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海嶺57

时间: 2020-02-28    进入日语论坛
核心提示:重右衛門日記  十一月三日明けて辰《たつ》の刻(二時)と覚ゆる頃、大粒の雨降り来る。昨夜雨乞い踊りを踊りしばかりなり。霊
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重右衛門日記

  十一月三日
明けて辰《たつ》の刻(二時)と覚ゆる頃、大粒の雨降り来る。昨夜雨乞い踊りを踊りしばかりなり。霊験《れいけん》あらたかなるに一同打ち驚き、大いに喜びて、鍋《なべ》、釜《かま》、手桶《ておけ》、水桶《はず》、あらゆる器を胴の間に並べたり。
かくあらたかなる霊験あれば、一同心を奮い立て、帆柱を切りたるも神の御告《おつ》げに従いしこと故、愚痴言うまじ。五十日後には故里の土を踏み得るとの御告げも既に受けたるなれば、悲しむまじと、互いの肩を叩《たた》きて励まし合う。
一同、雨水を思うがままに飲みて生気《せいき》もつき、皆々心を合わせて一日元気に過ごしたり。されど吾思う。この海の果てに陸ありや、はたまた島ありや。その陸地の見ゆるは何時《いつ》の日なりや。吾とても、神の御告げは真《まこと》なりと信ずれども、早家を出でて、ひと月近くなりたれば、心弱りて、斯《か》くは思うなり。
神の御告げ、夢疑うまじと思えども、真実一点の疑念も湧《わ》かじとは言い難し。さりとて、この疑い、誰に語る訳にもならず。水主《かこ》たちを欺《あざむ》くようなれど、これ欺きにあらず。神は信ずべきものなり。信ぜざるは己《おのれ》が悪し。神の御告げ夢疑うなかれと、再び吾と吾が心に言い聞かすなり。
さるにても岩松は何故《なにゆえ》、斯《か》くも心強きや。
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