日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

食味歳時記25

时间: 2020-04-20    进入日语论坛
核心提示:議  論02 しかし、むつかしく考えさえしなければ、ウマい料理も、優れた料理人も、厳然として、存在するのだし、それを愉しむ
(单词翻译:双击或拖选)
議  論02

 しかし、むつかしく考えさえしなければ、ウマい料理も、優れた料理人も、厳然として、存在するのだし、それを愉しむのは、生きる知恵の一つである。
その方の知恵にかけては、フランス人だの中国人は、優れてるから、料理に関する書物も多い。中国では、古くから、有名な本が、相当あるらしいが、フランスでは、ブリア・サヴァランの『味覚の生理学』(邦訳、『美味礼賛』)が、最も聞えてる。
題名の示す通り、『味覚の生理学』は、料理書というより、食い、味わうこと一般の学問的随想のようなものだが、人生の書としての一面も、持ってる。著者は、女性も食味の鑑賞家として認め、妻が良人と一緒に、食事の快楽を共にし共に語り、共に笑い、一つのテーブルから、やがて一つのベッドへ移行することを、幸福の典型としてる。東洋では、中国でも、日本でも、妻が食欲や味覚に耽ることを、望んでいない。料理人もしくは給仕人として、認められるのみである。
日本人は、フランス人や中国人のように、料理の優れた古典を持たぬのは、長い期間、国民が粗食に甘んじてたからだろう。徳川中期までは、権力者だけが美味を知ってたとしても、国民がほんとに食味に眼覚めたのは、明治に新文明が入ってからで、食生活も一変した。今の日本人は、世界に類例のないほど、食いしん坊となり、フランス人や中国人を凌ぐに至ったが、顧みれば、明治百年の歴史に過ぎない。
日露戦争直前に、村井弦斎の『食道楽』という小説が書かれ、ブームを起したが、私の母や姉が夢中になって、読んでたのを、目撃してる。私も当時この小説の一部分を覗いたことがあるが、筋は至って単純で、お登和さんという美人の令嬢が、結婚するだけのことだったと思うが、彼女は料理の名手で、小説の随所に食物の講釈と料理法が、明細に出てくる。従って少年の私にとって、何の興味もない小説だった。
しかし、昨年、私はこの小説の全巻を、入手することができた。正続八巻の厖大なる小説である。そして、幼時の記憶は誤らず、これは世界に珍しい、料理小説であり、これだけのものが、あの頃に書かれた事実に、驚嘆し、更めて、明治文化の実質を、考えたくなった。
勿論、文芸として感心するところは、一つもない。しかし、小説の形を以て書かれた料理書として見る時、その内容の豊富さ、知識の該博さに、驚嘆するのである。ことに、洋食に関する記載が多く、フランス料理を伝える場合に、フランス語の誤りは散見するけれど、本格的な紹介を忘れてない点は、遠い明治という時期を考え、驚くべきことである。それは、小説を書くために、著者が調べたというよりも、彼がすでに知り、経験し、実践したことを、織り込んだとしか、思えないのである。今の作家の行うような俄か勉強(私もよくそれをやったが)で、あの小説は、断じて書ける道理がないのである。
私は、村井弦斎という作家に、興味を持った。
当時は、尾崎紅葉を頭目とする、硯友社一派の文芸が全盛で、風流と恋愛が、小説の基調だったのに、料理小説を著わすなぞは、反逆的であり、どういう考えだったのか。食物や料理に興味を持ってたにしても、それを小説に結びつけるというのは、大胆で、独創的ではないか。文壇で甘やかされる作家には、そんな構想は、思いつかないだろう。きっと、主流派から冷遇されてた人にちがいない。
そして、私は日本文学大辞典によって、村井弦斎の経歴を知った。
彼は文久三年豊橋市に生れ、明治初年東京外国語学校露語科に学び、銀行員、煙草の行商人なぞを経て、明治十八年渡米。帰朝後は報知新聞に入り、小説『小猫』を書いた。やがて同紙の編集長となり長編『日の出島』を書き、非常な歓迎を受けた。『食道楽』はその後、報知新聞に掲載されたもので、三十九年「婦人世界」の編集顧問となり、同誌に料理法、医療法等の方面で、独自の研究を発表した。作風は芸術的香気に乏しく、当時の評論家より、嘲罵を受けたが、発行部数は、常に他の小説を圧倒していた。昭和二年、平塚に於て没。
以上で、村井弦斎の一半を知ったが、なるほど、風流文士の一生ではなかった。『日の出島』という代表作は、どういうものか知らないが、その視野や態度は、当時の文士と異っていたのではないか。
しかし、『食道楽』は、明らかに、奇書であり、珍小説であって、弦斎の名を、後世に残すだろう。私も『バナナ』という新聞小説を書き、食いしん坊の主人公を扱ったことがあるが、とても、『食道楽』のように、食物に終始することはできなかった。『食道楽』は、胃と腸との問答から始まり、食べるということの生理や戒めを説きながら、大食漢の人物を登場させてる。そして、巻末には、日用食品の分析表とか、小説中に書いた料理法の索引とか、台所の手帳という空欄のぺージまで、附いてる。最初から、文学的作品を書く所存は、なかったらしい。
そして、南京豆の汁粉の料理法が、紹介されるのだが、その中に牛乳を入れるなんて工夫は、どこから仕入れてきたものか。その他、明治三十年代では、まだ普及しなかった豚肉料理の美味と栄養を説き、東坡肉のような中国料理法も、詳細に書いてある。
著者の態度は、明らかに、啓蒙的であり、従来の食生活の欠陥を補い、新しい材料と新しい味の鼓吹に、努めてる。洋食や中国料理に、力点が置かれたのも、当然だろう。
当時の日本人は、食物の上にも、新文明をとり入れんとする要求が、かなり昂まっていたところへ、この大長編が現われたのだから、ことに女性の読者が、いかに喜んだか、想像にあまる。『食道楽』によって、日本の家庭料理は、相当の影響を受けたろう。恋愛小説と比較して、その効用や如何?
そして、その料理を伝える人は、常に美人で名料理人のお登和さんであり、こんな女房を持ったらと、男性の読者も、垂涎したろう。
大正期に、神田の学生街に、おとわ亭という洋食屋があった。無論、お登和さんの名を用いたのだが、べつにウマい洋食を食わせる店ではなく、ただ、安いのが看板だった。カツレツでも、シチュウでも、八銭ぐらいだった。その頃、三田の学生だった私は、ただ安いがために、神田へ出張して、おとわ亭の料理を飽食したが、『食道楽』の余勢は、まだ、その時まで続いていた、証拠になる。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%