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記憶の絵28

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:しんかきしんかき、とは筆の名である。明治生れで、字を書くのが好きな人なら知っている筈だが、それは私が小学校のころ、細筆《
(单词翻译:双击或拖选)
しんかき

しんかき、とは筆の名である。明治生れで、字を書くのが好きな人なら知っている筈だが、それは私が小学校のころ、細筆《ほそふで》といっていて、お清書に名を書く時に使った筆よりも又一層細く、軸が綺麗な臙脂色に染めてあり、持つところの辺りに、鋭い刀《とう》で彫りつけたように斜めの細い線が入っていた。毛さきは錐《きり》の先きのように細い。言葉に気難しい私の父親が(しんかき)と言っていたのだから、たしかな名称にちがいない。私の父親は日本紙ではなく、真白な西洋紙の罫のないのへ、そのしんかきで原稿を書いた。
[#ここから2字下げ]
(ミス、キョルヌ、紅い花束を持ちて登場。)
或は、
(「哲学も、文学も、美学も、あらずもがなの神学も、ことごとく研究して、さうしてここにかうしてゐる、気の毒な、莫迦な、俺だな」)
そうかと思うと、
(何々夫人「それはさうなさつておあげなさらなくてはなりますまいかと存じます」)
[#ここで字下げ終わり]
なぞという一種独特の文章が、区切りのところに来なくては墨を新しくつけない、昔の本式の書き方で、しんかきの先きから流れ出た。私は自分もしんかきを買って貰い、それで夏休みの日記を書いたが、気が散りやすい、というのを通り越して、絶えまなしに気が散っている私は、すぐに書きそこなった。すると父親が来て、
「よし、よし」
と言い、間違えた字の部分《ところ》の紙の下に半紙を一枚敷き、硯の水を間違えた字の上に滴らすと、筆の軸で字の上からこまめ[#「こまめ」に傍点]に幾度となく軽く叩いた。すると間違えた字の墨が次第に滲《にじ》み出して、下の半紙の方に移った。その念入りな作業のあとでは、間違えた字は殆ど全く消え去るのだ。絶えまなく間違うから、父親のこの作業は私が日記その他、筆で書く宿題が、すっかり終る日まで日に何度となく、えいえいとして繰り返されたのだ。
前にも書いたように、父親にわからないところを質問するといやに落つき払って
「まず。」
と言い、私が指さす、わからないところの一頁も前のところからゆっくりと読み始めるじれったさにいやになって来て、「もういい」と言って説明を止《や》めさせようとする私も、この永遠のように長くかかる、墨の字を消す彼の作業にはひどく敬服していて、間違えると、父親を呼びに行った。
にくらしい間違えた字が少しずつ薄くなって、ついには亡霊のように、消え去るのを、私は頼もしげに眺めた。
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