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ぼくのコドモ時間11

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:三本のエリマキ雪の日は、ふとんで目のさめた時に、もうそれとわかるんですね。なんとなく明るい。いつもより、雨戸の節穴から入
(单词翻译:双击或拖选)
三本のエリマキ

雪の日は、ふとんで目のさめた時に、もうそれとわかるんですね。なんとなく明るい。いつもより、雨戸の節穴から入った光が障子にうつってる量が多い。
で、すぐにはね起きて、雨戸をあけようとすると重いです。ホラ見ろ雪だぞ! と思いながら思いっきり力まかせに雨戸を引いたとたん。
まっ……………白!
になってるの。なんでですかねえ、あれはとってもうれしいもんでした。外がまるごと新品になったみたいな、寝ている間に家が空飛んで南極に着陸したみたいな、とにかく、非常にうれしい。
川端康成さんは、トンネルを抜けたら雪が積もってたのが気に入って小説の書き出しにそれを書いてますが、やっぱり、
突然に銀世界………
っていうのが、カンドウするんでしょうね、雨戸で部屋の中が暗いところへもってきて、
パァーッ
と明るい。で、いつもとぜんぜん違う! っていうのがポイントですね。だから雪がちらちら降りだすところ、なんていうのも、わりといいもんではあるけど、ボクはやっぱり、ぜんぜん知らなくて朝起きたら突然! ってのが好きです。
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お盆に雪を盛ってきて、さっそく�雪うさぎ�をつくったりします。�雪うさぎ�はちょうどカレーの�ライス�みたいに、両手ですくった雪をかためたところへ、南天の実なんかの赤い実を目玉に、つばきの葉っぱなんかで耳をつけて、できあがりで、これは雪がそんなに積もってなくても、なんとかできる雪遊びです。
もうちょっと降ると雪ダルマですが、これはかなり積もってないとキレイな雪ダルマができないんですね。最初は雪合戦のタマみたいに固く握った雪のかたまりを、どんどん大きくつくっていって、ある程度の大きさになったら、これをコロコロ転がしてやると�雪ダルマ式�に大きくなっていくんです。ところが雪がそれほど積もっていない時は、泥もいっしょについてきてしまって、雪ドロダルマになるんで、どうもいただけない。
東京ではキレイな雪ダルマがつくれるほどに雪が降るっていうのは、そうたびたびはないんで、そんな大雪が降った時のことっていうのは、よく覚えているもんなんです。
東京で七十センチか八十センチの大雪が降った日、六歳のボクは記録的な�なくし物�をしてしまったんでした。朝、目をさましたら、雪です。しかも、ものすごい大雪、ボクはゴハンもそこそこに外にとび出して、原っぱの、まだダレの足跡もついてないところへ行って、バッターンと顔から倒れてみたり。低い石垣に積もった雪に、等間隔に自分の顔をハンコを押すみたいにつけてみたり、そのうちに、やっぱり雪に誘われて出てきた、近所のみんなと雪ダルマをつくったり、しょんべんで字をかいたり、そりゃあもう楽しいんですよ。
で、気がついたら、うすい空色の地に白くまの絵が入ったエリマキが、ない。エリマキがなくたって、遊ぶのに不都合はないんだが、一応、動き回ったところをチェックしてみたんですね、原っぱのほうとか、工場のほうとか、土手のほうとか、行ったところ全部調べたけどないの。
で、まァ、しかたないから家へ帰ってね、一応報告した。叱られるなァと思ったんだけど、意外にカンタンに、じゃ、これしてきなさいって、こんどは黒と緑のビロードのマフラーを出してきてくれた。
まァ、そうそうない�大雪の日�なんだし、エリマキの一本くらいは大目にみてあげようと、母タカコは思ったんでしょうね。で、ボクはそんなに叱られない上に、新しいマフラーまで与えられたんで、また大喜びでとび出していった。
原っぱに行くと、みんなで雪合戦になってる。これがもう、雪がおなかのへんまでもぐっちゃうからおもしろいのなんの、ぜんぜん寒さなんて感じないんだな。ものすごくでっかい玉を投げるやつがいたりして、びわの木をゆさぶって雪を落とすのがいたりして、その上、雪がいっぱい積もってるもんだから、いつもは通れないところが通れたり、なにしろ楽しい。
で、ふと気がついたら、ビロードの緑と黒がない。うわー、マズイなァと思ったんで、また抜け出して、いっしょうけんめい捜すんだけど、これがぜんぜん見つかんないの。みんなは、こんどはスキーに挑戦してて、下駄に竹をうちつけたのとか、みかん箱の底に竹の割ったのをくっつけたので、雪の坂をすべったりしてる。楽しそうだな、やりたいなァ、と思うけどエリマキも捜さないといけないから、もうボクはそこらじゅうホンソーしてるんですよ。
とうとう見つからないので、家に帰って、もういきなり正直にあやまった。
「エリマキを二本なくしたのは私です!」
母タカコ、目を丸くして、
「またなくしたの!? さっきわたしたと思ったら、またなくした!?」
まるでエリマキを捨てに行ってるようだね、この子は、とあきれたが、じゃあしかたないと言って、こんどはホームスパンのショール(お父さんに買ってもらったイイ|ヤツ《ヽヽ》)を出してきた。
〈二度あることは三度あるっていうけど、まァ、一日に三度もエリマキをなくすほど、うちのコはマヌケではないだろう〉とタカコが思ったとしても、これはマチガイではないだろう。二度までも許したのだ、こんどこそはなくすんじゃないよ、と言って、彼女は我が子を、またぞろ外へ放ったのである。
果たせるかな、ホームスパンもまた、十数年に一度の大雪の中に吸い込まれてしまった。「吸い込ましたのは私です」と正直に申告する手は、もう使えない。
ボクは幼少のころは責任感の強いコドモだったのだ。我ながらあまりにも情けないではないかと天を仰いで泣いたかもしれない。ともかく見つからない。三本もなくしたんだから、そのうちの一本くらいは見つかってもよさそうなものなのに、みごとに三本とも出てこないのだ。
ボクは昼時になっても帰らずに、あちこちを捜し回った。そうして、もうあたりが暗くなったころに、ついにカンネンして家へ帰っていったところは覚えているんだけど、その時にこっぴどく叱られたのか、泣いてあやまったのか、天井にぶらさげられたのか、竹槍でつつかれたのか、まるっきり覚えていないのだ。
おそらくは、一家じゅうがあきれて、物も言えなかったのではなかったろうか? しかし、ボクはそれ以後、責任をとってエリマキは使わないことにした。〈あるからなくすのだ〉と思ったのだろう、エリマキをふたたびするようになったのは、結婚してからだ。結婚して七年間のうち、三本なくして、一本は返ってきた。何が言いたかったのかというと、まァ、エリマキというのはとかくなくなりがちのものだということだ。
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