返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

世界昔ばなし23

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:ルンペルシュティルツヒェン国中が飢饉に見舞われて、小麦は育たないし、だれもかれもが貧乏になったことがあった。水車屋は仕事
(单词翻译:双击或拖选)
ルンペルシュティルツヒェン                                                              

国中が飢饉に見舞われて、小麦は育たないし、だれもかれもが貧乏になったことがあった。
水車屋は仕事がないし、暮らしは貧乏のどん底、どうにかしてお金を稼ぐ方法はないものかと考えていた。
そこへ、王さまが通りかかって、
「おい、水車屋、ずいぶんしょげてるな」って。
「なんの、元気そのもの。わしには、藁を金に紡ぐことのできる娘がいるんでさあ。なんで、くよくよなんぞするものかね」
そう水車屋が答えると、王さまはいった。
「なんだと、藁を金に紡げる娘だと」
「そう、そうなんでさあ」
「その娘を、ちょっと呼んでこい」
そこで、娘は呼ばれた。
「さて、かわいい娘さん、父さんは、おまえが藁を金に紡ぐことができると言っているぞ」
父親は娘に、何もいうな、と目くばせした。で、王さまはつづけた。
「いっしょに来なさい。もし、おまえが藁を金に紡いだら、わしの妻にしよう」
そんなわけで、娘はいっしょに行くことになった。
王さまは娘をお城に連れていくと、夜は小さな部屋に入れた。そこには藁がいっぱい詰まっていた。
王さまはいった。
「ほら、糸車だ。そこに腰かけて、藁をみんな金に紡ぐのだ」
娘は、そんなことはできないわ、といいかけたけれど、王さまはもう部屋を出ていってしまった。
娘は藁でいっぱいの部屋にへたりこんで、もうどうしてよいか、わからなかった。
「いったい私は、なにをすればいいの。父さんはなぜこんなことを。ああ、藁を金に紡ぐなんて、どうやったらいいの」
娘は泣きだした。
その時、ドアにほんのちょっと裂け目ができて、小さな小人が入ってきた。ほんとうに小さな小人がね。
「ねえ、なにを泣いてるんだい」
娘は、はじめ小人なんか目に入らなかったけれど、やがて赤いとんがり帽子の小人に気がついて、いった。
「まあ、なにを泣いてるかですって。この部屋いっぱいの藁を金に紡がなくちゃならないのよ。どうすりゃいいんだかわからないっていうのに。そんなこと、私にはできない、できやしないの。でも、これをしないと、王さまに首を切られるのよ。いったからには、王さまはきっとそうするわ」
「なんだ、そんなことなら心配ないさ」
と小人はいった。
「なにをくれる? おいらがそれをしてやったら。こいつを金に紡いだら、なにをくれるんだい」
「そうね、私があんたにあげられるもの? ここに父さんからもらったネックレスがあるわ。これをあげるわ。これでいい?」
「よし、そいつをよこせ」
そういうと、小人は腰をかけて紡ぎはじめた。
ブンブン、ブンブン、ブンブンと糸車は回った。どんどん、どんどんと。
みるみる最初の糸巻きはいっぱいになって、二つ目を紡いで、三つ目も四つ目もつぎつぎ紡いで、とうとう藁はみんな紡ぎ上がって、純金になった。そして、小人は姿を消した。
つぎの朝、王さまは、水車屋の言ったことがほんとうかどうか確かめようとやってきた。
いった通りだった。ドアを開けると、糸車の前で娘がすることもなく座っていて、藁はすっかり紡がれて、部屋の隅には金を巻いた糸巻きがおいてあった。
「おお、でかしたぞ」
王さまは、どぎもを抜かれていった。
ところが、王さまはもっと金が欲しくなって、いった。
「わしはおまえを妻にするつもりだ。そうすればおまえは王妃だ。だがわしにはまだ藁でいっぱいの部屋がある。もう一度それを紡ぐのだ。それをやりとげたら、なにもかもめでたしだ。だが、できなかったら、まえにもいったように、首をはねさせる」
