富岡製糸場 世界遺産に推薦へ
7月12日 17時29分
日本で最初の官営の製糸工場、富岡製糸場です。文化庁の委員会は、ユネスコの世界文化遺産に富岡製糸場を再来年平成26年の登録を目指すことになりました。
「養蚕の技術の進歩の面などを考えると、圧倒的に重要な役割を果たしているし、残ってる建物をそのものも非常に抜きん出ていると、特別委員会としては、富岡製糸場と絹関連遺産群を世界遺産に推薦して差し支えないという結論にいたりました。」
文化庁の世界文化遺産特別委員会は、きょう、世界文化遺産に推薦する候補について審議しました。その結果、現在10件ある推薦する候補のうち、群馬県にある明治5年に創られた日本で始めての官営の製糸工場富岡製糸場と絹産業遺産群について、「品質の高い生糸(きいと)を大量生産して海外に輸出し、絹を世界に広めたほか、製糸技術の革新を進め、世界の絹産業の発展に重要な役割を果たした」という価値が認められるとして、世界文化遺産に推薦することを決めました。
富岡製糸場は、明治5年、群馬県富岡市に建てられた日本で最初の官営の製糸工場です。フランス人技師の指導のもと建てられ、レンガづくりの建物の屋根に、日本のかわらが使われるなど、当時の日本と西洋の技術を融合させているのが特徴です。製糸場は、その後、民間企業に払い下げられ、最盛期の昭和49年には、年間におよそ370トンの生糸が生産されていました。しかし、海外から輸入される安い製品におされるなどして、昭和62年、生産が終了しました。
現在も、群馬県内有数の観光地として、年間およそ20万人の観光客が訪れています。女工たちが糸を紡いでいた創糸場や、繭(まゆ)の倉庫など一部の建物には、明治時代の姿がそのまま残されています。また、平成18年には、日本の近代工業の発祥の地であることなどが評価され、国の重要文化財に指定されています。