と伊東がいった。
「多勢でやるのかね」
「さあ、それを相談《はか》ろうと思っている」
「斬るなら、一人だね」
と、篠原は蠅をつまんで縁側まで立ってゆき、そこで捨てた。
「伊東さん、一人でやらなきゃ、この一件は露顕《ばれ》るよ。ばれりゃ、事だ。近藤なんざ馬鹿だからいきりたって復讐するだろう。勤王にひきこむなぞは、水の泡になる」
「そこを私も考えている」
と、伊東は縁側の柱のほうをチラリとみた。
そこに、例の男がいる。
莨《たばこ》を吸っている。狐色の皮膚が、半顔、庭の照りにはえてうっすら苔がはえたように青くみえた。
唇が薄く、右の小鼻から|しわ《ヽヽ》が一本、唇のはしへ垂れている。
六年。
この男も老いた。
武州八王子の甲源一刀流道場のかつての塾頭七里研之助である。
長州、薩摩屋敷に流寓《りゆうぐう》していたが、いまでは、京の勤王浪士の顔役のひとりである。伊東甲子太郎を薩摩の中村半次郎(桐野利秋)に手びきしたのも、七里の働きである。
「じつは七里さんが」
と、伊東はいった。
「浪士連をあつめて斬《や》りたい、とおっしゃっている。七里さんのいうところでは、われわれがやると、きっと洩れる。代行してさしあげる、とおっしゃるのだ。われわれとしては能のない話で汗顔のいたりだが、そうやってもらうとあとの仕事がやりやすい。近藤をひきよせて隊を勤王の義軍にする、ということが」
「しかし七里さん。あの用心ぶかい桶屋をどういうぐあいにおびきだすのです」
と、篠原が、縁側へ顔をむけた。
逆光のなかに、七里研之助がいる。ぽん、と|きせ《ヽヽ》る《ヽ》の雁首《がんくび》で吐月峰《はいふき》をたたき、ひどく小さな声でいった。
「あの男の性分は心得ています。ふるい|つき《ヽヽ》あい《ヽヽ》ですからね」
「どうやら、怨恨がありそうですな」
「いや、皇国のためです。新選組を倒幕の義軍たらしめるには、この程度の危険はなんでもないことです。あなたのおっしゃるあの桶屋ひとりを斃せば、新選組の|たが《ヽヽ》は、ばらばらにはずれる」

その翌日、伊東甲子太郎は、腹心の新井忠雄をつれて、尾州名古屋に発った。
——尾州徳川家の動向が微妙である。
と伊東はいい、その情勢を見てくるというのが近藤への理由だが、本心は、尾州藩における勤王派との意見交換であった。というより、その奥に、もう一つ本音《ほんね》がある。
留守中に七里が土方歳三を殺《や》る。おそらく隊中大さわぎになるだろうが、その巻きぞえを食わぬ用心のためである。
——七里さん、私は九月の二十日すぎには帰洛する。仕事はそれまでにねがいたい。
と念をおしてある。
歳三。——
むろん知らない。
近藤がちかごろ屯営に落ちついているのをさいわい、隊内《なか》は近藤にまかせて、しきりと市中巡察に出ていた。
いつも、何番隊かを交替でつれてゆく。
歳三が京の市中に出れば、大路小路は、シンと水を打ったように静まるといわれた。
その日、沖田総司の一隊をつれて、夕刻から屯営を出た。
高辻の山王社の前で落日をみた。ふりむくと、境内の大銀杏のむこうに赤光《しやつこう》を西山《にしやま》の雲にしたたらせながら、陽がおちてゆく。
「豊玉《ほうぎよく》宗匠、句ができませんか」
と沖田がからかった。
「おれァ、秋の句がにが手でね」
「四季、どの季題ならいいのです」
「春だな」
「ふうん」
意外なことをいう、という顔を、沖田はしてみせた。
「土方さんが、春ですかねえ」
「不満かね」
「べつに不満じゃありませんが」
「おれは春なのさ」
なるほど、沖田がのぞいた例の「豊玉発句帖」にも、春の句が圧倒的に多かった。
一見冬の骨のこごえそうな季感を、この男の性分なら好きだろうと思ったのだが。
「春の好きなひとは、いつもあしたに望みをかけている、と云いますね」
「そうかね」
東洞院《ひがしのとういん》を北上した。
ここから六角《ろつかく》にいたるまでのあいだ、諸藩の京都屋敷が多い。水口藩《みなぐちはん》、芸州広島藩、薩摩藩、忍藩《おしはん》、伊予松山藩。