そして王さまはその部屋を閉めると、藁のいっぱいつまった別の部屋へと娘を連れていった。そこには、最初の部屋よりもっとたくさんの藁があった。
王さまはいった。
「さあ、座れ、紡ぐのだ」
そこで娘は、仕方なく糸車の前に座って、仕事にとりかかろうとしたけれど、
「こんなこと、人間わざじゃないわ。王さまはなにを思っているのかしら」
といいながら、座りこんで泣きじゃくった。
「ああ、首を切られるわ」
その時、ドアがまた開いて、あの小人が入ってきた。
「なにを泣いているの」って。
「見てちょうだい。この部屋のこんなにたくさんの藁、これを私はみんな金に紡がなくちゃならないの。それもあしたの朝までによ。もしできないと、首を切られるわ」
「なんだ、そんなことか。首を切られるだって。あんた、どうするつもりだね。だめ、だめ。できっこない。ごらん、おいらが、またみんな紡いでやるよ。その代わり、なにをくれる? くれなきゃ、やらないぜ」
「いいわ、私、まだ金の指輪を持ってるわ。これをあげるわ」そう娘はいった。
「よし、よこせ。大事にするぜ」
小人は指輪を受取ると、糸車の前に座って紡ぎはじめた。
糸車は回った。ブンブン、ブンブン、ブンブンと。糸巻きはどんどん巻きあがって、またひと巻き、またひと巻き。とうとう部屋が空っぽになった。
「さあ、これで、安心して眠れるな。おいらは帰るぜ」と小人はいった。
つぎの朝、王さまがやって来て、娘がまた藁をすっかり紡ぎ上げているのを見届けた。
(どうして、こんなことができるんだ、だが、この娘にもっと稼がせよう。娘をもっと大きな部屋に入れて、もう一度、紡がせてみよう)
と王さまは思った。
「さあ、こっちへ来い。おまえはほんとうに見事に紡いだ。だが、もっとたくさん藁の詰まった大きな部屋がある。これだけできたんだから、今度だってできるだろう」
王さまはそういうと、ドアを閉めた。娘はまたその場にへたりこんで泣きじゃくった。
「ああ、あの小人が来て、助けてくれないかしら。でももう小人にあげるものが、なにもない。ネックレスはもうやっちゃったし、指輪だって。もう小人にやるものが、なんにもないんだわ。なんにも」
そういって娘は泣いた。
すると、その時、小人がまたやってきて、
「娘さん、なにを泣いているんだい」って。
「この藁をみんな金に紡がなくちゃならないの。そんなこと、できないわ」
「なんだ、そんなことか。またおいらが紡いでやるさ」と小人はいった。
「ええ、あんたはよくやってくれるわ。でも、私にはもう……、あんたにあげるものがないの。だって、あんた、なにかあげなきゃ、やってくれないでしょ」
「そうさ。くれなきゃ、やらないさ。くれるなら、おいら喜んで手伝うけどさ」
「ええ、でも私には、もうなにもないのよ」
「なあ、ちょっと考えてみろよ。あんたがお妃になって子どもが生まれりゃ、その子をくれたっていいんだぜ」
不安のあまり、そう、娘はどうしようもなく不安だったものだから、いったのさ。
「ええ、いいわ。そうしましょう」
そして、娘は思った。
「これでなんとか私の首はつながるわ」
その通りだった。小人は娘のためにまた紡ぐと、
「子どもが生まれたら、来るからな」
といって姿を消した。
娘は考えたのさ。
「王妃になれるかどうかだって、わかりゃしないわ。それにずっと先の話だもの」
さて、王さまは娘の仕事ぶりを見にやって来た。ドアを開けて、また藁くず一本残さずに紡ぎ上げられているのを見ると、大喜びでいった。
「でかしたぞ。娘さん、おまえは私の妻だ。王妃になるのだ」
王さまは召使いを呼びつけると、三つの部屋の糸巻きをみんな宝物庫に運ばせた。そこには、王さまの宝物がみんなしまってあった。
華やかな結婚式が祝われた。お妃になった娘はとても幸せに楽しく暮らして、一年たつと赤ちゃんが生まれた。王さまもお妃もどれほど幸せだったことか。
