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シャドウテイカー ドッグヘッド11

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:3「そういう事情とは思わなかったよ」裕生《ひろお》と茜《あかね》から大まかな話を聞いた後で佐貫《さぬき》は言った。裕生が
(单词翻译:双击或拖选)
「……そういう事情とは思わなかったよ」
裕生《ひろお》と茜《あかね》から大まかな話を聞いた後で佐貫《さぬき》は言った。裕生がわざと行き先を告げずに一人で出かけたとは思ってもみなかった。
三人は喜嶋《きじま》バーの外で立ち話をしている。葉《よう》は店の中でツネコと話しているらしい。
「そうだよ佐貫っち。なに考えてんの。葉ちゃん連れてきちゃったら、あたしが裕生ちゃんだけを呼んだ意味がなくなっちゃうじゃない」
腕を組んで立っている茜を佐貫はまじまじと見つめる。茜は額《ひたい》にかかった明るい色の髪《かみ》をふっと息ではらった。
「ん、どうした佐貫っち」
「あの、俺《おれ》とは初対面っスよね?」
佐貫は茜に尋《たず》ねた——噂《うわさ》は色々と裕生から聞いているが、顔を合わせたことはないはずだ。
「そうだけど?」
「なんスか、その気安いツッコミは。いきなりアダナだし」
「ダメ?」
「いや……いいけど」
さっきから茜と話しているとペースが狂う。悪気はないようなので、別に不快ではなかったが。
「佐貫のせいじゃないよ。ぼくがうまく葉に話さなかったのが原因なんだし」
裕生が口を挟んだ。
「そうそう。裕生ちゃんも良くない……」
「あと、天内《あまうち》さんももうちょっと電話で詳しく話してくれたら良かったんだけど」
裕生が控えめに言うと、茜はぐっと詰まった。本人は自覚していないのだろうが、茜のような相手にも自分のペースで接している裕生に佐貫は感心した。
「これからどうしようか」
裕生は佐貫に言った。
「まあ、詳しい話はまだ聞いてねえけど」
と、佐貫は言った。
「蔵前《くらまえ》は東桜《とうおう》大学の近くにいるんスよね?」
裕生と茜はうなずいた。
「じゃあ、とりあえずここを離《はな》れて、加賀見《かがみ》に行った方がいいんじゃねえかな。わざわざこっちにいる意味ねえし。蔵前が言ってたっていう期限にもまだ間があるし」
「そうだね。天内《あまうち》さんがよければ」
と、裕生《ひろお》が言った。
「あたしはそれでいいよ。じゃ、早く行こう佐貫《さぬき》っち」
だから初対面でなんでそんなに馴《な》れ馴《な》れしいんだよ、と佐貫は思った。
 葉《よう》は裕生がどうして新宿《しんじゅく》まで来たのか分からなかったし、急に加賀見《かがみ》へ帰ることになった理由もよく分からなかった。一応、尋《たず》ねてはみたのだが、ちょっと今は言えない、という裕生の一言でほとんど満足してしまっていた。
四人は新宿駅のホームで電車を待っている。山手線《やまてせん》に乗って新大久保《しんおおくぼ》から新宿まで出て、加賀見方面の路線に乗り換えるところだった。
ホームの時計を見ると、午後三時を回っていた。ラッシュの時間からはほど遠く、ホームに立つ乗客もまばらだった。電車は先ほど行ったばかりで、次の電車がくるまでしばらくは時間がかかる。
「で、佐貫っちは帰った後どうするかとか考えてるの?」
茜《あかね》が佐貫に言った。葉は茜のこともはっきりとは憶《おぼ》えていない。しかし、佐貫も茜も自分の味方であり、信頼が置ける相手だと信じていた。その理由を突き詰めると、裕生が二人を信用しているから、ということになる。
<img src="img/dog head_113.jpg">
「それを今から考えるんじゃないスか。っていうか、俺《おれ》まだ天内《あまうち》さんが蔵前《くらまえ》と会った時のこともちゃんと聞いてねえし……」
