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寝ながら学べる構造主義28

时间: 2019-12-08    进入日语论坛
核心提示:あとがき構造主義の入門書を書きたいと前から思っていました。構造主義の諸思潮が怒濤のように日本に流入してきたのは、私が仏文
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あとがき

構造主義の入門書を書きたいと前から思っていました。
構造主義の諸思潮が怒濤のように日本に流入してきたのは、私が仏文の学生だったころのことです。
私は「最新流行の思想のモード」にキャッチアップしようと必死になりましたが、構造主義の主著はどれも法外に難解でしたし、やむなく頼った日本語の解説書は、むずかしい概念をただむずかしい訳語に置き換えただけのものでした。それらの書物が何を言おうとしているのか、二十歳の私には結局少しも分かりませんでした。
私が読んでもすらすら分かるような、「ふつうのことば」で書かれたフランス現代思想の解説書はないものだろうか、『涙なしの記号論』とか『いきなり始める精神分析』とか『寝ながら学べる構造主義』というような題名の書物があったら、どれほどありがたいことだろう。二十歳の私はそう切実に思いました。
それから幾星霜。私も人並みに世間の苦労を積み、「人としてだいじなこと」というのが何であるか、しだいに分かってきました。そういう年回りになってから読み返してみると、あら不思議、かつては邪悪なまでに難解と思われた構造主義者たちの「言いたいこと」がすらすら分かるではありませんか。
レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っているのでした。
「なんだ、『そういうこと』が言いたかったのか。」
べつに哲学史の知識がふえたためでも、フランス語読解力がついたためでもありません。馬齢を重ねているうちに、人と仲良くすることのたいせつさも、ことばのむずかしさも、大人になることの必要性も、バカはほんとに困るよね、ということも痛切に思い知らされ、おのずと先賢の教えがしみじみ身にしみるようになったというだけのことです。
年を取るのも捨てたものではありません。
落語の「千早ふる」では、「横丁のご隠居」が熊さん相手に在原業平の古歌の意を説いて、なかなか味のある解釈をします。私もご隠居の驥尾《きび》に付して、「ま、なんだな、この」というような前振りをしながら、構造主義者たちの滋味深き知見を「横丁のみなさん」に説き聞かせてみようと思い立ちました。そうやって書いたのが本書です。
「まえがき」にあるとおり、もとになったのは市民講座のノートです。それに少し手を加えて大学の紀要に載せて、学生さんに「入門書」として読んでもらおうと思っていたら、文春新書の嶋津弘章さんから「何か書きませんか」というオッファーが来ました。渡りに船とさらに書き足したら本が一冊できました。
初稿では、こんなに長くなかったのですが、嶋津さんから「専門用語だけでは分かりません、もっと具体的に」というチェックの入った箇所にぜんぶ「たとえ話」を書き込んだら、いつのまにかこんなに長くなってしまいました。申し訳ありません。
「まえがき」でもお断りしましたが、私はここに紹介した思想家たちの専門的な研究者ではありません。ですから、彼らについての最新の研究動向はよく知りませんし、専門的な論文などは読むと頭痛がしてくるのでなるべく視野に入れないようにしています。そのような人間が解説書を書くという暴挙が許されてよいのか、という疑念はまことにもっともですし、専門的な研究者の中には私の落語的解釈に青筋を立てて怒る人もいるかも知れませんが、そこはそれ、縁側でお茶のみながら、「熊さん」相手に「ご隠居」が長説教しているような本ですから、どうか笑って読み流していただきたいと思います。
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