「建物の一部保存を」 署名提出
7月24日 18時32分
こちらはおよそ80人が津波で犠牲になった岩手県 陸前高田(りくぜんたかた)市の建物です。陸前高田市は取り壊す方針ですが、建物の一部の保存を求める署名が、きょう市に提出されました。建物には母親をなくした娘がつづったメッセージが残されていたからです。
メッセージは陸前高田市中央公民館の壁につづられています。「笑顔でやさしくて、やっぱりお母さんはステキ。」「大好きなお母さん、天国で私たち家族を見守っててね」
「こんにちは」「こんにちは」
メッセージを書いた小松佳菜さんです。小松さんは、ことし4月に公民館を訪れ、このメッセージを書き残しました。
小松さんの母親、博子さんは公民館で働いていました。公民館は隣の市民体育館とともに津波に襲われ、避難していたおよそ80人が犠牲になりました。
陸前高田市は、犠牲者が出た建物を見てつらいことを思い出したくないという声が市民から出ていることなどから、公民館を取り壊す方針です。
娘から母へ、心がこもったメッセージと震災を後世に伝えたい。保存を求める署名活動が行なわれ、全国から1700人あまりの署名が寄せられました。
そして、きょう、集まった署名が陸前高田市の戸羽 太(とば ふとし)市長に手渡されました。戸羽市長は、「メッセージについては壁だけ残すなど保存方法を検討したい」と話しています。
メッセージを書いた小松さんは、「壁だけ残す、残しても、後世には何も伝わらないと私は思うんです。建物があってから、だからこそ、こういうことが起きたんだなって伝わるはずですし、被害にあった建物を見てもらうのが一番いいじゃないかと思って。」