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世界昔ばなし15

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:娘と十二の月 むかし、二人の娘がいる母親がいました。ひとりは自分の娘で、もうひとりは継娘でした。母親は、じぶんの娘は可愛
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娘と十二の月                                                                       

むかし、二人の娘がいる母親がいました。ひとりは自分の娘で、もうひとりは継娘でした。母親は、じぶんの娘は可愛くてしかたがなく、継娘は顔を見るのもいやでした。もしも一滴の水でもあれば、溺れ死にさせたいほど憎んでいて、年がら年じゅういじめていました。
それでも、継娘は、はなみずきみたいに元気でいきいきとしていました。じぶんの娘のほうは、病気ばかりして頬(ほお)がこけていました。継母は、青白いじぶんの娘にくらべ、継娘がふっくらと赤い頬をしているのが、腹がたってたまりません。なにか、もっと継娘に意地悪する、いい手はないかと、いつも考えていました。
とうとう、ある冬の晩、うまいことを思いつきました。そして、暗い外に継娘をほうりだし、
「森の井戸に行って、水を汲んでおいで」
と、いいつけました。
その井戸のそばには古い木がありました。夜になると、まわりに悪魔があつまってくると村の人たちは恐れ、だれも近づこうとしませんでした。そこに水汲みにやれば、継娘はきっと悪魔たちに引き裂かれてしまうだろう、もう二度と家には戻ってこないだろうと、継母はせいせいしていました。
娘は町を通りぬけ、森の中の井戸に水を汲みに行きました。井戸のそばの木のまわりには、十一人の男と、ひとりのおばあさんが座っていました。若ものや、長い白いひげをはやした老人もいました。体が大きい男も、小さい痩(や)せた男もいましたが、ひとりだけ、ひどく小さい男がいました。二月の神のセチュコでした。セチュコの前で、ぶつぶついっているおばあさんは、三月のマルタばあさまです。みんな、一年の十二ヵ月の月をつかさどる神さまたちでした。
継娘は、みんなの姿を見ると、そばに寄って声をかけました。
「こんばんは、みなさん、寒くはないのですか」
「やあ、娘さん。神さまがおまえさんを守ってくれるように」
と、十二の月の神がこたえました。
「わしたちは、いたって元気だよ。だが、おまえさんはどうしたんだね。こんな吹雪の晩、それもこんな夜中に、どうして、こんな所まで水汲みにやってきたんだね。娘さん、おまえさんは、わしらがこわくないのかい」
「だっておじさん、こわいなんていってられないわ。おかあさんのいいつけには、逆らうことなんかできないもの。水汲みより、おかあさんに叱られるほうが、ずっと恐ろしいのよ」
十二の月は、みんなで顔を見合わせました。
「そのとおりだね。強いものが、いつだって弱いものをいじめて、無理をとおすもんだ。しんぼうするんだよ、娘さん」
と、三月のマルタばあさまがいいました。
「それで、おまえさんにたずねたいんだが、一年の十二の月のうち、どの月がよくて、どの月が、いやな、みんなの嫌われものだろう」
「まあ、おばあさん。いやな月なんてありませんよ。どの月も、みんな、すばらしいわ。春には新しい芽がふくし、夏がくると、一面に草木がしげって、小鳥たちも大喜びするんです。暑い夏のあとには、果物が実る秋がやってくるし、冬は、雪がふって、森も野原も、まっ白になってきれいだわ」
「そうかね。こんな吹雪の晩でも、おまえさんは好きなのかい。では、もう家にお帰り」
と、おばあさんがいいました。
「おまえさんに、わたしたち十二の月の祝福を贈ろう。これからさき、おまえさんが口をきくたびに、金貨がこぼれるようにしてあげよう。娘さん、じゃあ、元気で暮らすんだよ」
継娘は、かめに水をたっぷり汲んで、十二の月にお礼をいって家に帰りました。継母は、娘が生きて戻ってきたので、がっかりしてしまいました。
それに、娘が口をきくたびに、金貨がぱらぱらとこぼれ落ち、拾うのにいそがしいぐらい、いっぱいあふれるので、継母は、くやしくてまっ青になりました。
「なんてこった。だれが、おまえが話すたびに金貨がこぼれるようにしたんだい」
継母は、金きり声をあげました。
「さあ、いってごらん。わたしにつかまったら、もう、おまえはおしまいなんだ」
継娘はこわくなって、森の井戸に行って十二の月にで会ったことを、すっかり話しました。
継母は、さっそく次の日の晩、じぶんの娘を水汲みにやりました。十二の月の祝福で、口から金貨がこぼれるようになるように、よくいい聞かせて送りだしました。
「いいね。町はずれの、むこうの森の、あの井戸に水汲みに行っておいで。おまえも、神さまの祝福をうけて、金貨が授かるようにしてもらうんだよ」
娘が井戸に行くと、木のまわりに十一人の男と、おばあさんがひとり座っていました。娘は声もかけないで、ずんずんそばに行って、おばあさんを押しのけて座りました。
「娘さん、どうして水を汲みにきたんだね」
ひとりがたずねました。
「どうもこうもないわよ。こんな寒い晩に水汲みにこなくちゃならないのも、みんな、あんたたちのせいなのよ」
娘は、ぷりぷりして、ぶっきらぼうにこたえました。
「それじゃ、ひとつおまえさんにたずねたいんだが、一年のうちで、どの月がよくて、どの月が嫌いだね」
娘は、ちょっと考えてからいいました。
「そのぐらいのこと、子供だって、知っているわ! どうしようもない悪い月は、一月のコロジェクと二月のセチュコだわ。三月のマルタも、だめな月ね。この三つがいちばんやっかいだけど、ほかの月も、たいしてありがたくない、いやな月ばかりよ。冬は寒いし、夏はやたら暑くて、どうしようもないもの」
娘は、口をとんがらかしていいました。
「こんな寒い晩は、いちばんいやだわ。でも、あんたたちは、勝手にしたい放題で、ひとの迷惑なんて、どうでもいいんだから」
「やれやれ、娘さん。じゃあ、おまえさんにも、わたしたちの祝福を贈ろう」
と、十二の月がいいました。
娘は、十二の月に挨拶もしないで、帰りました。家に戻ると、母親が喜んで迎えました。
「どうだった」
「ろくなことないわよ」
娘が口をきいたとたん、口から蛇がとび出しました。
「ぎょえー! なんで蛇がでてくるんだい。金貨は、どうしたんだい」
母親は、びっくりして腰を抜かしてしまいました。娘も、わめき散らしましたが、なにしろ、これが神さまの贈りものでは、何とも、しかたありません。
「ああ、かわいそうに。なんてひどいことになっちまったんだい! おまえがこんな目にあうのも、みんな、あの憎らしい娘のせいなんだ」
継母は、その日をさかいに、ますます継娘がいまいましくなり、なんとかして、もっといじめてやろうとしました。
けれども、神さまの祝福をうけた娘には、なにひとつ手だしができません。
だから、昔からいうでしょう。
ひとを呪(のろ)わば穴ふたつって……。
                                                                   (八百板) 
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