「交じる」と書くのに「交じわる」と書かないのはなぜですか?
こたえ
動詞を漢字で表記する場合の「送り仮名」の基本は、(活用)語尾を送るということです。しかし、語尾を送った場合、次のような語では、ほぼ同じ意味を示している漢字の読みが一定しなくなってしまいます。
語 | 語幹・語尾 | 語尾を送る場合 | 漢字が担う音 | |
---|---|---|---|---|
「集」 | あつまる | あつま・る | 集る | 集=あつま |
あつめる | あつ・める | 集める | 集=あつ | |
「浮」 | うく | う・く | 浮く | 浮=う |
うかぶ | うか・ぶ | 浮ぶ | 浮=うか |
このような場合は、漢字(同じ意味を示す漢字)が同じ読みになるように余分に送り仮名を送ることになります。上の例では、以下のように書くのが規範的な送り方(通則2の本則に従った送り方)です。
語 | 送り仮名の付け方 | 漢字が担う音 | |
---|---|---|---|
「集」 | あつまる | 集まる | 集=あつ |
あつめる | 集める | 集=あつ | |
「浮」 | うく | 浮く | 浮=う |
うかぶ | 浮かぶ | 浮=う |
但、このような送り仮名の問題は、派生的な関係にある語(もともと同じ語であると推定できるもの)の間で生じるものです。「まじる」と「まじわる」とは、もともと別の語であると考えられるもので、通則2による送り方の問題は生じません。実際に『送り仮名の付け方』では、「まじる」「まざる」は「まぜる」との対応で、「まじわる」は「まじえる」との対応で、上記の問題(通則2による送り方)を生じるものとされています。具体的に示すと、以下のようになります。
語 | 語幹・語尾 | 規範的な送り方 | 漢字が担う音 | |
---|---|---|---|---|
「まじる」の系列 | まじる | まじ・る | 交じる(混じる) | 交(混)=ま |
まざる | まざ・る | 交ざる(混ざる) | 交(混)=ま | |
まぜる | ま・ぜる | 交ぜる(混ぜる) | 交(混)=ま | |
「まじわる」の系列 | まじわる | まじわ・る | 交わる | 交=まじ |
まじえる | まじ・える | 交える | 交=まじ |