ところが、赤ちゃんが生まれて四週間たった、なにもかもうまくいっていたある天気のいい日に、あの小人がやって来て、いった。
「お妃さま、おいらとの約束、覚えているね」
お妃はたまげてしまった。
「いったい、なにが望みなの」
「そうとも、あんたはおいらが藁を紡げば、子どもをくれると約束したね」
「まあ、ほんの冗談のつもりだったのよ」
とお妃はいった。
「だめだ。冗談じゃないぜ。おいらはあんたの子をもらう。約束だからな」
お妃は泣いた。——かわいい子、おまえを小人になんかやるもんですか。なにをされるかわからないもの——。
それからお妃はいった。
「ああ、そんなことはしないで! わかった? だめよ! この子を私から取りあげないで!」
そうやって、なんどもなんども頼んだ。すると、小人はいった。
「なんだって? 取り上げるなだと。なら、こうしよう。三日だけ待ってやろう。もしこの三日の間においらの名前がわかったら、子どもは許してやる」
「わかったわ。必ずさぐり出してみせるわ」
すると、小人はまた姿を消した。
お妃は国中に使いを出して、小人の名前を調べさせた。
小人は、次の日もやって来て、いった。
「おいらの名前がわかったかい」
「ええ、カスパールでしょう」
とお妃はいった。
「いや」
「バルツァー?」
「いいや」
「クリシャンでしょう?」
「ちがう」と小人がいった。
「ああ、いったい、おまえはなんて名前なの」
「さてと、またあした来る。おいらがなんて名前か、よく考えとけよ」
そう小人はいった。
お妃は、もう一度、けらいというけらいに命じて、国中くまなく小人の名前を探らせた。
小人は次の日、またやって来てたずねた。
「おいらの名前がわかったかい」
「ええと、コールでしょ。ヴィルヘルム? ヨッヒェン?」
「ちがう。そんな名前じゃない。みんなちがう。さあ、あと一日だ。よく考えな」
そこでお妃は、またけらいたちをつかわして、けらいたちはそこいら中、捜し回って、お妃はひたすら待っていた。
その晩も遅くなって、戻ってきた一人が小声でいった。
「お妃さま、耳よりな話を聞きました。夜になってのことです。この国の果ての森の入口あたりで、月明りに照らし出されたほんとうに小っちゃなやつに会いました。そいつは火の回りを片足ではね回り、だんだん興奮して何度も歌いました。やつは、なんて歌ったと思いますか」
♪きょうはパン焼き、あしたは酒づくり
あさって、妃の子どもはおれのもの
ああー、なんて、すばらしい
おいらは、ルンペルシュティルツヒェン!
「なんですって。なんて? ねえ、あいつの名前はなんなの?!」
とお妃は言った。
「ええ、やつは、“ルンペルシュティルツヒェン”といってました」
「それは、あの小人にちがいないわ。やっと、あいつのしっぽをつかんだわ」
つぎの日、小人はまたやって来て、いった。
「さあて、おいらの名前がわかったかな」
「いいえ、よくわからないわ。あんたは、ハインツでしょ」
「ちがう」と小人はいった。
「クルツね」
「ちがう」
「ハンスでしょ」
「ちがう」
「フランツ?」
「いいや」と小人はいった。
「ええと、ちょっと待ってね。思い出してみるわ。あんたは、あんたの名前は、ルンペルシュティルツヒェン!」
すると、小人は頭が火のように赤くなって、
「悪魔のやろうが、教えたな」
というなり、自分の片足を高くひっぱり上げ、もう一方の足をどんとけりつけた拍子、床を突き破って落ちて、自分で自分を引き裂いた。
そして、お妃は自分の子を手放さずにすんだし、小人は死んで、二度と姿を見せなかったんだって。
                                                                     (高津) 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论