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愛してると言わせて02

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:真夏の夜の屋形船八月のある夕暮れ、私は柳橋から屋形船で隅田川《すみだがわ》を下り、東京湾に出るという「川遊び」に誘われた
(单词翻译:双击或拖选)
真夏の夜の屋形船

八月のある夕暮れ、私は柳橋から屋形船で隅田川《すみだがわ》を下り、東京湾に出るという「川遊び」に誘われた。これを計画したのは「ライターズ・カップ」というゴルフコンペ定例会の事務局で、その名の通り、脚本家《ライター》とテレビ局のプロデューサー、ディレクターたちで作っている会である。
私のゴルフはとても人前では披露できないものなので、コンペには一度も出たことはなかったが、屋形船で夏の夕暮れを楽しむというのは悪くない。これはぜひ参加しようと決めた。決めてすぐにNHKの金沢プロデューサーに言うところが、私の思慮深さである。何しろ、原稿の〆切りが迫っている。
「ね、金沢さん、これはぜひ参加しようと思うんですよ。だって、ホラ、屋形船は両国橋とか永代《えいたい》橋とかの下を通るわけだし、今度のドラマの取材としてはピッタリでしょ。これは何としても一度は経験しておいた方がいいと思うんですよね。やっぱり、ホラ、何ていうのかしら、ドラマに厚みが出るじゃないですか。ねえ」
屋形船で酒盛りをしたところでドラマに厚みなんぞ出るわけもないのである。まして両国橋や永代橋などの付近は「ひらり」の準備段階でスタッフとさんざん歩きつくしている。屋形船で橋の下を通ったところで今さら「取材にピッタリ」なわけもない。
でも、金沢プロデューサーは人間が大きいので、それとも私には何を言っても無駄だと諦《あきら》めたのか、ニッコリと、
「それはいいですね。ぜひ取材されてドラマに生かして下さい」
とおっしゃったのである。
次に私はハタと考えた。張り切って出かけても知らない人ばかりだったらつまらないなァ……と。そこで仲良しの脚本家たちに電話をかけまくった。困るのは仲良しのほとんどが「遅筆」なのである。ホントに年中、ウンウンとうなっては〆切りを守れない人たちばかりなんだわ。でもやっぱり彼らがいないとつまらない。私は幹事でもないのにせっせとダイヤルした。
「行きましょうよォ。机に向かってれば書けるってもんじゃないんだからサァ。川風に当たってお酒でも飲めばいいセリフがドカドカ浮かぶわよ。ね、行こ行こッ」
もう長いことホテルにカンヅメになっている人まで誘い出したのだから、私は「客引き」としてはかなりの腕である。
ここでどんなメンバーが集まったか書きたいのだが、そんなわけでどうも書きにくい。〆切りを前にこっそり来た人たちもいそうなんだもの。事実、ある脚本家は私の顔を見るなり、
「内館さん、ごめんッ!」
と頭を下げた。何ごとかと思ったら、
「昨日、NHKで金沢さんに会って思わず俺言っちゃったの。明日、屋形船で内館さんと会いますよって。言ってからシマッタと思ったんだけど、金沢さんニコニコしてるんだよ。ホントに前から知ってたの? それとも知ってるふりをして、内心引きつってたんじゃないかと思ってサ」
こういうことがあるからプロデューサーに隠れて何かしてはいけないのである。私は「…ひとりでいいの」を書いていた時、隠れて四回も大相撲に行き、四回ともテレビにうつってしまったのである。NTVでアシスタントディレクターが、ふと画面を見て、
「あッ! また内館さんがいる」
と叫んだ時、小山プロデューサーは、
「ウソだろ。今日は葬式だって言ってたよ」
とつぶやいた後で気づいたそうな。
「そういえば、今場所すでに三人死んでる。死にすぎだ。クソーッ、だまされたッ!」
以来、小山プロデューサーは本当にお葬式があっても国技館に行っているに違いないと疑う。こういう痛い経験が私を思慮深く、真っ正直な人間に成長させてくれたのだと思う。
こうして赤い提灯《ちようちん》の揺れる屋形船に脚本家やテレビ関係者が三十人ほど集まった。そして、夕暮れの隅田川を走り始めたのである。ところが、
「きれいだねえ」
「あのビルは何だろう」
などと声があがったのはせいぜい最初の十五分間。窓からの川風を受けながら、お酒片手に久しぶりの人たちと会えば風景どころではない。早い話が相手の顔とグラスしか見ていないのである。これでは船がずっと柳橋に止まっていても誰も気づかなかったろう。
それでも私は「ドラマの厚み」がふと頭を横切《よぎ》り、一度だけ窓辺を見ながら某プロデューサーに聞いた。
「ここ、どの辺でしょうね」
某プロデューサーは答えた。
「サァ、どこだろ。そんなことよりビール? 焼酎《しようちゆう》?」
それにしても楽しい三時間であった。人との出会いというのは、どれほど暮しを楽しくしてくれることか。脚本を書くという仕事は毎回ご一緒するスタッフが違う。私で言えば、ある時期は週に三回もTBSの遠藤プロデューサーと会い、次はNTVの小山プロデューサーと会い続け、今はNHKの金沢プロデューサーと一日に一度は連絡を取りあう。そして、いずれも仕事が終われば次の機会まではパタリと疎遠になる。時々「元気?」と電話をしあうくらいである。
今回の屋形船には、やはりある時期みっちりと会っていたプロデューサーやディレクターが、たくさんいらしていた。久々に会うと、その時期のことがよみがえる。
「あの仕事は楽しかったね。またやろうね」
とグラスを合わせる。
出会いと別れを繰り返す仕事であるだけに、会っている時期は本当に一生懸命に接しなければ……と思わされる宵であった。
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