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もめん随筆17

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:芝居の雪何かちよつとした調べものをしようと思ふと、ふだんの心掛けがわるいので大さわぎをしてあちこちひつくり返さねばならな
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芝居の雪

何かちよつとした調べものをしようと思ふと、ふだんの心掛けがわるいので大さわぎをしてあちこちひつくり返さねばならない。古いスーツケースだの支那鞄だの手筥だの埃だらけのものを引き出してきて探すのだけれど、ふしぎな事にはいつもきまつて目的のものは見当らず、代りにとんでもないものばかり出てくるのである。このあひだもあるお方から戴いた一枚の古葉書をさがすために押入れを一つ空つぽにしてしまつたが到頭それはなくて、ふるい謡の稽古本と清元の反故紙とのあひだからお正月の箸紙がたくさん出てきた。もう七八年も前大阪にゐた時分気に入つたのがあつて買ひためておいたのに、それからあとは何処へしまひ忘れたのかどうしても見つからなくていまごろひよつくり顔を出したのである。さあ今度はもう逃がさないぞと早速別な箱へ入れて眼につき易いところへしまひなほしたが、そんな品ものに出あふと何だか先方も心あつてかくれん坊でもしてゐたやうなへんな気もちがされなくもない。私は麻雀の習ひはじめ、吃《チイ》をする牌を思はず「つかまへた」といつてつかまへてしまつたのでいまだに家中のもの笑ひになつてゐるけれども、探しものをしてゐて思はぬところから以前に探した品を見出した時はやはり「つかまへた」といふ気がするのである。
お菓子のレツテルを手筥にいつぱい持つてゐる。大阪の鶴屋のものばかりで全部おなじ寸法のがそろつてゐるから、ときどき手筥をあけてさらさらと畳の上へ振りこぼすと、ちやうど芝居の雪を降らせてゐるやうで愉しい。それにしてもよくも親類うちからこれだけのお菓子をもらつたものと思ひ、今更のやうに大阪にゐたあひだの暮しがかへりみられるのである。貰ふものはお菓子ばかりではなくいまごろなれば河内のぶだう、高槻の松茸、秋もやや更けては大和の御所柿、年を越えて二月になれば灘から酒粕を、三月には千里山の筍、四月は堺から鯛を贈られ、六月一日には朝早く吉野川の鮎をもらつて四季折折の食味に欠くるところがなかつたが、書生そだちの私の何より心をなやませたのはさういふ届けものの使におためと云つて包む金子のふりあひで、すくなくてはもちろんいけずといつて多過ぎてもまたほどを知らぬと非難されるので、相手が番頭であつたり小僧であつたりいちいち釣合ひを考へねばならぬのが、まことに思ひがけない苦労であつた。家風にあはぬといふ言葉がいまだに生きてゐることをしみじみ身に沁みたのもそのころである。
何のためにこんなお菓子の紙なぞしまつておくのか自分ながら訳がわからないが、役にもたたぬがらくたをすつかり捨ててしまつて、押入れをきちんとしておく生活を考へると、病院できまりきつた栄養料理をたべさせられるやうな味気ない心地がする。十二年前の震災の時私は池袋に住んでゐたが、ちやうど漢口から妹夫婦が帰省してゐて、要心のいい夫婦は動乱にも馴れてゐるせゐかせつせと鞄をつめたり毛布を巻いたりして、第一の必要品第二の必要品と区別して逃げ支度をせねばならぬと教へてくれるのであつたが、私は取り散らされた家の中の何から先きに手をつけてよいかわからず、要ると思へば押入れの隅のがらくたまで一つ残らず必要であり、要らぬと思へば何もかもいらなかつた。その後大阪と東京といく度か住居をうつしてその度に家具や書籍は手放したが、手筥の底には相変らずおもちや番附だの千代紙だのらちもないものをしまつてある。芝居の雪を手筥にいつぱい持つてゐても初まらないが、煙草好きが煙草の匂ひをいつも指さきに嗅いでゐるやうに、私もやはり自分の雪を時時ふらして見たいのである。
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