埼玉県の教育委員会の人たちが、「女の子の性器もオチンチンと呼びましょう」という内容の入った性教育のパンフレットを作って皆にバカにされているらしい、というのは何かで知ってたけど、まさか自分がテレビ番組でそのことについて何か言ったりするとは思わなかった。
当然、「じゃあ何と呼べば適切なんでしょうね」という話になるよな、そりゃ。そういうわけで、教育問題でもあり、みんなまじめに考えるんだからと、女性性器の呼び名を生放送でいくら言ってもいいことになったのだった。
それを事前に局の人から聞いた私は、マネージャーにその旨伝えた。「あのね、教育についてのギロンだからね、性器の、いつもはほとんど言えない四文字のあの呼び名とか、きっと言うことになるよ」「えっ」。私の財布であり理性でもあるマネージャーは考えた。「ふだんからそれを言うのに何のためらいもないウチダだ、ほっとくと率先して言い放ってしまうに違いない。それはやっぱし、あんまりである」。そんなわけで彼は、「他の方が言われて、必要があったら続けて言わせていただく、というタイミングを心掛けるように」と私に再度念を押したのだった。
しかし当日、そのコーナーのナビゲーターの大島渚さんが最初に「こういうことなんですけどね、内田さんはふだんはそこを何と呼ばれますか?」とおっしゃったため、私がまっ先にその言葉を口にしてしまった。私自身は平気だが、マネージャーはハラホロヒレハレである。でも、あとで「可愛いイントネーションだった」と皆にほめられちゃった。帰ってからマネージャーとも大笑い。なんだか、いい記念になっちゃったって感じ。
番組中、たくさんの電話が掛かってきたそうだけど、誰も怒ってはいなくて、こう呼んだら? という提案ばかりだったんだって。イェイ、日本は変わるぜ! と嬉しい予感のする仕事だったわん。