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大都会07

时间: 2020-04-13    进入日语论坛
核心提示:花岡進の日記 四月十日、晴朝、出勤すると、同時に販促会議に出席。この頃家電の競争が激しいので連日のように販促会議が開かれ
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花岡進の日記

 四月十×日、晴
朝、出勤すると、同時に販促会議に出席。この頃家電の競争が激しいので連日のように販促会議が開かれる。そろそろ、テレビに伸びなやみが見られてきたので、何かうまみのある分野を見つけ出さなくてはならない。
ブレスト《ブレインストーミング》の結果ストーブというのがあった。こいつはいけるような気がする。
電気ストーブは電気代がかさむし、それにあまりあたたかくない。ガスはあたたかいが、空気はにごるし、第一、ガス代がベラボーに高くつく。しかし、石油ストーブにしたらどうだ? こいつはまだ中小メーカーの分野だが、案外、家電の盲点かもしれない。カンカンガクガクでいささか疲れる。昼は大阪グランドホテルで犢《こうし》のカツレツとトマトジュース。
 午後、宣伝課が撮ったPR用映画を鑑賞、色彩はよし、コマーシャルにもう一工夫欲しいところ。来客二組。
三時、今日が渋谷の結婚式であったことを思い出す。披露宴は五時半からである。どうしようかと思ったが、特急を利用すれば充分間に合うことが分ったので一応出席することにする。
岩村も東京からくるだろう。距離的にはいくらか近い大阪から行かないとまずいからな。
それにしても、よりによってこの忙しい時期に結婚しなくともよさそうなものを。
四時の「こだま」に乗り、会場に危うく滑りこみセーフ。ストーブのことで頭がいっぱいなので、スピーチの番が廻って来ても何をしゃべったかよく覚えていない。少し、用意をしてくればよかった。
岩村が誘ったので一緒に詩を朗読。学校を出てから三年にもなるのに、よくもまあ、あんな甘い詩が作れたものだ。
朗読の間、てれくさくてしかたがなし。
新夫妻を神宮前駅まで送ってからまっすぐ帰阪。岩村とはほとんど言葉を交さず。
三年の間にたがいの心は遠く離れてしまった。それだけ酷しい世界に生きてきたからかもしれぬ。
軽く手を挙げて別れを告げ、それぞれが属する組織へ帰るのだ。しかし、その組織すら全身を預けているわけではない。人は様々の組織に大小の差はあれ、自分の破片《かけら》を預けているにすぎない。
岩村も俺も、そして渋谷もみんな、人間の破片なのだ。今の世の中では人間と人間の全体のふれ合いなんて持てない。かけら同士がふとめぐり逢い、人生のたまゆらの時間を部分的に接触していく。
気ちがいみたいに山へ登ったあの頃も、今にしておもえば、かけらだったかもしれない。ただ、そのかけらの部分が大きかったから、たまには懐しく思えるのだろう。大阪着午後十一時、タクシーで吹田の自宅に帰ったのが十一時二十分、風呂へ入ってすぐベッドへもぐりこんだ。疲れていたので夢も見ずに眠る。
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