「なんとまあ、もうそんな時間か?」スラグホーンが言った。
「みんな、もう、戻もどったほうがいい。そうしないと、困ったことになるからね。レストレンジ、明日までにレポートを書いてこないと、罰則ばっそくだぞ。エイブリー、君もだ」
男の子たちがぞろぞろ出ていく間、スラグホーンは肘ひじ掛かけ椅い子すから重い腰こしを上げ、空からになったグラスを机のほうに持っていった。しかし、リドルはあとに残っていた。リドルが最後までスラグホーンの部屋にいられるように、わざとぐずぐずしているのが、ハリーにはわかった。
「トム、早くせんか」
振り返って、リドルがまだそこに立っているのを見たスラグホーンが言った。
「時間外にベッドを抜け出しているところを捕まりたくはないだろう。君は監かん督とく生せいなのだし……」
「先生、お伺うかがいしたいことがあるのです」
「それじゃ、遠えん慮りょなく聞きなさい、トム、遠慮なく」
「先生、ご存知ぞんじでしょうか……ホークラックスのことですが?」
するとまた、同じ現げん象しょうが起きた。濃い霧が部屋を包み、ハリーにはスラグホーンもリドルもまったく見えなくなった。ダンブルドアだけがゆったりと、そばで微笑ほほえんでいた。そして、前と同じように、スラグホーンの声がまた響き渡った。
「ホークラックスのことは何も知らんし、知っていても君に教えたりはせん! さあ、すぐにここを出ていくんだ。そんな話は二度と聞きたくない!」
第17章 ナメクジのろのろの記憶(16)
「なんとまあ、もうそんな時間か?」スラグホーンが言った。
「みんな、もう、戻もどったほうがいい。そうしないと、困ったことになるからね。レストレンジ、明日までにレポートを書いてこないと、罰則ばっそくだぞ。エイブリー、君もだ」
男の子たちがぞろぞろ出ていく間、スラグホーンは肘ひじ掛かけ椅い子すから重い腰こしを上げ、空からになったグラスを机のほうに持っていった。しかし、リドルはあとに残っていた。リドルが最後までスラグホーンの部屋にいられるように、わざとぐずぐずしているのが、ハリーにはわかった。
「トム、早くせんか」
振り返って、リドルがまだそこに立っているのを見たスラグホーンが言った。
「時間外にベッドを抜け出しているところを捕まりたくはないだろう。君は監かん督とく生せいなのだし……」
「先生、お伺うかがいしたいことがあるのです」
「それじゃ、遠えん慮りょなく聞きなさい、トム、遠慮なく」
「先生、ご存知ぞんじでしょうか……ホークラックスのことですが?」
するとまた、同じ現げん象しょうが起きた。濃い霧が部屋を包み、ハリーにはスラグホーンもリドルもまったく見えなくなった。ダンブルドアだけがゆったりと、そばで微笑ほほえんでいた。そして、前と同じように、スラグホーンの声がまた響き渡った。
「ホークラックスのことは何も知らんし、知っていても君に教えたりはせん! さあ、すぐにここを出ていくんだ。そんな話は二度と聞きたくない!」