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海嶺56

时间: 2020-02-28    进入日语论坛
核心提示:重右衛門日記  十一月二日本日も雨来らず。船倉に入り行くに、アカ大方《おおかた》引きて、二寸|程《ほど》残り居るのみ。船
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重右衛門日記

  十一月二日
本日も雨来らず。
船倉に入り行くに、アカ大方《おおかた》引きて、二寸|程《ほど》残り居るのみ。船倉の船尾の方に、何やら黒き影あれば、誰何《すいか》するに答えなし。近寄り行けば、久吉声をしのばせ泣き居たり。言葉かけんにも言葉なし。肩を抱きて吾《われ》又泣く。海に馴《な》れたる吾と雖《いえど》も、日に幾度か涙こみ上ぐるに、久吉が涙するは当然なり。
夜、やや酒を多く振る舞うに、一同の口ほどけ、恨《うら》みつらみとめどなし。帆柱を切りたるが悪しと言うあり。師崎を出でしが悪しと言うあり。岩松の言うことを聞かざりしが悪しと言う者あり。言い合ううちに、故国のことなど言い出し、誰も彼も愚痴《ぐち》をこぼす。例の如く吉治郎泣き、岡廻り泣き、つづけて皆々泣き始むるに、岩松のみ腕を組みて天井を見つめいたり。吾も泣きたき思いなれど、岩松泣かぬに泣くあたわずして吾《われ》言う。雨乞《あまご》いをせんと。
皆々思い直して垢離《こり》を取り、雨乞いを始めんとす。雨乞いの祀《まつ》りは、様々あれど、雨乞い踊りという踊りもあれば、手を打ち叩《たた》きて踊り始む。
「雨、ゆうべ、海竜王《かいりゆうおう》」
と歌いつつ、皆々踊り始む。わけても久吉喜びて、手ぶり足ぶりもおもしろく踊るに、皆々これに従《つ》きて踊りたり。
踊り疲れて一同眠りしは幸いなり。由《よし》なきことを言いて愚痴《ぐち》るよりは、海竜王に雨を乞うかたよろし。今日船倉に泣きいし久吉の、健気《けなげ》に踊りしが、とりわけ心に沁《し》みたり。
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