「もうすぐ」と「いよいよ」の違いは何?
こたえ
「いよいよ」は、〈何かのときが来た/来る〉という意味で、「もうすぐ」は〈何かが生じるときの時間差が小さい〉という意味です。また、「いよいよ」には、「ますます」という意味があります。但、これは古語的な用法で、現代語では「早春の候、いよいよご清適のこととお喜び申し上げます」のように手紙文の時候の挨拶で使うくらいです。「いよいよ」には、「いよいよの時には声をかけてください」のような用法もあり、「そのときがきたら~」という意味になります。
夏になって、海の色が *もうすぐ・いよいよ(古語) 青い。
*もうすぐ・いよいよ の時には声をかけて下さい。協力します。
「いよいよ」と「もうすぐ」に共通する用法についてみた場合には、「いよいよ」の方がおおげさな感じがあります。たとえば、オリンピックなどの大きなイベントでは「いよいよ開会の時を迎えます」というのが自然です。「もうすぐ開会の時を迎えます」はおかしくはありませんが、少し軽い印象です。
桜の花もつぼみはじめて、もうすぐ(やや軽い)・いよいよ 春です。
オリンピック長野大会が、もうすぐ(やや軽い)・いよいよ 開幕です。
また、「もうすぐ」は時間の差があることを言うので、「もうすぐ開幕です」というときには、まだ始まっていません。しかし、「いよいよ」は「『その時』である」ことをいうので、まだ始まっていない場合にも、始まってすぐのときにもいえます。
(審判が「プレイボール」とコールした直後に)*もうすぐ・いよいよ 日本シリーズの開幕です。
「いよいよ」は、やや形式ばった語なので、バスなどで温泉旅行に出かけて「いよいよ目的地に着きます。」というのは、その目的地が相当に尋常でないところでない限り(例えば、大変な秘境であるとかいうのでなければ)不自然になるでしょう。「もうすぐ目的地に着きます。」といわなければなりません。また、バスなどに乗っていて「あとどれくらいで着きますか?」と質問したとき、「もうすぐです。」とはいえますが、「いよいよです。」とはいえません。これは、「もうすぐ」が〈時間的な差がごく少ない・時間を置かずに何かが生じる〉という意味なのに対し、「いよいよ」は〈起こる時期があらかじめわかっている事柄の生じる時間が近づいた〉という意味だからです。「桜のつぼみも膨らみいよいよ春です。」というのは、春がくるという時期が話し手にも聞き手にもだいたいわかっているという前提があって成り立ちます。ですから、「いつ?」という質問に「いよいよ」では答えにくいのです。それに対して、「もうすぐ」は、単に時間差が小さいことを言うだけですから、より一般的に使えます。
温泉に もうすぐ・??いよいよ 着きます。
(世界一周のヨットが帰って来たのが見えて)もうすぐ(軽い)・いよいよ 着岸(到着)です。
(「あとどれくらいで着きますか?」と質問されて)もうすぐ・*いよいよ です。