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笑う茶碗03

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:草笛光夫さんのこと草笛光夫は本名ではない。草笛光夫さんの本名が何というのか、それは知らない。それが本名でないと、なぜ分か
(单词翻译:双击或拖选)
草笛光夫さんのこと

草笛光夫は本名ではない。草笛光夫さんの本名が何というのか、それは知らない。
それが本名でないと、なぜ分かるのかといえば、草笛光夫は、私とツマが勝手にその人に命名した名前であるからなのだ。
草笛さんにはじめて会ったのは、一年前の春だった。我々は近所を散歩していて、隣の町内の小さな公園で腰を下ろして一服していたのだった。
我々は散歩が好きで、同じくらい散歩の途中に一服するのが好きだ。何かというと一服する。
火をつけて、大きく吸いこんで、さて吐き出そうとする時に、ツマが小さく肘で私をつついた。
ライターを催促されたのかと思って、それを渡すと、
「そうじゃなくて……」という目顔で前方をさししめすようにする。
さしておそい時間ではなかったけれども、先刻から公園には我々のほかには誰もいなかったのだが、今、前方の植込へ身をのりだすようにしている初老の人がいた。
我々に背を向けるような格好で、その人は、枝から葉をちぎっているようだった。
痩せぎすの小柄な体を際立たせるように、長袖のポロシャツをズボンにたくしこんで、きっちりベルトを締めている。足許は、散歩をするにはちょっとフォーマルな黒の革靴である。
そうしてその姿勢、我々に背を向けたなりの姿勢で演奏を始めたのだった。
先刻の動作が、楽器を調達するところだったというのが、それで知れた。おじさんは草笛を吹きだしたからである。
♪静かーな、静かな、里の秋……
と草笛で歌った。お瀬戸に木の実の落ちるところもやった。
この曲は戦争中「星月夜《ほしづくよ》」という題でつくられていた曲である。一九四五(昭和二〇)年終戦となり復員が始まった、NHKではこれらの人々のための情報番組「復員だより」を放送したが、これに先立つ特集番組の中で、復員兵を歓迎する歌を要請、急遽、作詞者斎藤信夫の手によって「星月夜」の三番が改作され、曲名も「里の秋」として放送した。
と、自由現代社の『なつかしい歌・童謡唱歌のほん』に書いてある。書いてあるのを知ったのは今である。歌詞があやふやだったので、いま見たのである。
だからその時は、なんだかさみしい曲だな、と思ったきりだった。
次におじさんは「旅愁」をやった。
♪更けゆく秋の夜、旅の空の……というアレだ。
たいがいツーコーラスずつ演奏する。
「秋だね……」と私は言った。
「春なのに……」とツマが言った。
おじさんのテーマは秋なのかな、と小声でそう言っていると、今度は、
♪うさぎ追いし、かーのーやまー……になった。出たなァ、きわめつけだなあ。おじさんのテーマは「さみしい」やつかもしれない。
三曲きっちりツーコーラスずつやるとおじさんはスタスタ帰ってしまった。我々はおじさんがどういう人なのか、それぞれ思うことを述べあった。
「おじさんはネ、東京の人じゃないと思うな、若い頃、っていうか少年時代、彼女の前で草笛吹いたことがあってねえ、イイ感じになったことがあったと思う」
と私が言った。
「いや、草笛光夫はね……」
とツマが、いきなりここでおじさんに名前をつけてしまったのである。
「日本草笛友の会の会員だと思うね、それで草笛を吹くようになったのは、意外にも、定年退職後で、そう昔ではない。今はかなり上達したので指導員の資格も持っているのだ」
「草笛友の会では、カルチャーセンターで教室も開いているね」
「あんまり人は集まんないんだけどね、それと男が多い。っていうか男ばっかり」
「女性会員もほしい。決してそういった意味合いじゃなくですね老若男女、誰でも手軽に楽しくできることでもあり、とかく明るい話題に乏しい現代の都市生活にうるおいを与えるといったメリットもある」
「だけどどうしても曲調が、悲しい方向にいっちゃうのね、草笛っつうものは……」
「うん、ふるわせるからねえ」
「どうしても、ふるわせるね」
「この近所に住んでんのかなあ」
「服装的には出張して来てる感もあるんだけど、でも、比較的近所にお住まいだと私は見たね」
「拍手したらよかったかなァ、三曲たっぷり聴かしてもらったし」
「でも拍手しづらいタイミングだった」
「ずっと後ろ向いてたしなァ」
散歩すると、こんなことに出会ったりするものなのだ。
ところが先日である。自宅のベランダで一服していたツマが、
「しんちゃん、しんちゃん!!」と私を呼んだ。
呼んで家の前の公園のベンチにいるオジサンを指さして言ったのである。
「あれ、光夫じゃないかな?」
以前に草笛さんに出会った公園とは違う、家の前の公園だ。
その時、草笛が何かメロディーを奏でた。「ほらね」
うん、そうだと思えばそうだが、今度のメロディーは何の曲なのか、ちょっとわからなかった。
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