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世界昔ばなし48

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:べーネ・ミーオ   昔あるところにおとっつぁんとおっかさんがいて、息子がひとりあった。おとっつぁんは息子を町へつれていっ
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 べーネ・ミーオ
                                                                          
昔あるところにおとっつぁんとおっかさんがいて、息子がひとりあった。おとっつぁんは息子を町へつれていって魔法をならわせたいと思うようになった。おっかさんも、それはいいことだとは思ったが、なにしろ息子がかわいくてしようがなかったので、手ばなすのは一年かぎりという条件つきだった。きっとそうすると約束して、おとっつぁんは息子をつれて家を出た。
町にやってくると泉が目についたので、二人は水を飲もうと近づいた。おとっつぁんはおそろしくのどが渇いてたもんだから、水を飲むと生きかえったような気分になって、思わず、「おお、べーネ・ミーオ」といった。(べーネ・ミーオというのは、ああ、ありがたいっていうような意味なんだよ)
おとっつぁんがそういったとたん、そこに、ひげをひざまでたらした男があらわれた。
「なにかご用ですか。なんだか、わたしをお呼びになったようだが」
「だれも呼んだりなんかしませんよ」
「これはなんと! あんたはべーネ・ミーオって呼びませんでしたかね」
若者のおとっつぁんは笑いだした。その男は偶然べーネ・ミーオって名前だったんだ。おまけにべーネ・ミーオは魔法使いだったから、どんな遠くで呼んでも魔法の力で聞こえるし、あっというまに行きたいところへ行けるというわけだった。
そういうことがわかると、おとっつぁんは魔法使いに百ドゥカート出して、これで息子に一年間、魔法を教えてもらいたいとたのんだ。魔法使いがたのみをひきうけてくれたので、おとっつぁんは息子をあずけて家へ帰った。
一年たった。おっかさんは、だんなに息子をひきとりに行ってくれとたのんだ。
そこでおとっつぁんは出かけた。このまえ魔法使いがあらわれた泉のところまでくると、あたりに風が起こって、こういう声が聞こえた。
「わたしは風、人間に変身」
そして、目の前に息子が立っていた。
「こんなにうまく魔法を覚えたんだよ。だからお師匠はおいらを手元に置いときたいんだ。おとっつぁんを試してからでないと家へ帰してくれないよ。おいらがカラスになって、おとっつぁんは何百羽ものカラスの中からおいらを見分けなくちゃならないんだ。どうすればいいか教えてあげるよ。いいかい、ほんのちょっとだけ羽ばたくカラスに気をつけるんだ。それがおいらなんだからね」
おとっつぁんはいわれたとおりにして、息子をとりかえした。息子は師匠より魔法がうまくなっていたんだ。
息子はおとっつぁんにいった。
「さあ、金をもうけることを考えなくちゃ。まず、おいらが二度と拝めないような猟犬になる。そうしたらおとっつぁんはその犬を千ピアストラで売れる。おいらは売られてから人間に戻って帰ってくるよ。そのつぎに、よく肥えた牛になるから、おとっつぁんは二千ピアストラで売るんだ。そしてさいごに、どんな王さまだって乗ったこともないようなすごい馬になる。大金持ちが何人も買いによってくるだろうし、おいらのお師匠の魔法使いもきっとくる。おとっつぁんはその馬を一万ピアストラで売るんだ。でもよーく気をつけておくれ。犬になったおいらを売るときは首輪をちゃんと持ってなくちゃいけない。牛を売るときは首の鈴をとる。そして、馬のときは手綱だよ。もしおとっつぁんがとるのを忘れると、おいらは長い間つらい思いをすることになるんだからね」
