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世界昔ばなし45

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:熊のフワン   むかし、ある村にたいそう古い館があって、夜になると、鎖をひきずる音がしたって。あそこに住もうなんて者はだ
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熊のフワン
                                                                          
むかし、ある村にたいそう古い館があって、夜になると、鎖をひきずる音がしたって。あそこに住もうなんて者はだれもなかった。それに、だれが鎖をひきずっているのか調べに行った者は、みなおそろしくて死んでしまったんだ。
ある日、すごく大きなこん棒を持った男が、村にやってきて、一晩宿を頼んだ。すると、村人はいった。
「むこうにだれも住んでいない館があるから、そこに泊まって、屋根裏部屋でだれが鎖をひきずっているのか調べてくれたら、千レアルやろう」って。
男はいった。
「あの館で一晩過ごせたらなんてよく聞けたもんだ。おれが熊のフワンってもんで、この世にもあの世にもこわいものなしってこと知らないのか。千レアルのためにいけってのか。だったら、その前に、豚の腸詰めとベーコンのうまいところと卵を一ダースとフライパンをくれ。焼いては食って一晩過ごしたいんだ」
村人が、それを渡すと、熊のフワンは館へと向かい、かまどのたきぎに火をつけ、豚の腸詰めをいためはじめた。すると、そのとき、屋根裏部屋で鎖の音がして、こんな声がした。
「あー、落ちる!」
熊のフワンは答えた。
「落ちろ、落ちろ、だがフライパンの中には落ちるな」
すると、男の足が一本落ちてきた。落ちるとすぐに、また声がした。
「あー、落ちる!」
「落ちろ、落ちろ、だがフライパンの中には落ちるな」
もう一本足が落ちて、最初の足とくっついた。また、続いて声がした。
「あー、落ちるぞ!」
「頭から足の先までいっぺんに落ちてしまえ。だが、フライパンの中には落ちるな」
胴体が落っこちると、足とくっついた。それで、また、いった。
「あー、落ちる!」
「ちょっと待て。ベーコンのいためたのをかきまぜているから。さあいいぞ。落ちてこい。だが、フライパンの中には落ちるなよ」
腕が一本落ちて、胴体にくっついた。だが、声は続いた。
「あー、落ちる!」
「こんなふうじゃ、いつまでたっても終わらない。一度に落ちてこいっていっただろ。だが、フライパンの中には落ちるな」
もう一本の腕が落ちて、またからだにくっついた。それで、たくさんの鎖の音がして、ものすごい叫び声がした。
「あー、落ちる!」
「落ちろ、落ちろ、だがフライパンの中には落ちるな」
ばらばらにくっついてできたからだの肩の上に、頭が落ちて、そのあとから、からだをおおっていた服が落ちてきた。
からだは歩き出して、熊のフワンの前に現われると、その男は口をきいた。
「わしといっしょに来い!」
「静かにしろ、静かに!」と、こん棒をつかんで、熊のフワンはいった。
「静かにして、おれがフライパンのものを食うのを待ってろ、そうでないと、このこん棒で前みたいにばらばらにしちまうぞ!」
フライパンの中のものを食べ終わると、男にいった。
「さあ、おまえの行きたい所に行こうじゃないか」
「この館の地下室へいこう。先に行ってくれ」と、男は答えた。
「いや、だめだ! おまえが先に行かなくちゃ。おれよりよく道を知っているだろう。さあ、行け、行け!」
男は先に歩き出して、地下室に着くと、
「ここを掘れ!」と、熊のフワンにいった。
「どこをさ」
「ここだ!」
「そうしたいなら、おまえがすればいい!」
「ことわって命拾いしたな。そうじゃなければ、死ぬところだった。わしが掘ろう」
男は大急ぎで掘りはじめると、お金がいっぱいつまった三つの箱を掘り出した。そうして、熊のフワンにいった。
「むかし、悪いことをして手に入れた金だが、使う暇がなかったので、ここに埋めておいた。お金をいくらか返さないと、天国に行けないんだ。この箱に、銅貨が入っている。この村の坊さんに渡して、霊魂をとむらうのに使ってくれ。この箱には、銀貨が入っている。貧しい人に分けてやってくれ。それと、もうひとつの箱には、金貨が入っている。取っておけ、おまえにやる。おまえはわしを成仏させる力を持っている。
さあ、この服を上から下へ裂いてくれ!」
こん棒の柄で服をひき裂いてやると、男は空中に消えたのだった。
夜が明けると、村人たちは熊のフワンが死んでしまったかどうか見に、館にやって来た。ところが、金貨の箱の上に座って、フライパンを持って、オムレツを食べている熊のフワンに出くわしたって。
「ほんとに、生きているのかい」と、村人はたずねた。
「腹はへってるよ」
「見たことを教えてくれよ。ここで何が起きたんだ」
「何にも。たいしたことはないさ!」
熊のフワンは、起こったことを話してやり、千レアルは取らなかった。
そのあとで、男がいい残したようにお金を分けた。そうして、あくる日、熊のフワンは金貨をかついで、上機嫌で家に帰ったってさ。
                                                                     (浅香) 
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