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もめん随筆36

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:屋島の狸   一志道先生からお手紙を頂戴した。小学校で生徒に試験の答案を書かせるやうな藁半紙に、鉛筆で書いてある。オ手紙
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屋島の狸
   一

志道先生からお手紙を頂戴した。小学校で生徒に試験の答案を書かせるやうな藁半紙に、鉛筆で書いてある。
オ手紙拝誦
一昨日阿氏ガ帰来、マダ△△△△ノ稿料ヲ貰ツテヲラレヌトノ話ヲキキマシテ外ノ事ハトモカクモ、又イロイロノイキサツガアリマセウトモ
ソレダケハ甚ダ面白クナク、小生ノ身ニ引キクラベテ疳ニサハリ申候間
昨日早速△△△△社ヲ襲撃シテヤリマシタ、両名トモ息ヲ殺シテ不在デシタカラ帰ツテ来テ手紙ヲヤリマシタ、原稿ノ件ニツキ行キ違ヒガアツタサウダガ、間接ニシカキカナイカラ小生カラハ何トモ申上ゲラレナイケレド、ウチノ者ガ所用デ森田サンヲオタヅネシタ節、稿料ガマダトキイテ帰ツタ、ソレハドウイフ御都合ニシロイケナイト思フ、スミヤカニ届ケルベシ、右ハ森田サンカラ頼マレテ申スニアラズ、小生御紹介者トシテ申入ルルナリト云ツテヤリマシタ、屋島ノ狸ニ類シタカ知レマセンガ(狸ノ一件ハ御存知デセウネ)シカシ大変暑クナリマシタ、頼マレタノデナイカラウラミマセヌ
木田先生の処へ行つて、志道先生から頂いたお手紙の話をした。「両名とも息を殺して不在だつたさうです」といふと木田先生はふふふふとふくみ笑ひをしてをられたが、そのうちに突然何か思ひついたやうにあははと笑ひ出された。
「志道さんが行つてくれたのですか。それはよかつた」
「屋島の狸つてなんでせう。先生御存知ですか」
「知らないねえ。……それは志道さんにきいたらわかるでせう」
二タ月ほど前に、私は志道先生の御紹介である雑誌へ随筆を書いたのであつた。ちやうどその時私のものが中央公論にものる筈だつたので、それとかちあはぬやうにと再三念をおしておいたにもかかはらず、その雑誌社ではいろいろと勝手なことをしてしまつて、世間知らずの私はただ驚くばかりであつたが、その上にまたどうしたのかいつまで経つても稿料をくれないのであつた。それでもそんな場合にはどうすればよいのかわからないので、万事を木田先生にお願ひして、自分は手を束ねて茫然としてゐた処へ、志道先生からのお手紙が届いたのである。文中に阿氏とあるのは志道先生の奥さんのアダ名なので、用事で私をたづねて来て下すつた折、ツイ雑誌社の話も出たのである。
それから半月あまり経つたけれど、雑誌社からはやはり何とも音沙汰がなかつた。風の涼しい晩に志道先生のお宅へ伺ふと、先生はスポーツシヤツ一枚でビールを飲んでをられたが、失礼ですがといつてそのままの姿で面接された。
「ええと、晩の御飯はもうおすみになつた事と思ひますから、それについては何も申上げませんが、しかし何か差あげたいですね。どうぞ何なりと仰有つて下さい。冷蔵庫の中には氷をはじめとしてあらゆる食料品が貯蔵されてありますから」
「あら。氷のほかには何もありませんわ」と支那婦人のやうにきめのこまかな小がらな奥さんが色の白い頬を赧くされた。
「これは辞令と申すものさ。あなた方にはわからないのだから黙つておいでなさい」
志道先生が辞令を弄されるのは機嫌のいい時である。私はのんきに雑誌社の話をはじめた。するといきなり先生が大きな声を出した。
「わたくしは腹をたててゐるのですよ」
「ええ、それは……」と私はちよつと驚いて反射的に何かいはうとするのにすぐかぶせて、
「それは雑誌社に対しては勿論ですが、あなたにも腹をたててゐるのですよ」
「なぜです」
「なぜですつて雑誌が出てから一月経つてもまだ稿料を貰はないなんて、そんなじれつたい人がありますか」
「貰はないのではありません、くれないのです」
「それはさうですが、しかしじれつたいですよ、あなたがさ。……わたくしはまた雑誌社へ行きますよ」
「はあ、有難うございます。でもわざわざいらして頂くの大へんですからちよつとお端書でも……」といつてゐるうちに私は屋島の狸を思出した。
「あ、さうさう。屋島の狸つてお手紙にありましたけれど、あれはどういふ事なんでせう」
「あれツ」と志道先生はまるい眼をくるりつと一回転させて、ちよつとのび上るやうな容子をされた。
「あなたは狸の一件を知らないのですか、驚きましたね。……それではこれから質問いたしますが、まづ屋島は御存知でせうね」
「ええ知つてます。平家の負けたところでせう」
「いや、歴史の話ではないのですよ。屋島をごらんなつたことがあるかどうかおたづねしてゐるのです」
「地理の方ですか、それでは落第ですわ。第一瀬戸内海のどこにあるのだか地図を持つてきて探さなくてはわからないのですもの」
「いやだな、屋島を知らなくては話が通じにくいのだけれど。……屋島といふのはこんな風に(と先生は両手で空間に屋根の形をこしらへてみせて)まるで屋根のやうな形をして海に浮かんでゐるのですがねえ。わたくしなんかは毎日その島を眺めながら育つたのですが、その屋島に平家の落武者が暮してゐましてね、島の狸がまたその平家に大へん同情してひいきにしてゐるのですよ」
それで屋島の狸はいつも何か平家の手助けをしてやりたいと思つてゐるので、たとへば明日は屋根を葺き更へようなどと家の中で話してゐると、狸がそれを聞いて夜の間に屋根の藁をみなぬきとつてしまふのださうである。ところが藁をぬく時はいちいち揃へて束ねておかねばならないのでそれが面倒なのに、狸はただもう矢たら無性にひきむしつてそこいら中藁を投げつ散らかしておくものだから折角の親切が平家にとつては反つて有難迷惑に終つてしまふ。それで平家が何かしようと思ふ時にはいつも狸に知れないやうに、そつと内緒で相談しなくてはならないのださうである。
「おわかりになりましたらうね」
「ええ、よくわかりました」
氷のはいつた水を御馳走になつて私は自家へ帰つて来た。
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