おとっつぁんははじめの二回はいわれたとおりにしてうまくいった。ところが馬になった息子を売るとき、手綱をはずすことを忘れてしまった。その馬を買ったのはあの魔法使いだったんだ。馬は脚をふみならしたり、いなないたりして思い出させようとしたのに、おとっつぁんには通じなくて、手綱をつけたまま馬をわたしてしまった。これじゃ、馬はもう人間に戻れなくなってしまう。息子はすっかり腹を立てて脚で砂をけりあげ、砂をおとっつぁんの顔や目にかけたので、おとっつぁんは目が見えなくなってしまった。
師匠の魔法使いは、自分を見捨てた弟子(でし)を買って大いに満足だった。仕返しに、一日に何時間も召使いに鞭でたたかせ、ほんの少しのわらと水だけで養った。
けれど馬にとって幸いなことに、手綱をはずしてはいけないということを魔法使いは召使いたちにいうのを忘れていた。
さて、かわいそうに馬はつらい毎日を送っていたが、三年たったある日、召使いのひとりが馬に水を飲ませに泉につれていった。召使いは馬が主人のひどい仕打ちですっかりやせてしまって、具合が悪くなっているのをみてかわいそうになった。それで、もっとらくに、自由に飲ませてやろうと思って手綱をはずしてやった。
馬はそれまで失くしていた魔法の力をすぐにとり戻した。そして、
「わたしは馬、うなぎに変身」
というと、泉の水盤(すいばん)の中にとびこんだ。
師匠の魔法使いはそのとき遠くにいたけれど、すぐに気がついていった。
「わたしは人間、大うなぎに変身」
大うなぎはすぐに水の中にあらわれると、うなぎに変身した弟子を追いかけはじめた。
そこで弟子は、
「わたしはうなぎ、ハトに変身」
といってとんで逃げた。すると魔法使いは、
「わたしは大うなぎ、タカに変身」
といって、とんでハトを追いかけた。
ハトが前になりタカがあとになって三日の間とびつづけ、とうとう王さまのご殿までやってきた。タカがもう少しでハトをつかまえようとしたとき、王さまの娘がバルコニーに顔を出した。王さまの娘は国じゅうでいちばん美しいひとだった。
ハトは、
「わたしはハト、ルビーに変身」といった。
ルビーは王さまの娘がはめていた指輪にすっぽりとはまりこんだ。
かんかんに怒った魔法使いは、王さまを腰ぬけにして動けないようにしてしまった。
そこでおふれが出た。
「王さまをなおした者には王さまの娘と結婚させよう」というおふれだ。
魔法使いは王さまの前にやってきて、なおしてみせましょうと約束した。でも、王さまの娘と結婚する代わりに、娘の右手の指輪をもらいたいといった。
王さまは大よろこびだったが、娘はそうはいかなかった。なぜかといえば、指輪のルビーはもうそのときにはもとの美しい姿を娘に見せていて、二人は愛しあうようになっていたからだった。そして若者はそのとき娘にこういったんだ。
「もしわたしを愛していてくださるのでしたら、指輪を魔法使いにわたさないでください。おとうさまがどうしてもわたせとおっしゃったら、指輪をあなたの手で直接わたさずに床に投げてください」
娘はそのとおりにした。
指輪は床に投げられた。するとすぐこんな声がした。
「わたしはルビー、ザクロに変身」
そのとおりのことが起こった。そのとき師匠がいった。
「わたしは人間、雄鶏に変身」
雄鶏はザクロの実をついばみはじめた。でもその中の一粒が雄鶏の口を逃れて、王女の手の中のハンカチの上にとびのった。
さあ、これが最後だ。もう一声。
「わたしはザクロ、狐に変身」
こうして、腕のいい弟子の魔法使いは師匠だった雄鶏を食べてしまった。
そのあと、若者は王さまの病気をなおし、王さまの娘と結婚した。そして、国もとから年とったおっかさんと目の見えないおとっつぁんを呼びよせた。おとっつぁんの目ももとに戻した。
そしてとうとう王さまは若者に王冠をゆずった。若者はお金もあり、兵力にも恵まれ、魔法にも強い王さまになり、花嫁といっしょに幸せに暮らした。
                                                                     (剣持) 
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