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大都会15

时间: 2020-04-13    进入日语论坛
核心提示:鳶《とんび》と油揚げ「部長、とうとう百円の大台を割りましたよ。この分だと今日中に安値顔合わせしますよ」場の気配を取ってい
(单词翻译:双击或拖选)
鳶《とんび》と油揚げ

「部長、とうとう百円の大台を割りましたよ。この分だと今日中に安値顔合わせしますよ」
場の気配を取っていた寺田が言った。
「よし、買え!」
山路は長い間ためていた息を吐き出すように言った。
「えっ?」
寺田が信じられないような顔をした。
「買え、買えと言ったんだ」
「しかし、まだまだ下りますよ」
「いや、もうこれ以上待てない、売り物は全部さらえ、いよいよ出動だ」
星電研カイ、矢は弦を離れた。今日まで、落ち続ける星電研をじっと睨みながらこらえにこらえていた。
インチキカラーテレビが協電側の工作であるから、実験再公開されればあっという間に反騰する。
それだけに連日ストップ安をつける�獲物�を目の前にしてじっと手を拱ねいているのは、苦痛ですらあった。
しかし、今こそチャンスだ。待てばもう少し下がるかもしれない。しかし、それだけ再公開の危険性も高くなる。星電研側では見通しがつき次第、再公開日を発表するにちがいないのだ。
今日までその発表がないのは花岡進の妨害工作が効いている証拠だ。しかし、花岡俊一郎から受けた指令は五日目の朝を期して一斉にカイを入れろというものである。
今こそそのときであり、しかも獲物は充分射程距離に入った。
「九十八円ヤリ二万八千株、九十五円ヤリ五万、九十二円ヤリが七万」
「もっと下を見ろ」
「あっ、九十円ヤリが出ました」
「よし、みんな買え!」
井口証券株式部に悽愴な活気が漲《みなぎ》った。誰も見向きもしないボロ株に大量のカイを入れたのである。下手をすれば額面を割りかねないボロ株に。——
事情を知らない社員は山路紫朗が狂気したのかと思った。
その日の大引けまで八十八円まで買い漁り、何と二十二万三千株を集めてしまった。発行株数の一割弱、しかも、�予算�はまだ三十分の一も費っていない。山路は花岡俊一郎の満足そうな顔を思ってほくそ笑んだ。もちろん、このたびの取引は協電と井口証券のものではない。あくまでも花岡と山路の個人的つながりにおいて打った芝居だ。それだけに山路の懐中へ入る金も莫大な額になるはずであった。
しかし、その金額も花岡俊一郎が掴むものに比べれば微々たるものである。
「金儲けをしたかったら上場会社の社長になることだな。自社株を自由自在に工作して売り抜けたり、買い戻したりしているうちに莫大な利ザヤを稼げる」
株式会社という巨人の操縦者達は、資本主義社会という利潤追求の戦国時代の中にあって自らが手にした巨人を自由自在に操りながら、一時的に信託された巨大な力を利用して、天文学的な利権を玩ぶ。自分はその利権のかすりを喰って生きて行く寄生虫のようなものかもしれない。
好調な買い占めのスタートと共に山路は自嘲めいた苦笑をもらした。
 翌々日の午後二時頃、協電社長室に一本の電話が入った。重大用件だということで秘書室から廻されたコールに、花岡は何事かと眉を顰めながら出た。
たいていの電話は秘書室で消化《こな》して、俊一郎が直々に受け答えする電話は一日に何本もない。
「ああ君か、何だ? 急に」
電話は山路からであった。
「社長、へんなんです」
場電の慌しい気配をそのまま伝える受話器の彼方から、山路の声が性急に話しかけてきた。
「何がへんなんだ?」
「買う奴が現われたんです。しかも大量に」
「何!?」
俊一郎は吠えるように言った。買うとは言うまでもなく星電株のことだ。買い占めを狙ってのカイだから多少の雷同《ちようちん》買いは覚悟していた。
しかし、大量のカイとなると穏やかではない。しかも、まだカイ出動してから三日目である。星電側の防戦買にしては早過ぎるし、菅野と村田証券を使って買い進んでいるのであるから、こちら側の意図が第三者の機関投資家や、大手の買い占め屋に見破られたとは思えない。
まだまだ資金に余裕はあったが、なるべくならできるだけ安く拾い集めたい。三日目にして大量カイの対抗馬が現われたとなると、せっかく、工作して崩した値が飛ぶことになる。
「それで誰が買ったんだ」
俊一郎は努めて平静を装いながら訊いた。
「東京の宮崎証券です。九十五円まで十六万株ほどさらわれました」
「何、十六万だと!」
俊一郎は唸った。何たること、苦心惨憺してやっと値を崩したところを、さっと横から拾われては、全く鳶に油揚げをさらわれたようなものだ。
「一体、誰が宮崎証券を動かしているのだ? まさか宮崎が独自の思わくで買っているわけではあるまい」
彼はつき上げるような憤怒を必死に怺《こら》えて言った。
「宮崎が独自に買っているとは思えません。内幕を知らないかぎり、今の星電株は株屋の常識からは敬遠しますからね。しかし、宮崎を動かす黒幕となるとちょっとさぐるのは難しいですね」
「探せ、どんなに難しくともだ」
おそらく、宮崎証券はある黒幕の指令を受けて買ってきたのであろう。俊一郎が井口証券の友好店である菅野、村田二証券を手先に使っているのと同じように、背景の黒幕の主をたぐり出すのは難しかった。
「申しわけありません。こんな大手のカイが出ようとは思ってもいませんでしたから。昨日九十四円まで買いまくったから、今日は少し冷やそうと様子を見ていたのがいけなかったのです」
山路は面目なさそうに言った。昨日九十四円カイが入ったからというので九十五円以上のウリが出ても、しばらく買注文を入れなければまた下がる。市場は今のところ一方的な買手市場であるから、買い占めが進んで品薄になるまでは、買っては冷やす操作が何回か効く。その間に九十五円までの売り物を宮崎証券にさっと横からさらわれてしまったのであった。
 同じ時刻、東京千代田区竹橋の菱井電業社長室に一本の電話が入った。重大用件だということで秘書室から廻されて来たコールに、盛川達之介は待ちかねたように出た。
盛川は朝から一本の電話を待ちうけていた。案の定そのコールは彼が待ちかねていたものだった。
「どうだ、うまいこと拾えたか?」
「はっ、九十五円まで、合計十六万株拾えました」
「よし、テキさん、今頃慌てふためいているだろう。どんどん買ってくれ」
「かしこまりました」
電話はそれだけのやりとりで切れた。
盛川達之介は送受器を置くとソファに深く身を沈めた。崩落した星電株を村田証券と大阪の菅野証券が買っているという情報を耳にしてから盛川は早速、幹事証券を通して星電株の買注文を出した。
大阪の買い占めの主は定かには分らないながらも、家電市場のシェアを激しくせり合っている協電か古川か住吉のどれかであろう。
昨日だけで二十二万株の浮動株が買われた。
これだけの資金を動かせる相手はいずれにせよ大物である。とすれば買っておいて損はない。——と頭の中で忙しくソロバンを弾いた盛川は、翌日の午前中にはカイの指令を幹事証券を通して宮崎証券に出していたのである。
「さて、これからどう転ぶか?」
盛川はマホガニーのデスクからハバナ葉のシガーを一本取った。
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