エスカレーター落下防止で新基準
7月11日 4時21分
去年の巨大地震とその余震で相ついだエスカレーターの落下事故についてです。国土交通省は、事故を受けて、今後エスカレーターを設置する場合の新たな耐震基準の内容をまとめました。
去年3月の巨大地震とその余震では、エスカレーターが建物の鉄骨からはずれて、下の階まで落下する事故が宮城県と福島県のショッピングセンターで3件相ついぎました。
エスカレーターは、両端にあるL字型の金属性の板を鉄骨に引っかけるように設置していて、「かかり代(しろ)」と呼ばれる金属製の板と鉄骨が重なる部分で落下を防いでいますが。かかり代の長さについては、業界団体の指針があるだけで、国の基準はありませんでした。
今回、国土交通省がまとめた新たな耐震基準では、かかり代の長さが原則として従来の2.5倍必要だとしたうえで、この長さが確保できない場合には、エスカレーター本体と鉄骨をワイヤーでつなぐなど、別の落下防止対策が必要だとしています。
ただ、今回の新たな基準の対象となるのは、今後設置されるエスカレーターに限られ、すでに設置されている全国およそ6万台は対象となりません。専門家は、「こうしたエスカレーターのなかに、新たな基準を満たしていないものが多数ある」と指摘していて、対策をどう進めるかが今後の課題となります。
国土交通省は、新たな基準について、インターネット上で意見を募るなどしたうえで、正式に決めることにしています。