シェールオイル試験的生産へ 国内初
7月13日 18時12分
地中深くの岩石の層に眠っている石油を新たな技術で開発しようという取り組みです。この石油、「シェールオイル」と言います。国内では、初めての試験的な生産がことし9月にも秋田県で行なわれることになりました。
秋田県 由利本荘市(ゆりほんじょうし)の鮎川油ガス田です。地下から石油や天然ガスを取り出しているこの施設を使って、国内で初めてシェールオイルの試験的な生産が行なわれます。
シェールオイルは、頁岩(けつがん)、英語で「シェール」と呼ばれる岩石の層に含まれる石油です。以前は、地下深くの岩石の層から石油を取り出すのは、採算があわないとされてきました。しかし、近年、層に水平に井戸を掘り、水圧で岩に割れ目を入れるなどして、石油を低いコストで取り出すことができるようになりました。
アメリカでは、シェール層に含まれる天然ガスの開発が進み、エネルギー市場を大きく変える可能性があるシェール革命として注目されています。そして、日本でも、石油や天然ガスの採掘会社「石油資源開発」がシェールオイルの試験的な生産に乗り出すことになりました。ことし9月にも、地下1800メートルから取り出す計画です。
「先行しているアメリカのいわゆる採油の技術がございますので、それをやはり国内で使えるものかどうかという評価をしたい。安定供給の一翼(いちよく)を担えればと思っております。」
採掘や探査の技術の発達で、日本では、新たな資源開発に向けた動きが相ついでいます。愛知県の渥美(あつみ)半島の沖合いでは、ことし2月、国の独立行政法人が「メタンハイドレート」と呼ばれる新たな天然ガスについて、世界で初めて海上での採掘試験を行ないました。
新潟県の佐渡のおよそ30キロの沖合いでは、海底に石油や天然ガスが埋蔵されている可能性があるとして、資源エネルギー庁が来年4月から試掘を行なうことにしています。
そして、今回のシェールオイル、石油資源開発では、秋田県内のほかの油ガス田などでも開発を進めれば、おととし国内で消費された石油の6パーセント程度に当たる最大で1億バレル程度を取り出せる可能性があるとしています。
こうした資源は、実際に生産できるまでは、通常かなりの時間が必要ですが、世界的に資源獲得競争が激しくなるなか、日本の独自資源としての期待が高まっています。