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美女入門221

时间: 2019-08-23    进入日语论坛
核心提示:ジッパー全開!最近私が困惑しているのは、すごい努力家と思われることですね。私はもちろん努力というのは大切なことだと考えて
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ジッパー全開!

最近私が困惑しているのは、すごい努力家と思われることですね。
私はもちろん努力というのは大切なことだと考えているし、いろんなところで「努力しなくっちゃ」と言っている。けれどもこれは、もともと自分が、どうしようもないくらい怠け者で、だらけた人間だということを知っているからである。
ダイエットにしてもそう。おととい、昨日と、一泊で温泉へ行った。夜は大勢で宴会となったのであるが、それがとても楽しく、ついついビールを飲み、日本酒、ワインとコップを重ねていった。
ダイエットの強敵としてお酒があげられるのは、それ自体が太ることもあるが、神経が弛緩《しかん》していくということも大きい。つまり、判断力、およびに自制力がゼロになっていくのだ。
お料理をガツガツ食べ、それだけでやめておけばよかったものを、出てきたお鮨《すし》もたいらげた。そのお鮨ときたら、こんな山の中でどうして? と言いたいくらいおいしかったのだ。トロなんて新鮮ですごくいいものを使っていた。私は自分の分をあっという間にたいらげ、別の人の席へもふらふら歩いていった。男の人が多かったので、みんなお酒ばかり飲んでいて、お鮨には手をつけていない。
私の物色している目つきがすごかったらしく、
「ハヤシさん、これ、持っていっていいよ」
と、誰かがお鮨のお皿を差し出してくれた。それを持って、かねてより○印をつけている男性の隣へ行く。この人がさらに赤ワインの栓を抜いてくれて、二人で一本飲む、もちろんお鮨も食べる。そして最後の締めくくりにおソバが運ばれたが、これもいただく。
そのうち誰かが持ってきたケーキが切られ、私にも大きいひと切れがきた。これも四口ぐらいで食べる。さらに、ピーナッツの皿を手から離さず、夜食のおにぎりも食べた。
次の日、この男性が私に問うた。
「ハヤシさん、もうダイエットやめちゃったんだね」
「そんなことはないよ。どうして?」
「だって、昨日の食べっぷり、尋常じゃなかったもの……」
彼は恐ろしいものを思い出すように言った。
ま、明日になったら心を入れ替えようと思いつつ、はや五日間が過ぎようとしている。人間の体というのは、これほど急激に太るものであろうか。帰りの新幹線の中で、私はグループの男の人から三回注意された。
「ハヤシさん、ジッパーが開いているよ」
お腹が膨張したせいで、すぐにジッパーが下がってしまうようになったのである。
だが、私はまだ安心しているところがあるの。ふつうだったらこのまま、リバウンドへの道を駆け抜けていくところであるが、ダイエットの先生との契約はまだ残っているのだ。おそらくあさっての約束の日、ヘルスメーターに出る私の体重はピンとはね上がっていることであろう。
そして先生に叱られる。励まされる。もう一度イチからやり直そうと思う。私の「努力」って、所詮《しよせん》こんなものなのですね。
「そもそもあんたってマゾだから、怒ってくれる人がいないと駄目なんだよね」
とテツオ。そうかもしれない。
〆切りと編集者がいるから、書くという仕事も続けているような気もするし、口うるさい夫がいるから、なんとか普通の日常生活もおくれるのかも。
うちの夫は、私ぐらいグズでだらしない人間は見たことがないという。自分もだらしないが、私はそういう普通のレベルじゃないんだそうだ。
「旅行に行けば、ボストンバッグを居間に二週間置きっぱなし。引き出しは開けっぱなし。僕はこのあいだ、君のジャケットをかけてやろうと思って、君のクローゼットを開けてたまげたよ」
私は長いこと、広いクローゼットさえつくれば、洋服をきちんと整理出来ると信じていた。ところがとんでもない。三畳ぐらいのウォークインクローゼットは、床が見えない。タンスが閉まらず、セーター類は散らばっている。回転式のラックは、どこかでひっかかったまんまだ。
私は独身時代の部屋を思い出す。原宿に住む前、東麻布の1LDKに暮らしていた。あそこは日本一汚い部屋だったかもしれない。お弁当のカラやミカンの皮、新聞紙などが層をなしていたのだ。今、若い女性の部屋の汚さが話題になり、「片づけられない症候群」と名づけられているが、私は先駆者だったのね。
あの汚い汚い部屋で、いつも寝っころがって本を読んでいるかテレビを見ていた私。ごはんを食べに行くのがめんどうだったので、いつもお鮨の出前をとった。一人前だと持ってきてくれないので、二人前とっていつも食べてたわ。当然デブになる。デブのくせに、ゆったりとしているという理由で、ワイズを着てたけどちっとも似合わない……。
そうよね、あの頃に比べたら、どんだけマシになったかしら。私がちょっと頑張ったのは、叱ってくれる人を大人になっても確保しといたことかしらん。誉めてくれる人と叱ってくれる人、このバランスがとれてなきゃ、女は動きません。
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