“働き手”減少 日本の将来は?
7月23日 7時ごろ
さて、働く人が減ると私たちの暮らしはどうなるんでしょうか。15歳以上で働いている人の数は、おととしの時点ではおよそ6300万人でした。厚生労働省の研究会がきょう明らかにした「試算 試みの計算」によりますと、少子高齢化などの影響で、このまま進みますと8年後の2020年には5937万人に、さらに2030年には5453万人にまで減る見通しです。この20年で845万人も減少することになります。減少するのは、仕事をして、収入を得て、さまざまなことを買ったり税金を払ったりする経済や家計を支える人たちです。働く人が大幅に減ると、日本の経済活動や社会保障制度などにも大きな影響が及ぶとみられます。
まず、懸念されるのが経済規模の縮小です。技術革新を担う若い優秀な人材が減少すれば、企業の生産性が低下する可能性が指摘されています。また、経団連のシンクタンクは、「働く人が減るなどして国内の需要が減少すると、日本は2030年代以降、経済成長がマイナスに陥り、先進国から転落しかねない」と指摘しています。
さらに、社会保障制度にも影響が及ぶと見られます。労働問題に詳しい専門家は、「働き手が減っていて、一方で、その社会保障の世話になる人たちが増えていきますから、これで、さらにその個人の負担が増えたり、あるいは企業の社会保険料の負担が増えたりということで、経済の低迷が続いてしまうと。悪循環さらに、このままで大きくなっていく。」
働く人の減少を食いとめるには、どうすればいいのでしょうか。厚生労働省の研究会は、「若者や子育て中の女性、高齢者が働ける環境を整えるよう積極的に対策をとり、実質2パーセント程度の経済成長を実現すれば、減少を抑えることができる」と提言しています。研究会の試算では、働く人の数は、2020年にはわずかな減少にとどまり、このままでは845万人減少するとされた2030年でも213万人の減少で済むということです。
専門家は、こう指摘します。「高齢者、あるいは女性というのは、働く時間の制約とか働く場所の制約というものがありますから、働く時間とか、あるいは働く場所は選べる、そういう柔軟な働き方を増やしていく、そうすることによって、高齢者あるいは女性の働く機会を増やしていく、それが重要なんだと思います。」