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フルコース夫人の冒険12

时间: 2018-06-29    进入日语论坛
核心提示:12 申し込み「あのね」 と、さやかは、ため息をついて言った。「ついて歩かないでくれません?」「す、すみません」 と、さや
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12 申し込み
 
「あのね……」
 と、さやかは、ため息をついて言った。「ついて歩かないでくれません?」
「す、すみません」
 と、さやかの三歩後ろに立っている高林和也が、謝る。
 さやかは、クルッと振り向いた。
 下校の途中である。——今日はクラブのない日で、さやかも早く下校して来たのだが……。
「でも——返事を聞かせてもらえないかと思って……」
 高林和也は、おずおずと言った。
 これが先輩なんだからね、全く!
 さやかは、演劇部の未来を憂《うれ》えずにはいられなかった。
「ですから、しばらく考えさせて下さい、って言ってるじゃありませんか」
「でも、もう二日たったし、しばらく、ってのがどれくらいか、よく分らなかったもんだから」
 それも理屈である。
「高林さん」
 さやかは、高林和也の方へ歩み寄って、「あなたは、川野先輩とお付き合いしてるんでしょ?」
「え……まあ」
「じゃ、私になんかに声かけちゃ、まずいんじゃありません?」
「そ、そんなことはない!」
 と、高林は首を振って、「だって——あの——交際は自由だ。そうでしょ?」
「そりゃまあ……」
「僕は別に、川野先輩に命令される通りに動くわけじゃないんだ。好きな相手と付き合う権利ぐらいあるんだ! そうだとも!」
 しゃべりながら、自分で興奮して来たらしい。拳《こぶし》をかためて振り回しながら、
「僕が誰を好きになろうと、誰にも文句なんか言わせるもんか! そんなのは僕の勝手なんだ!」
「声を小さく」
 と、さやかはあわてて言った。「道路ですよ、ここ」
「あ、そうだった」
 高林は、我に返った様子で、赤くなると、「いや……お恥ずかしい」
「でも——とてもいい演説だったわ」
「そうですか?」
「そうね」
 さやかは、肯《うなず》いた。「じゃ、一度ぐらいなら、デートしてもいいわ」
「本当?」
 高林は飛び上がりそうになった。
「ええ。今度の日曜日。——一応、空《あ》けときます」
「うんと空けといて!」
「土曜日に電話して下さい」
 さやかはそう言うと、「じゃ、さよなら」
 と、手を振って、さっさと歩き出した。
「さよなら……」
 高林は、呟《つぶや》くように言って、さやかの後ろ姿をじっと見送っている。
 さやかの姿が見えなくなると、高林の背後に近付いたのは——。
「やったじゃない」
 川野雅子である。「なかなか良かったわよ、今の」
「そうかな……」
「そうよ。あなたの最上の演技の一つだったわ」
 と、川野雅子は言った。「日曜日に、いきなりホテルへ、ってわけにはいかないと思うけど、ある程度は強引にやんなきゃだめよ」
「強引に?」
「そう。キスぐらいは力ずくで奪わなきゃ」
「そんなこと……」
 と、高林が青くなる。
「大丈夫。キスしたぐらいで、婦女暴行にはならないから」
 川野雅子は、ポンと高林の肩を叩《たた》いて、「さ、学校へ戻《もど》りましょ。昨日のセリフの稽《けい》古《こ》の続きがあるわ」
「はあ……」
 高林は、川野雅子について、学校へと戻って行った。
 
「——これが、記者会見の出席者です」
 と、藤原が、コピーした紙を、なつきとさやかに渡す。「席の順はこの図の通り。いいですね」
「当日でいいでしょ、こんなこと」
 と、さやかが言った。
「ええ、まあね。でも、一応——」
「さやか、藤原さんがせっかく説明して下さってるのよ」
 と、なつきがたしなめる。
「だって、お母さんも、どうせ忘れちゃうに決まってるじゃないの」
「そりゃそうだけど」
 母娘《おやこ》の会話もユニークである。
 ——ここは、中沢家の居間だ。
 今夜は珍しく、仕事が入っていないので、なつきは藤原をよんで、一緒に夕食、ということになったのである。
「お父さん、遅いわね」
 と、なつきが言った。「何か言ってた、お父さん?」
「知らないよ」
「そう。——もう帰ると思いますわ。ごめんなさいね、藤原さん」
「いや、とんでもない。せっかくの御家族の食事に私なんかが入りこんで——」
「いいえ、そんなこと構わないの」
「そうよ、藤原さん」
 と、さやかが言った。「いつも母が言ってるわ。藤原さんて、いてもいなくても分らない人だって」
「はあ……」
 藤原としては、喜んでいいものやら……。
「そうだわ。何を着ていけばよろしいの?」
 と、なつきが訊《き》く。
「そうですね。なつきさんは、ごく普通のスーツで。それが一番良くお似合いですよ」
「そうね。じゃ、少し明るめのを」
「さやかさんはセーラー服でお願いしたいんですが」
「セーラー服?」
「こっちで用意します。どこかの学校の制服と同じだとまずいので、少し変えてありますから」
「私、うんと派手なの着てやろうと思ったのに」
 と、さやかが口を尖《とが》らした。
「——似てる!」
 と、藤原が思わず言った。
「え?」
「いや、何でも……」
 昔のなつきとそっくり、という意味なのである。
 しかし、もちろん、昔のことは藤原、今でもなつきに話していない。
「そうだわ」
 と、なつきは言った。「藤原さん、おり入って、お願いがあるの」
「何です、改まって?」
「実は、Aテレビでパートで働いている人なんだけど、北原文代といって——」
「ああ、この間、食堂にいた人ですね」
「あの人に、何か仕事ないかしら?」
「仕事ですか」
「ええ、彼女、子供をかかえて、一人で苦労してるの。何か力になってあげたくて」
「なるほど。でも、どんな仕事がいいんでしょうね?」
「よく分らないけど……。今度の映画に、何か出る役ないかしら?」
「役者さんじゃないんでしょ?」
「でも、とてもきれいな人だったのよ。——今は、少し老《ふ》けたけど」
「何か、他の所で当ってみますよ。いい仕事が見付かるといいですね」
「助かるわ! お願い!」
 なつきは、目を輝かせた。
 その旧友の話は、さやかも聞いていた。
 でも——仕事を世話してあげるのが、果していいことなのかしら?
「ただいま」
「あ、お父さんだ」
 さやかは、玄関へと飛んで行った。
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