このあたりの京都詰めの藩士も、道で新選組巡察に行きあうと、そっと道を避ける。
蛸薬師《たこやくし》の角まできたとき、隊士一同提灯をつけた。
「総司、ちょっと思惑がある。ちょっとそこまでひとりでぶらぶらするから、ここで別れよう」
「どこへいらっしゃるんです」
とは、沖田はいわない。
沖田は、歳三がどこへゆくかを、おぼろげに察している。
「では、お気をつけて」
「ああ」
歳三は、蛸薬師の通りを西へ歩いた。
例の女の家である。お雪。
女は、いた。まるで歳三の来るのを待っていたかのように、淡く化粧《けわい》をしていた。
「そこまで来たので。——」
と、歳三は女の顔から眼をそらしながらいった。この男が、これだけの羞恥をみせるのは、ないことである。
「ご迷惑だろうか」
「いいえ。おあがりくださいまし。いまお茶を淹《い》れますから」
訪ねるのはもう七、八度目で、お雪はすっかり物腰がやわらいでいる。
が、歳三はお雪の手もにぎらない。どういうものか、この男には似ず、お雪にだけはそういう振舞いに出たくなかった。
いつも、世間ばなしをして帰る。
江戸のはなし。子供のころのこと。義太夫のこと。京の市井《しせい》のことなど。
歳三は、お雪の前ではひどく饒舌《じようぜつ》な男になった。近藤や沖田が、もし蔭で歳三をみていたら、別人ではないかとおもったろう。
子供のころの話など、まるで際限もなくしゃべった。
お雪は、頭のいい聴き手だった。いちいちうなずいたり、低くて響きのいい笑い声をたてたり、ときには、つつましくまぜっかえしたりした。
歳三はふしぎな情熱でしゃべった。とくに想い出ばなしになると、熱を帯びた。
まるで、自分の一代のことを、お雪に伝えのこしておきたいというような情熱だった。
「お袋はね。三つのときに亡くなった」
と、他人がきけば愚にもつかぬはなしである。
「お雪さん。あなたは武州の高幡不動《たかはたふどう》というのを知っていますか」
「ええ、名前だけは」
「母親はあの村の出でね。女のくせに酒がすきだったそうだ。その血は、姉のおのぶも受けていて、夜はかならず銚子の一本か二本は|から《ヽヽ》にしている」
「そのおのぶさまが、お母様がわりだったのでございますね」
「むこうはそのつもりだったのだろう。私は姉よりも姉の婿の佐藤彦五郎というほうに懐《なつ》いて、石田村の生家にいるときよりも日野宿の佐藤家にいるほうが多かった。このひとは日野一帯の名主でね、お父さんの代からわれわれの天然理心流の保護者だった。彦五郎義|兄《あに》も、剣は免許の腕です」
「おのぶ姉様は」
と、お雪は女きょうだいのほうに関心がある。
「お母様似でいらっしゃったのでしょう」
「酒だけはね。顔も気象も似ていないそうだ。私の母親は、むろん私などはおさなかったからおぼえていないが、姉や兄たちからきくところでは、酒は、こう」
と、いいかけて歳三は口をつぐんだ。
いままでどうして気づかなかったのかとおもうのだが、小さな発見があった。それが胸の中でぱちんと弾《はじ》けて、胸いっぱいに驚きとなってひろがった。
(この女に似ている。——)
自分がなぜ、しげしげとこの家を訪ねてくるかが、自分でもやっとわかった。
お雪という女は、歳三がいままで自分の好みに適《かな》うとして相手にしてきたどの女の型にもはまらなかった。どちらかといえば、以前の貴種《きしゆ》好みな歳三なら、興をひくはずのない型である。それが魅《ひ》かれている。その理由が、自分でもよくわからなかった。
「どうなさいました」
「いや、なに。……」
歳三は、薄手の京焼の煎茶茶碗を、そっと膝もとからひろいあげた。
さりげなく話題を変えた。
「武士になりたくてね」
「え?」
「いや、私がさ。だから小僧のころ、生家の庭に矢竹を植えてね。戦国のころの武士の館《やかた》というものはかならず矢竹を植えたもんだというのを耳にしたものだから、自分もそうするのだといって植えた」