ふと、佐貫《さぬき》はしまっとという風《ふう》に口をつぐんで、ちらりと葉《よう》の顔を見た。どうやら、自分には聞かせたくないことらしいと彼女にも分かった。
「じゃ、今ちょっと話してあげよっか……いいよね?」
茜《あかね》は裕生《ひろお》の顔を窺《うかが》う。裕生がうなずくと、少し離《はな》れた自動|販売機《はんばいき》の前まで佐貫を引っ張って行く。葉と裕生は二人を見送った。
「ごめん。言えないことが多くて」
と、裕生が言った。葉は首を横に振る。彼女がここまで来たのは裕生と一緒《いっしょ》にいるためで、彼の目的を知るためではなかった。だから、裕生に謝《あやま》ってもらう必要はなにもなかった。
佐貫たちの会話は盛り上がっているようだった。佐貫がなにか質問すると、それに身振り手振りを交えて茜が答え、それに佐貫がまた質問する、というやりとりらしい。
「結構、楽しそうだね」
と、裕生が言った。確《たし》かに言いたいことを言い合っている仲のいい姉弟という風《ふう》に見えなくもなかった。不意に茜がワンピースの裾《すそ》をまくり上げて、自分の脚を見せ始めた。佐貫は神妙にそれを見下ろしている。
さすがに人目を引く光景で、ホームにいる他《ほか》の乗客もちらちらと振り返っている。
「……あれ、なにをやってるんですか?」
と、葉は裕生に尋《たず》ねる。
「えっと……あれは……」
彼は弱り顔で言葉を詰まらせる。
佐貫は茜の脚から顔を上げると、裕生の方へ走ってきた。そして、裕生の肩を掴《つか》んだ。
「あの『サイン』、皇輝山《おうきざん》文書《ぶんしょ》に出てきたぞ! 一番階位が上で、一番最後に来るっていうカゲヌシだよ! 六角形の『サイン』はあれだけだったから……」
裕生は慌てて佐貫を押しとどめる。
「佐貫、落ち着いて……」
『六角形……ヘキサの『サイン』か』
突然、葉の中から誰《だれ》かの声が聞こえた。「黒の彼方《かなた》」の声だった。その声は頭の中で激《はげ》しく反響《はんきょう》し、痛みにも似た感覚に葉は思わず頭を押さえた。
『やはりあいつが来ていたのか』
と、黒の彼方は言う。そこに含まれたかすかな怯《おび》えを葉は感じ取った。
 葉の異変に最初に気づいたのは裕生だった。
「……葉?」
彼女は苦悶《くもん》の表情を浮かべて、額《ひたい》を押さえている。
「どうしたの?」
葉《よう》はぎゅっと目を閉じて、苦しげな声でつぶやいた。
「ヘキサの『サイン』……首……」
「えっ」
「『黒の彼方《かなた》』がそう言ってるんです……わたしの首を……って」
「わたしの……首?」
(ドッグヘッド)
ふと、その名前が頭をよぎる。裕生《ひろお》ははっと息を呑《の》んだ。今までどうして気づかなかったのだろう。「黒の彼方」が会いたがらないかもしれない相手。あの黒犬がかつて苦戦を強《し》いられた相手ということになる。
突然、太い笑い声がどこかで弾《はじ》けた。びりっと空気が震《ふる》えるほどの大きな声だった。裕生たちは線路《せんろ》を挟んで一つ向こうのホームを見る。白いコートを身に着けた背の高い男が背筋を反《そ》らし、顎《あご》を上向けて笑っていた。
茜《あかね》の言った通り髪《かみ》は半白に変わり、やせ細った体は病人のようだった。しかし、その声だけは異様な力と生気に満ちていた。
「蔵前《くらまえ》……司《つかさ》」
突然、ぶつっと蔵前の声が途切《とぎ》れる。
次の瞬間《しゅんかん》、彼はホームから線路にひらりと飛び降りた。そして、軽い足取りで線路を走り抜けて、見る間に裕生たちのいるホームに駆け上がった。
「三人、全員集まったんだね」
つぶれた耳障《みみざわ》りな声で言い、葉、裕生、茜の顔を順番に見やった。
「ありがとう。これ以上待たずに済んだよ」
「期限は三日後じゃなかったのか? 場所だってここじゃない」
と、裕生は言った。
「三日……?」
一瞬、蔵前は戸惑《とまど》ったような表情を浮かべたが、すぐに元の笑顔《えがお》に戻った。
