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脱税摘発 200億円を下回る
7月6日 19時4分
「国税局査察部です。」
国税局の査察部、いわゆる「マルサ」。脱税摘発のスペシャリストです。
ことし3月までの1年間に、全国で189件、総額192億円の脱税を摘発しました。その脱税のあの手この手の手口、どのようなものだったのでしょうか。
古い土蔵の内部です。一部だけ色の違うベニヤ板をはがすと、現れた本来の床板には不自然な場所に切れ込みがありました。板をめくると、プラスチックケースが出てきました。中に入っていたのは、1万円札の束3億円分です。重さ1キロの金の延べ板50本、1億3000万円相当も見つかりました。隠された現金などは、マルサの用語で「たまり」と呼ばれます。この衣装ケース、どこにたまりがあったかというと、たたんだ服に札束を入れた封筒がくるまれていました。
国税庁によりますと、全国の国税局がことし3月までの1年間に摘発した脱税事件は189件で総額は192億円でした。実は、この金額、前の年度より2割以上少なく200億円を下回るのは、昭和53年以来のことです。
「その取り扱った事件の対象というのはですね、リーマンショックがありました平成20年の9月以降の景気が低迷したときにあたりますので、だからか、そういう時期には、企業業績もすごく悪かったですし、大規模な脱税がやりにくい状況になったんだろうなと。」
その一方で、日本の税務当局の手が及ばない海外の取引先や銀行を使った脱税が多くなっています。なかには、日本国内での為替の取引をイギリス領のバージン諸島で行なったように見せかけ、シンガポールの銀行に資金を送って利益を隠していたケースもありました。
「なかなか、調査がしにくくなってるというのは事実だと思いますけれども、「タックスヘイブン」の国の政府などと租税情報について、情報交換をする。電子的記録をその解析するような機材も導入したりとかして、新たな事態に対応していきたいというふうに思っています。」