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記憶の絵35

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:親子どろぼう私が幼い時、私の父親はたまに宮中に行って、天皇陛下のお席からはるかに、はるかに遠いところで御馳走をいただいた
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親子どろぼう

私が幼い時、私の父親はたまに宮中に行って、天皇陛下のお席からはるかに、はるかに遠いところで御馳走をいただいた。大正天皇のお葬いの列の中を、父が歩いているのをニュウス映画で見たが、よっぽど後の方にいた。その時は宮内省に勤めていたのだから、それでそんなだから、昔は軍人といっても軍医だし、軍人と小説家の兼業ではそんな時、天皇陛下のお顔はずいぶん小さく見えただろう。殆ど見えなかったかも知れない。天皇陛下から遠く離れていたからやった、というわけではないだろうが、父親はデザアトに出た(宮中のデザアトには銀紙包みのカラメルや、クリイム入りチョコレエトの玉が出たのだろうか?)チョコレエトや、紅粉で染めたざらめを上皮《うわかわ》にし、薄緑の砂糖の蔕《へた》をつけた苺の形をしたものなぞの干菓子を、そっと軍服の隠しに滑りこませて持って帰った。別にお土産として、銀の入れものに入ったボンボンも戴いたのだから、ずいぶん慾ばりだった。又、これは晩年に上野の山の博物館に通っていた時だったが、不忍池の水際で子供が捕《つかま》えておもちゃにしていた亀の子を買いとって、池へ放さないで、外套の下に隠して家に持って帰った。そのころ不忍池には蓮番小屋があり、蓮番人がいて、池の蓮の花もとってはいけないことになっていた。雁はむろんである。(今では蓮も減り、鴨が一羽浮いているだけだ。こんなことにしてしまったのは誰なのだ)亀の子だっていけないに定《き》まっている。不忍池と上野の山とでは警察や交番でいえば管轄ちがいかも知れないが、ともかく上野の山にある役所の長をしている人間が、禁じられている池の亀をひそかに持って帰るというのはどうかと思う。それは一寸したどろぼうである。その証拠には彼は外套の下に隠して帰ったではないか。軍服の隠しから銀紙に包《くる》んだ菓子を出して私にくれる時、亀の子を子供に見せる時、父親は恋の秘密をうち明ける人のような翳《かげ》のある顔で微笑《わら》った。
親が親なら子も子である。六つの時、ピアノの教師が手の甲の上に載せて練習《ルツソン》をさせた銅貨をぼんやり手に持ったまま家に帰ったのは無意識だったが、その時から間もなく母親の実家《さと》で、従姉の人形の、小さな袴を手に持っていた時、「帰りますよ」という母親の声がして従姉も友だちも皆ばらばらと立ち上った。私は従姉が持っている、紋織お召の上り藤立枠のや、紋羽二重の暈しの、小さな人形の着物が欲しくて我慢出来なかったが、特に紫繻子の袴は羨ましかった。私はどうしても袴を手から離すことが出来なくてそのまま、手に持って母と俥に乗った。見られてはいけないという意識がないので隠さなかったが、誰も気がつかないで家まで帰った。父親は微笑《わら》っていたが、母親の青くなった顔色と、直ぐさま私をつれて引返して、祖母や叔母たちの前に手を突いた母親のようすで、大変な事だと解った。親子どろぼうの、お話である。
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