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記憶の絵13

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:本屋幼い頃、神田の中西という本屋によく行った。巌谷小波のオトギバナシ、ドウブツ、なぞの箱入りの小型本を買いに行ったのであ
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本屋

幼い頃、神田の中西という本屋によく行った。巌谷小波のオトギバナシ、ドウブツ、なぞの箱入りの小型本を買いに行ったのである。
記憶に残っているのは不思議に冬の町、それも歳晩風景で、小川町の辺りは、黒い闇の中に細長い提灯が薄紅く、黄色く浮んで、冷い風に笹の葉が縮れ上ったようになってさわさわ鳴り、時折電車が橙色の光を投げ、地響きをたてて通りすぎる。時計や指環、金鎖、なぞを飾り立てている貴金属の店、小間物屋なぞだけが、黄金色《きんいろ》に光って人の眼を吸い寄せていた。
本屋の中には落ちついた雰囲気があって、本を買う人は静かに入って来た。写真入りで、新聞の半面を潰すような広告はその頃はないから、どの人も小さな広告で見つけて、熱心な気持で買いにくる人である。本の広告が品がよく、落ちついているから、本屋も品がいいし、本を買いにくる人も、品がよかった。本を買うと、洋菓子店に寄って珈琲をのみ、煙草をふかし、買った本を一寸開いてみる。その人が家に帰ると、家には本を読む青年がい、本を読む子供がいた。
この頃は本屋に入って行くと、本の広告が騒々しいせいか、棚に詰まっている本の間々から広告の声が、拡声機つきでどなっているようで、本の色も派手で、模様が多い。本自身は黙っているいい本もあるが、広告ががやがやしているので、その広告の声が勝手に本の間から鳴り出し、本たちがそれぞれおいらんの顔見せのように、色眼を使っているようである。
十八、九の時、伯林《ベルリン》で、夫だった人に従《つ》いてよく本屋に入ったが、古い、石造りの建物だからでもあるが、落ちついていて、寂《じやく》としていた。夏でも、厚い石の壁のせいか美術館に入った時のようにひんやりして、薄暗く、天井に近い、古い本の並んでいる辺りには濃いグリィンや海老茶、渋い茶色、なぞの皮表紙の本の背に、鈍い黄金色《きんいろ》が光っている。眼を凝らすと、幼い時に父の本で覚えたゲエテ、シルレル、ストリンドベルヒ、シュニッツレル、なぞの懐しい名が読める。棚に梯子《はしご》をかけて、人々は本に眼をくっつけるようにして、選んでいる。伯林の本屋には本というものの霊がいるように思われる。私が本の霊たちにとり囲まれながら下に立って凝《じつ》と見上げると、暗い棚の辺りに、ゲエテやシルレルの顔が表れ、グレエトヘンの柔かな胸が現れ、本の頁の中で、メフィストフェレスとヴァレンチンの搏《う》ち合う剣の音が響いてくるような気がした。
本が沢山売れてはいけないか? 文学者が昔のように貧乏である方がいいのか? といわれると困るが、文学の本というものはそんなに売れる筈のないものなのである。現代のような文学時代でも、いい本は一定の量で止まるということを、私は或先輩の作家の談笑の中から、知った。
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