日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

記憶の絵24

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:ダイアモンドころは明治三十二年、昭和生れの人なんかにとっては大正時代でさえ昔であるから、それこそ昔の昔の大昔である。ロシ
(单词翻译:双击或拖选)
ダイアモンド

ころは明治三十二年、昭和生れの人なんかにとっては大正時代でさえ昔であるから、それこそ昔の昔の大昔である。ロシアに革命が起ってロマノフ皇帝一族が殺され、宮廷の人々は散り散りになって、それらの人々の持っていた宝石の類も、どこへともなく人の手から手へと渡ってしまった。そのおびただしい宝石の中の一つが、古物商の鞄の中に入って或日、私の母の家に運ばれた。微かに淡黄《たんおう》をおびていたが、一カラット七十のダイアモンドである。母の父親が母のためにそれを買った。
眼の大きな明治美人の顔と痩《や》せ形《がた》の姿、ことに母の青白くて指の長い手に、ダイアモンドはところを得たというように固く、冷たく光っていた。まるで無色の暗い炎である。やがて私のものになったダイアモンドは、私の顔には不満だったかもしれないが、手の方は淡黄で、美しかった私の父の手に似ていたから、直接住む場所としての私の指にはそれほど失望していなかったと思う。ところが、ダイアモンドが私の指の上で輝く機会は全くわずかだった。私は女であるから虚栄心はあって、それを嵌《は》めて歩くのはうれしかったのだが、出かける時に嵌めるのを忘れる時が多かった。それに指輪を嵌めていると指の根が擽ったくなる癖があって、外出先でも直ぐ抜いてしまったからだ。
戦後、売る運命だと知っていたら、もっと忘れずに方々に嵌めて行けばよかった。掻くなっても我慢して嵌めていて、自慢すればよかった、と今になって後悔しているのである。私はその指環をよく指に嵌めて見入っていた。私は極上品といわれている、真白に輝く種類よりも、暗く、冷たく光るその宝石《いし》の色が好きだったし、微かに淡黄なのも気に入っていた。それに私を溺愛した父親とどっちかという程、私を愛してくれた母方の祖父の手にふれたことがある、ということが懐しかった。その指環が私の手から永遠に離れ去ったのは、終戦後、銀座の裏通りにある、或宝石店の卓子の上でであった。終戦後の或日、とうとう一文無しになる日が近づいて来たので、弟の奥さんの縫った袋にその指環を入れ、帯止めに結びつけて疎開先から上京した。銀座へ出て、御木本、ダイアモンド商会、白牡丹、等を廻った末に、或一軒の宝石店で、私のダイアモンドは私の手から、禿頭の爺さんの手に、渡った。特筆しておきたいのは御木本の番頭の態度が立派だったことである。彼はけちなぞをつけず、今|家《うち》では入れませんので、と断った。宝石《いし》を売って、落したら一大事の大金を受取った私は、恐る恐るそれを直ぐ近くの銀行に一時入れ、その金の千分の一で新宿で上生《じようなま》を買って帰った。おかしかったのは緊張したので、宝石店の出口に下っていたベッ甲の大亀におでこを打つけたことである。後《うしろ》では爺さんが「あれっぽっちの金で泡をくっているわ」と思って見ていたにちがいない。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%