「そんなものはぼくが決める。人間との間に交わした言葉などどうでもいい」
三人が集まってしまったのが失敗だったんだ、と裕生は思った。この男の目的は復讐《ふくしゅう》だ。自分たちを殺せさえすれば、約束などどうでもいい話に違いない。
「こんなところで戦うつもりか?」
その言葉にも蔵前は反応しなかった。大勢の人間にカゲヌシを目撃《もくげき》されることをなんとも思っていないらしい。そのことだけ考えても、以前の蔵前とは違っていた。以前の蔵前は少なくとも自分が闇《やみ》に潜《ひそ》む者だという自覚があった。
電車がホームに到着することを告げる放送が流れた。ホームの片側に乗客が列を作り始めていた。
ふと、裕生《ひろお》は葉《よう》が蔵前《くらまえ》を一心に見つめていることに気づいた。相手がカゲヌシを出せば、自分も「黒の彼方《かなた》」を呼ぶつもりらしい。
「同族食いを出すつもりか?」
と、蔵前がからかうように言った。
「ぼくのカゲヌシに勝てると思っているのか? 今度こそすべての首を失うことになるぞ」
「……どういうこと」
いつの間にか裕生のそばに立っていた茜《あかね》がつぶやいた。茜の方を見ながら彼は言った。
「『黒の彼方』は一つ首が欠けてる……多分《たぶん》、あいつが今持っているカゲヌシが、昔切り取ったんだ」
この世界のどこかに「黒の彼方」を凌駕《りょうが》するほどのカゲヌシがいるはずだということは、以前から分かっていた。この世界に来る前、「同族食い」は他《ほか》のカゲヌシとの戦いによって傷つき、三つある首の一つを失っていた。以来、このカゲヌシは他のカゲヌシを見つける能力をほとんど発揮出来ず、それが弱点になっている。
「まあ、それでも大人《おとな》しく殺されるつもりはないんだろう?」
と、蔵前は言った。むしろそれを期待しているかのような口ぶりだった。
「まだ、どうにか戦いようがあると思っているんだろう?」
蔵前は葉に視線《しせん》を定めている。裕生は彼女の手をぎゅっと握りしめた。
嫌《いや》な予感がした。この男はまだなにか隠している。圧倒的な力の差を見せつけて、自分たちを絶望させようとしている気がした。
「……ドッグヘッド」
その声は歓喜を抑えかねるように大きくなってきていた。
「どうしてその名前なのか、君たちには分かっているか? ただの名前だと思っているんじゃないのか? 同族食いの性質も君たちは知らないんじゃないのか?」
電車を待っている人々も、蔵前の異様な挙動に気づきつつあった。蔵前を取り囲むように、彼を中心としてぽっかりと空間が開いていった。
もし、ここで戦いが始まってしまったら、間違いなく他の人々を巻き込むことになるはずだ。しかも、相手の能力の全貌《ぜんぼう》を裕生たちは知らない。
「ぼくは最強の力を得た! 今までこの世界のどんな人間も得たことのない力だ!」
蔵前は感極まったように叫んだ。
(まずい)
と、裕生は思った。しかし、その時にはもう蔵前は叫んでいた。
「アブサロム・ドッグヘッド!」
彼の前に伸びている影《かげ》から、むっくりと白い塊《かたまり》が起き上がった。巨大な白熊《しろくま》を思わせるような、剛毛に包まれた白い胴体を持つカゲヌシだった。それはいくぶん前のめりの姿勢のまま、両手を地面から離《はな》して二本の足で立った。
おそらくは背筋を伸ばせば、裕生《ひろお》の倍ほどの身長になるのではないかと思われた。
「あっ……」
自分の口から洩《も》れた悲鳴だということに、しばらく裕生は気づかなかった。
そのカゲヌシには頭が二つあった。眠ったように目を閉じている白い首の左側に、無理矢理《むりやり》接《つ》ぎ木《き》されたように黒く太い首が生《は》えていた。黒い頭は長い耳を立てて、尖《とが》った目で裕生たちをじっと見すえている。
アブサロム・ドッグヘッド——白と黒の犬の頭を持つ、双頭の獣人《じゅうじん》だった。
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