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世界昔ばなし47

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:プレッツェモリーナ   昔あるところにだんなさんとおかみさんがいた。二人の住んでいる家の窓は妖精たちの野菜畑に面していた
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プレッツェモリーナ
                                                                          
昔あるところにだんなさんとおかみさんがいた。二人の住んでいる家の窓は妖精たちの野菜畑に面していた。おかみさんは子どもを身ごもっていた。
ある日、おかみさんが窓からのぞくとパセリが生えているのが見えた。なんてすてきなパセリだろう。おかみさんは妖精たちが出かけるのを待って、絹の縄ばしごをもってくると、それをおろして畑におりていき、せっせとパセリを食べはじめた。食べたこと、食べたこと。それからまたはしごをのぼって窓をしめてしらんぷり。こんなことを毎日やっていた。
ある日、妖精たちは庭を散歩していた。
「ちょっとみんな。パセリが減ってると思わない」といちばんきれいな妖精がいった。
「少し減ってるみたいだねぇ。そうだ。みんな出かけたように見せかけて、ひとりだけ残ってかくれていようよ。だれか食べにくるものがいるわけだもの」
妖精たちはみんなが出かけたように見せかけた。するとあのおかみさんがパセリを食べにおりてきた。おかみさんが帰りかけると、うしろから妖精があらわれた。
「ひどい女だ、さあ、見つけたぞ」
「かんにんしてください。おなかに子どもがいるんです。そのせいでパセリが食べたくなって……」
「それじゃあ、許してやろう。でも、いいかい。生まれた子が男の子だったらプレッツェモリーノって名をつけるんだ。女の子だったらプレッツェモリーナだよ。そして、大きくなったらその子をもらおう。その子はこっちのもので、もうおまえのものじゃないってわけだ、いいね」
なんてことだ。おかみさんはわっと泣きだした。そして、泣きながらいった。
「ああ、わたしはなんていじきたない女なんだろう。おかげでずいぶん高くつくことになっちまった」
「それみたことか、いやしいやつめ」とだんなにも文句をいわれてしまった。
おかみさんは女の子を生んだ。そして、プレッツェモリーナと名まえをつけた。
プレッツェモリーナは大きくなると学校に入った。妖精たちはプレッツェモリーナが毎日通ると、そのたびにいった。
「おじょうちゃん。あれのことを思い出すようにって、かあさんにいうんだよ」
プレッツェモリーナはそのたびにかあさんにいった。
「かあさん、あれのことを思い出すようにって、妖精たちがいってたよ」
ところがある日、かあさんが考えごとをしているところへ娘が帰ってきていった。
「かあさん、あれのことを思い出すようにって妖精たちがいってたよ」
かあさんはうっかりこたえた。
「そうかい、いいよ、持ってっておくれって、そうおいい」
プレッツェモリーナが学校へ行くのを見ると妖精たちがいった。
「かあさんは、ゆうべおまえになんていった」
「あれを持ってっていいって。どうぞ持ってっておくれって、そういえっていったわ」
「それじゃおいで。持ってけっていうのはおまえのことなんだよ」
プレッツェモリーナは泣いた。いつまでもいつまでも泣き叫んでいた。
そりゃそうだよねぇ。でも、この子のことはちょっとほっといて、かあさんのほうを見てみよう。
いつまでたっても娘は帰ってこなかった。それでかあさんは思い出した。あれを持ってっておくれっていってしまったことをね。
