「ハグリッドったら、背中に何を隠かくしてたのかしら」
ハーマイオニーが考え込こんだ。
「もしかしたら石と関係があると思わない」
「僕、ハグリッドがどの書しょ棚だなのところにいたか見てくる」
勉強にうんざりしていたロンが言った。ほどなくロンが本をどっさり抱かかえて戻ってきて、テーブルの上にドサッと置いた。
「ドラゴンだよ」
ロンが声を低めた。
「ハグリッドはドラゴンの本を探してたんだ。ほら、見てごらん。『イギリスとアイルランドのドラゴンの種類』『ドラゴンの飼かい方かた――卵たまごから焦しょう熱ねつ地じ獄ごくまで』だってさ」
「初めてハグリッドに会った時、ずーっと前からドラゴンを飼いたいと思ってたって、そう言ってたよ」ハリーが言った。
「でも、僕たちの世界じゃ法ほう律りつ違い反はんだよ。一七〇九年のワーロック法で、ドラゴン飼し育いくは違い法ほうになったんだ。みんな知ってる。もし家の裏うら庭にわでドラゴンを飼ってたら、どうしたってマグルが僕らのことに気づくだろ――どっちみちドラゴンを手なずけるのは無理なんだ。狂暴きょうぼうだからね。チャーリーがルーマニアで野や生せいのドラゴンにやられた火傷やけどを見せてやりたいよ」
「だけどまさかイギリスに野や生せいのドラゴンなんていないんだろう」とハリーが聞いた。
「いるともさ」ロンが答えた。
「ウェールズ・グリーン普ふ通つう種しゅとか、ヘブリディーズ諸しょ島とうブラック種しゅとか。そいつらの存在の噂うわさをもみ消すのに魔ま法ほう省しょうが苦労してるんだ。もしマグルがそいつらを見つけてしまったら、こっちはそのたびにそれを忘れさせる魔法をかけなくちゃいけないんだ」
「じゃ、ハグリッドはいったい何を考えてるのかしら」
ハーマイオニーが言った。