話は、とめどもない。
その|らち《ヽヽ》もない歳三の饒舌を、お雪は貴重なもののように相槌をうってくれるのである。
(このひとは話しに来ているのではない)
と、お雪はおもっていた。
(なにか、別の自分になるために此処《ここ》にきている)
喋る、というのではなく、歳三は、自分の心のなかにある別な琴線を調べるために来ているようであった。
そのくせ、一方では、
(お雪は好い)
と、哀しくなるほど想っている。
(いつかは、抱こう)
そう思いつつ、この家にきてしまうと、そんなとりとめもない饒舌で、かれ自身のわずかしかない時間を消してしまう。
その夜、お雪の家を出たのは、夜|戌《いぬ》ノ刻さがりであった。
どぶ板をふむと、虫の音がやんだ。
星が、満天に出ている。
歳三は、油小路《あぶらのこうじ》をさがって、越後屋町《えちごやまち》という一角に出た。
どの家も戸をおろしていたが、この町に、与兵衛という、酒とあま酒を売る店が、一軒だけあいているのを、歳三は知っていた。
そこへ入った。
先客がいる。
歳三は、あま酒を注文した。
「あま酒かね」
と笑ったのは、親爺の与兵衛ではない。隅の暗がりにすわっている先客である。笑いながら、鯉口を切っていた。
歳三は、すこし離れた床几《しようぎ》に腰をおろした。
「七里かね」
落ちついている。
この執拗な甲源一刀流術者は、諜者でも使ってお雪の家に歳三がときどきゆく、というところまで突きとめているのだろう。ひょっとすると今夜も、歳三がお雪の家を出るところから、七里の諜者がつけていたにちがいない。
七里自身、さきまわりしてこの与兵衛の店に入り、往来を見張っていたものだろう。
「甘酒とは、優しいな」
と、七里は自分の床几から立ちあがって歳三のそばへやってきた。
「やるのかね」
と歳三。
「やらないさ」
七里は、歳三のむかいに腰をおろした。前に、自分の徳利、杯、肴の皿を、コトコトとならべながら、
「おたがい、縁がふかすぎる仲だが、こうして二人っきりで差しむかいになったのははじめてのようだな」
といった。
歳三は、だまっている。
「土方、今夜はゆっくり語ろう」
「ことわる」
と、歳三は顔をあげた。甘酒がはこばれてきた。
「話さないのかね。いかに縁がふかくても喧嘩縁じゃ仕様がねえとこのおれはおもうんだが、お前が話さねえというならこいつはどうにもならねえ。執念ぶけえこった」
「執念ぶかく祟りゃがるのは、そっちのほうだろう。堀川じゃ、あやうく命をおとしかけた」
「土方、お前は生まれ落ちるときに、どなた様に願をかけたかは知らねえが、ずいぶんご冥加《みようが》なことだ。しかしどうだろう。おれもこんな因縁めいた仲てのは性《しよう》にあわねえから、二人で因縁切りの修法《しゆほう》をやってみねえか」
「二人でかね」
「お前も、土方歳三といわれた男だ。男と男の因縁切りの修法に、助人《すけつと》や加勢を呼ぶことはすまい」
「お前は?」
「七里研之助だ。古めかしいが熊野誓紙にかいて渡してもいいぜ。もっとも土方、お前のほうは|あて《ヽヽ》にゃならねえが」
「武士だ」
歳三は、みじかくいった。武士である。遺恨は一人対一人で始末をつけあうべきだろう。——七里研之助も、歳三が当然そう答えることを期待していたようにうなずき、
「お前の武士を信じる。時は、後日を約するとおかしな水も入るだろう。いますぐ、はどうだ」
「場所は?」
と歳三はいいかけてすぐ畳みこんだ。
「おれにまかせるだろうな。受けたほうがきめるのが定法のはずだ」
七里に指定させると陥穽《かんせい》があるかもしれないとおもったのである。
「二条河原なら、人は来るまい」
「よかろう」
といって七里は、すぐ奥へ声をかけた。
「親爺、駕籠を二挺よんでくれんか」
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