「ああ、とんでもないことをしちまった。もうとりかえしがつかないわ」
さて、妖精たちはプレッツェモリーナにいった。
「プレッツェモリーナ、このまっ黒けの部屋を見てごらん」
妖精たちはその部屋に炭や消炭をしまっていたのだった。
「わしらが帰ってきたとき、この部屋がミルクみたいにまっ白になってなくちゃいけない。それに、一面に鳥がとんでいるところを描いておくんだよ。それができなきゃ、おまえを食べちゃうよ」
こんな女の子にそんなことができるかねぇ。
妖精たちがでかけるとプレッツェモリーナは泣きだした。泣いて泣いて、しゃくりあげて、どうにも止まらなくなってしまった。
するとそのとき、だれかが戸をたたいた。
プレッツェモリーナは見にいった。てっきり妖精たちだと思ってね。
でも開けてみると、それはメメだった。妖精たちのいとこだ。
「どうした、プレッツェモリーナ。なんで泣いてるんだ」
「あなただって泣くと思うわ。この部屋を見て。妖精たちが帰ってくるまでにこんなまっ黒な部屋を白くして、一面にとんでる鳥を描いておかなくちゃいけないのよ。そうしないとわたしは食べられてしまうの」
「もし、きみがぼくにキスしてくれたら、あっというまにこの部屋をそんなふうにしてあげるよ」
「男の人にキスされるくらいなら、妖精たちに食べられたほうがましよ」とプレッツェモリーナがいった。
「とってもおりこうな答えだから、きみのためにやってあげよう」
そういってメメが小さな棒(ぼう)をふると、部屋はすっかりまっ白になった。一面の鳥も妖精たちがいったとおり。そこでメメは帰っていき、妖精たちが戻ってきた。
「やったかい、プレッツェモリーナ」
「はい、見にきてください」
妖精たちは顔を見あわせた。
「おやまあ、プレッツェモリーナ、ここへメメが来たんだね」
「メメなんて知らないわ。わたしを生んでくれたやさしいかあさんだって、知らないわ」
さて、朝になると妖精たちは相談した。
「どうしたものかね。これじゃ、あの子を食べられやしない」
「プレッツェモリーナ!」妖精たちが呼んだ。
「何かご用でしょうか」
「明日の朝、妖精モルガンのところへ行って、すてきな楽隊の箱をくださいっていっといで」
「はい、おくさま」
そんなわけで、朝になるとプレッツェモリーナは旅に出た。旅をしたんだよ。どこまでもどこまでも歩いていくと女の人に出会った。
「どこへ行くの。かわいいおじょうちゃん」
「妖精モルガンのところへすてきな楽隊の箱をとりに行くの」
「おまえは食べられちゃうんだよ。知ってるのかい。かわいそうに」
「そのほうがましよ。そうなりゃ、おわりだもの」
「これを持ってお行き。ラードの入ったお鍋が二つだよ。ぶつかりあってる扉が二枚あるから、両方に塗っておやり、そうしたら通してくれるから」
そのとおり、プレッツェモリーナは扉のところにやってきた。扉のてっぺんから下までラードを塗ってやったら、ちゃんと通してくれたよ、やれやれ。
それからまたたっぷり歩いていくと、もう一人の女の人に出会った。その人も同じことをいった。
「どこへ行くの。おじょうちゃん」
「妖精モルガンのところへすてきな楽隊の箱をとりに行くの」
「かわいそうに、おまえは食べられちゃうんだよ」
「そのほうがましよ。そうなりゃ、おわりだもの」
「このパンを二つ持ってお行き。二匹で噛みあってる犬に会うから、一つずつ投げておやり。そうすりゃ通してくれるよ」
そのとおり、プレッツェモリーナは二匹の犬に会った。パンを一つずつ投げてやると、犬は通してくれた。
またたっぷり歩いて行くと、別の女の人に出会った。
「どこへ行くの」
「妖精モルガンのところへすてきな楽隊の箱をとりに行くの」
「かわいそうに、おまえは食べられちゃうんだよ」
「そのほうがましよ。そうなりゃ、おわりだもの」
「ひげや髪の毛をひっこぬいて、それで靴を縫ってる靴直しに出会うから、これを持ってお行き。これは糸、これは千枚通し。これだけあればじゅうぶん。あげてごらん。通してくれるよ」
