むかし、むかし、あるところに、ヒバリがいました。
お金を貸《か》すのを商売にしていました。
あるとき、お日さまに、お金を貸しました。だいぶん日にちがたったので、お日さまのところへ行って、
「いつかのお金、かえしてください。」
と、いいました。
すると、お日さまは、
「そんなに急ぐな。今にかえすからな。」
といって、雲の中にかくれてしまいました。
秋になりました。
ヒバリは、また、お日さまのところへ行って、
「いつかのお金、かえしてください。」
お日さまは、
「あとでやる、あとでやる。」
また、そんなことをいって、こんどは、雨をザアザアふらせてしまいました。その雨のため、お日さまが見えなくなってしまったので、ヒバリは、すごすご、帰っていきました。
そのうちに、冬になりました。
つめたい雪がふりだしました。寒い風もふきだしました。
ヒバリは、寒いので、野原の草の巣《す》の中にもぐって、さいそくにも行けずにおりました。
まもなく、お正月が来ました。
もちをついたり、ごちそうを作ったりしたので、ヒバリは、お金を使って、一文《いちもん》もなくなりました。
そのうち、春になって、もう、雪もふらなくなり、寒い風もふかなくなりました。
このときとばかり、ヒバリは、空へのぼっていきました。
しかし、お日さまは、やっぱり、お金をよこしませんでした。
それでも、ヒバリは、空の上で、
「貸した金、よこせ。貸した金、よこせ。」
と、よびつづけました。
今でも、春になると、空へのぼりながら、羽《はね》をバタバタやりながら、あんなに高い声でよびつづけているのは、お日さまへ、お金のさいそくをしているのだそうです。