川のそばへやってくると、雨あがりでふえた水が、ごうごうとながれています。
「こりゃあ、へたにわたったら、水にのみこまれてしまうぞ」
みんなはきしにたちどまって、どうしようかとなやんでいました。
すると村の人がきて、あさいところをさっさとわたっていきましたので、みんなもまねをして、そこからわたっていきました。
そして、むこうのきしへつくと、
「どうだい、みんなちゃんとわたったかい?」
と、おたがいに人数をかぞえてみました。
ところが、六人いたはずなのに、いつのまにか五人になっています。
「おい、一人たりないぞ」
それというのも、みんなじぶんを数にいれないでかぞえるので、なんどやっても五人になってしまうのです。
でもだれも、そのことに気がつきません。
「ああ、なかまを一人なくしてしまった」
と、みんなはかなしがってなきだしました。
するとそこへ、一人の男がとおりかかって、
「みなさんは、なぜ、そんなにないているのですか?」
と、たずねました。
みんなが、なかまを一人なくしてしまったことをはなしますと、その男は、一人たりない理由がすぐにわかりました。
でも、みんなをからかってみたくなって、わざとむずかしい顔をしていいました。
「じつは、わたし魔法使いなのです。もしみなさんがおれいをくださるなら、その人をとりもどしてさしあげましょう」
「おねがいします。おれいに、銀貨を五十まいあげましょう」
と、みんなはやくそくしました。
するとその男は、じぶんがもっているつえをふりあげると、
「これは、魔法のつえです」
と、いって、みんなの背中をじゅんじゅんにたたいていきながら、
「一人、二人、三人、四人、五人、???そして、六人」
と、かぞえていきました。
「ほら、六人になったでしょう」
魔法使いはとくいそうに、みんなを見わたしながらそういいました。
みんなはいなくなったなかまを、この人がとりかえしてくれたのだと思って大よろこびです。
「おかげさまで、なかまがたすかりました」
と、なんどもおれいをいいました。