そのとおり、プレッツェモリーナは靴直しに会った。靴直しは糸と千枚通しをもらうとお礼をいって通してくれた。
またまたたっぷり歩いたころ、また別の女の人に会った。その人も同じことをいった。
「気をつけるんだよ。おまえは食べられてしまうんだよ」
「そのほうがましよ。そうなりゃ、おわりだもの」
「手でかまどを掃き出してるパン焼き女に会うだろう。やけどだらけになってるよ。これを持ってお行き。これはぞうきん、これはブラシ。これだけあればじゅうぶん。きっと通してくれるよ。そのあとすぐ広場に出る。そこにある立派なお邸、それが妖精モルガンのものさ。おまえは戸をたたく。すてきな楽隊の箱は、階段を二つ上ったところにある。妖精モルガンはおまえが戸をたたくとこういうだろう。『お待ち、ちょっとお待ち』ってね。おまえは上っていって、箱をとったらさっさと逃げるんだよ」
そのとおり、プレッツェモリーナはパン焼き女に会った。持ってきたものをあげると、お礼をいって通してくれた。
プレッツェモリーナは戸をたたいて、階段を上っていって、箱をとるとさっさと逃げだした。
妖精モルガンは戸がしまる音をきいて窓から顔を出し、女の子が逃げていくのを見つけた。
「おーい、手でかまどを掃いてるパン焼き、その子をつかまえておくれ、つかまえておくれ!」
「わたしが考えなしだったらそうするだろうね! 何年も苦労してきたけど、あの子はぞうきんとブラシをくれたんだよ。さあ、お通り、おじょうちゃん」
「おーい、靴直し、ひげで縫ってるの、髪の毛をひっこぬいてるの。その子をつかまえておくれ、つかまえておくれ!」
「ああ、おれが考えなしだったらそうするだろうね! 何年も苦労してきたけど、その子は要(い)るものをぜんぶ持ってきてくれたんだよ。さあ、お通り、おじょうちゃん」
「おーい、噛みあってばかりいる犬たち、その子をつかまえておくれ、つかまえておくれ!」
「ああ、おれたちが考えなしだったらそうするだろうね。その子はおれたちにパンを一つずつくれたんだよ。さあ、お通り、おじょうちゃん」
「おーい、ぶつかりあってる扉たち、その子をつかまえておくれ、つかまえておくれ!」
「ああ、わたしたちが考えなしだったらそうするだろうね。その子は頭のてっぺんから足の先までラードを塗ってくれたんだよ。さあ、お通り、おじょうちゃん」
そうやってみんながプレッツェモリーナを通してくれた。
プレッツェモリーナはいった。
「この箱の中に何が入ってるのかしら」
広場を見つけるとそこに腰(こし)をおろして箱を開けて見た。すると中から出るわ、出るわ、何人も何人も何人も何人も。ぞくぞく箱の中から出てきて、歌うやら楽器をならすやら、大さわぎ。プレッツェモリーナが困ったのなんのって、もうどうしていいやらさっぱりわからなくなってしまった。なんとかしてもとどおり箱の中に入れようとしても、一人つかまえたと思ったら十人が逃げ出すしまつ。とうとう泣きだしてしまった。わかるよね。
そこへあらわれたのがメメだ。
「しようがない子だ。自分のしたことがどんなことだか、よくわかっただろう」
「わたしはただ見たかっただけなのに……」
「まったく、どうしようもなくなっちゃってるじゃないか。もしきみがぼくにキスしてくれたら助けてあげるよ」
「男の人にキスされるくらいなら、妖精たちに食べられたほうがましよ」
「とってもおりこうな答えだねぇ。それじゃ助けてあげたくなっちゃうよ」
メメが棒をふると、箱はすっかりもとどおり。もとのとおりにぴったり閉まった。
プレッツェモリーナは家へ帰った。そして戸をたたいた。
「なんてこった! プレッツェモリーナじゃないか。どうしてこの子を食べなかったんだろう、妖精モルガンは」と妖精たちはいった。
「おはようございます。ほら、これが箱よ」
とプレッツェモリーナがいった。
