大阪に、トークの仕事をしに行って来た。テーマはこの「お仕事メレンゲ」。へんなの。このコラム、大阪では読めないはずなんだけどな、まっいいか。
最初は新幹線の中でゲームやりながら行くつもりだったんだけど、突然車で行くことにした。車で行くには早朝に出発しなくちゃなんない。私は深夜二時ごろ、仕事しながら、ある同業者に電話した。「おおい、何してたあ」「深夜番組見てましたわ」「あ、そういえばあんた大阪出身だよね。大阪行こう大阪」「はあ? これからですか」「そ」。
三時間後、私とマネージャーは彼を車で拾って、午後一時には大阪に到着。彼が途中で電話を入れたので、彼のご両親もトークショーを聞きにきてくれた。終わってからごあいさつして、彼のお父さんが社長であることを初めて知る。「息子ももう会社はつがんと思いますんで。どうかよろしくお願いいたします」と言われるお父さんに、「えっと、彼は大丈夫です」などとよくわからない応対をする私。ひと仕事終わってビールを飲みながら、「そっか、社長の息子で長男で漫画家かあ」「でも弟が会社つぐ言うとりますから」。でも、彼の弟って、まだ十五歳くらいなのよね。あー、私も彼のお父さんのように、経営者としてあとつぎモンダイに頭を悩ませたりする日が来るのかしらん、とっても想像出来ないわ。「とにかくもうご両親にごあいさつもしたし、あたしたちこれで結婚しても大丈夫ね」「ちょっと待ってください。こないだTさんにもそんなこと言うてませんでしたか。ああ、おれ何で大阪おんねやろ。さっきまで深夜番組見てたんになあ。何でうどんうまいんねやろ。ずずず」。うどんをすすりつつ軽い離人症を楽しむ大阪出身の叙情派漫画家であった。その後私たちは、知り合ったばかりの将棋プロのお宅のすき焼きの会におしかけ、さんざん大騒ぎしてから東京に帰ってきたのでありました。