日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

キャンパスは深夜営業23

时间: 2018-06-26    进入日语论坛
核心提示:23 危ないシャワールーム「へえ、それじゃ、学部を建て直すんですか」 と、知香は言った。「そう。それで、こちらの柳井さんに
(单词翻译:双击或拖选)
23 危ないシャワールーム
 
「へえ、それじゃ、学部を建て直すんですか」
 と、知香は言った。
「そう。それで、こちらの柳井さんに、色々とお力になっていただいてるわけさ」
 と、安部は肯《うなず》いて言った。
 ——良二と知香は、ちゃっかり安部たちのテーブルに加わって、コーヒーを飲んでいた。
 食堂はもう大分空《す》き始めていて、紀子たちも先に出てしまっていた。
「いや、これは大きな仕事ですからな」
 柳井は、ゆったりと椅《い》子《す》にかけている。
 かなり太った男で、食堂の安物の椅子では、体重を支えるのが、辛《つら》そうだ。
「じゃ、きれいになるでしょうね。残念だなあ! きれいになってから、また入り直そうかしら」
 と、知香は悔しそうに言った。
「そうしても構わないよ、僕は」
 と、安部が笑って、「それまで留年するかい?」
「いいですね。でも、子連れ学生になりそうだわ」
「いや、若い方ってのは、いいですね」
 と、柳井は微《ほほ》笑《え》んで、「みなさんのご意見も充分にうかがって、設計したいと思っていますのでね」
 ——良二は、ほとんど口を開かずに、話を聞いているだけだったが、しかし、どうも妙だと思っていた。
 確かに、最近の大学の郊外移転の流行には、この大学は大分先がけている。
 だから、建物にしても、そう新しいとは言えない。しかし、建て直すというほど古いとも思えないのである。
 もちろん、新しくてきれいで便利になるのなら、学生は喜ぶだろうが……。
 しかし、建て直すとなれば、莫《ばく》大《だい》な費用がかかることぐらい、良二にだって分る。
 そんなお金、あるのかな。良二は首をかしげた。
 
「そう」
 と、知香は肯いた。「あなたに、ゆすりをやってもらわなくても、いいみたい。はっきりして来たわね、これで」
「何が?」
 良二は、知香の方を見た。
 ——いつもの「屋根裏荘」である。
 夜になって、宍戸を始めとする子分たちは、外へ出ていた。笠間との争いに決着をつけるために、その支度をしているのである。
 二人で残った知香と良二は、はしごを上げて、久しぶりにのんびりと二人で——というわけだ。
「動機よ」
 と、知香は、毛布を引張って、裸の胸を隠しながら、「この学部の建て直し。凄《すご》い大金が動くわ」
「それは僕にも分るけどな」
「当然、うまいことやれば、学部長の懐《ふところ》にも、かなりのこづかいが転がり込む。そう思わない?」
「うん。——じゃ、今度の事件に、それが関わってる、っていうのかい?」
「紀子が当ってくれてるわ。学部の建て直しなんて、大きな問題ですものね。先生たちの間で、かなり話題になってるはずよ」
「すると、金山先生と平田先生が、それに賛成と反対で対立して——」
「反対してたわけじゃないと思うわ。ただ、問題はどっちが学部長になって、建設の主導権を取るか」
「なるほどね」
 と、良二は肯いた。「金が絡《から》んでるのか」
「世の中、たいていのことはそうよ——」
 と、知香は言って、「愛情以外はね」
 と、良二にキスした。
 良二は知香を抱きしめて……。
 ここで映画なら暗くなるところだが、活字ではそうもいかない。まあ「……」で済ませることにして……。
「——あの警部さん、どうしたんだ?」
 と、良二が言った。
「落ち込んじゃってたから、宍戸さんが連れてったみたい。何かしてた方が、気が紛れるでしょ」
 刑事が泥棒に気をつかわれてるってのも、妙なもんだ、と良二はおかしかった。
「ね、シャワーを浴びて来ましょうか」
 と、知香が起き上った。
「OK」
 良二も異議はない。
 ——二人が、外へ出ると、いつもながらに大学の中は静かなものである。
「お先にどうぞ」
 シャワールームの前まで来ると、知香は言った。「私、少し考えごとをしたいの」
「そう? それじゃ」
 良二は先にシャワールームへ入って、熱いシャワーを浴びた。
 出て来ると、知香が階段に腰をおろして、考え込んでいる。
「——君の番だよ」
「うん」
 知香は、立ち上って、「髪を洗うから、少し時間がかかるわよ」
「ああ、分った」
 良二は、知香が入って行くと、ドアを閉めて、大きく伸びをした。
 中から、やがてシャワーの音が聞こえて来る。良二は、知香と同じように、階段に腰をおろして、息をついた。
 静かなもんだ。——誰もいないと、物音も人の声も……。
 良二は、欠伸《あくび》をした。
 後ろで、小石の鳴る音がした。振り向こうとすると、冷たい物が、首筋に押し当てられた。
「動くなよ」
 と、低い声が言った。「一発でお前の頭は吹っ飛ぶぜ」
 銃口だ。——良二はスーッと血の気がひいて行くのを感じた。
「立て。そっとだ」
 ゆっくり立ち上ると、ザワザワと音がして、どこにいたのかと思うほどの男たちが、顔を見せた。
 五人、六人——いや、後ろの男を入れると七人だ。
「こいつが、あの娘の恋人ですよ」
 と、後ろの男が言った。
 声に聞き憶《おぼ》えがある。——あの男だ。知香が、あの細い道でやっつけてしまった男……。
「なるほど。鈍そうな奴だ」
 失礼なことを言って、ゆっくり進み出て来たのは、黒い背広の、五〇がらみの男だった。
「俺のことは、若林の娘から聞いてるだろう。笠間というんだ」
 笠間……。この男が!
「大分捜したぜ」
 と、笠間が言った。「あの娘には、こっちも骨を折らされたからな。ゆっくり礼をしてやらなきゃいけないんだ」
 ——シャワーの音が聞こえている。
 いくら知香でも、シャワーを浴びている所を襲われたら、どうにもならないだろう。
 畜生! 何のために見張ってたんだ!
 良二は歯ぎしりをした。
「こいつを押えとけ」
 と、笠間が言った。
 良二は二人の男に両腕をつかまれ、口の中へハンカチを丸めて押し込まれてしまった。声も上げられない。
「——俺が引きずり出して来ます」
 と、あの男が言った。「この前の礼をしてやらなきゃ」
「いいだろう」
 と、笠間は肯いた。「どうせ裸だ。そいつの前で、可《か》愛《わい》がってやれ」
 良二は、何とかして知香に危険を知らせたかった。しかし——呻《うめ》き声を上げたぐらいで、シャワーを浴びている知香に聞こえるわけがない。
 笠間という男は一見してヤクザ風ではない。
 むしろ実直なビジネスマンという印象で、それが却《かえ》って冷ややかな、気味の悪さを感じさせている。
 あの男が、拳《けん》銃《じゆう》を手に、シャワールームのドアを開け、中へ入って行く……。
 良二は、必死で手を振り離そうとしたがとても不可能だった。
 知香! 危いぞ!
 と、突然。
「ワーッ!」
 と、叫び声が上った。
 だが、それは、知香の声ではなく、入って行った男の声だったのだ。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%