「妖精モルガンはおまえになんていったんだい」
「あの方(かた)はこれをくださって、みなさんによろしくっておっしゃったわ」
「なんてこった。こんどこそわかったよ。この子はわしらが食べなきゃならないんだ。今夜メメが来たら、この子を食べるんだっていおう」
というわけで、夕方メメが来た。妖精たちはメメにいった。
「妖精モルガンはプレッツェモリーナを食べなかったんだよ。だからわしらが食べなくちゃいけないのさ」
「ああ、そりゃいいですね。そりゃけっこうだ」とメメはいった。
「あした、あの子の仕事がすんだら大釜を火にかけさせよう。洗たく用のあの大きいのをね。それから、よーく煮たったら、四人がかりであの子をほうりこんで煮ちまうのさ」
「いいね、いいね、そりゃいいね。そうすることにきめましょう」とメメがいった。
そんなわけで、朝になると妖精たちはみんな出かけた。なんにもいわずに、いつものとおり出かけた。
みんないってしまうと、さあ、メメがプレッツェモリーナのところにやってきた。
「いいかい、今日、一時になったらあの人たちはきみに大釜を火にかけろっていいつける。洗たく用のあの大きいのをね。そして、よーく煮立ったら呼んでくれっていうだろう。煮たったっておしえるんだよってね。あの人たちはきみをその中にほうりこんで煮るつもりなんだ。でも、そうはさせないで、ぼくらのほうがあの人たちをどうやってほうりこむか考えなくちゃ」
そういってメメは行ってしまった。そのあとすぐ妖精たちが帰ってきた。
「いいかい、プレッツェモリーナ。今日ごはんを食べて、おまえの仕事がぜんぶすんだら大釜をかけとくれ。洗たく用のあの大釜だよ。それで、よーく煮立ったら呼んどくれ」
プレッツェモリーナは仕事をすっかりかたづけると、大釜を火にかけた。すると妖精たちがいった。
「火をどんどんたけ」
プレッツェモリーナは火をたいた。たいたとも。妖精たちがいったより、もっとがんがんたいたとも。
メメがきた。
「やあ、いよいよ食べられるんだね」
そういって手をすりあわせた。
「ああ、そうとも」と妖精たちはいった。
さあ、お湯が沸くとプレッツェモリーナが呼んだ。
「おっかさんたち、見にきてちょうだい。お湯が沸いたわ」
妖精たちはお湯が沸いたかどうか見に、お釜のそばにやってきた。
「しっかり!」
プレッツェモリーナにそういったのはメメだ。
メメは妖精を二人つかんでお湯の中に投げこんだ。残りの二人をプレッツェモリーナがつかんでほうりこんだ。そして、ぼんぼんぼんぼん沸かした、沸かした。首がちぎれてしまうまで、とり出したりはしなかった。これでもか、これでもかと沸かした。
「さあ、これで何もかもぼくたちのものだ。かわいい子、ぼくといっしょにおいで」
メメはプレッツェモリーナをつれて地下室におりた。そこにはあかりがかぞえきれないほどあった。妖精モルガンの、でっかいあかりもあった。ほかのどれよりも大きいあかりだ。モルガンは妖精の中の女王なのさ。モルガンのたましいはあかりだったのだ。あかりが消えれば妖精たちも死ぬんだよ。
「きみはそっちのを消すんだ。ぼくはこっち側のを消すから」
こうして、二人はあかりをぜんぶ消した。これで何もかも自分たちのものになった。それから妖精モルガンのいた所にのぼっていった。靴直しを旦那衆にとりたて、パン焼き女も同じ身分にとりたてた。犬は二人の邸につれて行き、扉にはときどき油を塗りに行った。
「きみは、ぼくのお嫁さんになるんだ。それがぴったりさ」とメメがいった。
こうして二人はいつまでも仲よく、幸せに暮らした。でも、わたしには何もくれなかったよ。
                                                                     (剣持)
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