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食味歳時記30

时间: 2020-04-20    进入日语论坛
核心提示:今 朝 の 秋05 枝豆を夏のものと思うのは、東京の習慣ではないのか。事実、青い枝豆は、初夏に出始め、両国の川開きの頃には、
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今 朝 の 秋05

 枝豆を夏のものと思うのは、東京の習慣ではないのか。
事実、青い枝豆は、初夏に出始め、両国の川開きの頃には、盛りとなる。川開きの花火を見るために、柳橋あたりの料亭へ、よく招かれたが、川ぷちの桟敷で出される食事は、前日にでもこしらえるのか、一つとして、ウマいものがなく、ただ、枝豆のみに、手が出た。その枝豆は、よく実り、味もよく、川風の涼しさと、花火の音に、調和した。私は、五月場所のソラ豆と、川開きの枝豆とを、一番、所を得たものと、思ってた。
そして、枝豆は夏のものと、信じてたのだが、四国へ疎開した時に、七月に枝豆を註文したら、
「今頃、そがいなもの食うて、どがいしなはるぞ」
と、土地の人から、笑われた。
枝豆はあるが、秋に食う習慣らしい。それに、枝豆という名称はなく、タノクロマメ(田の畔豆)という。田のアゼ道に植えて置いて、秋になって、枝も皮も黄色くなり、充分に実の入った時に食べ、また、味噌なぞの材料にするらしい。
枝豆を、夏に食わないで、どうするのだと、私は憤慨したが、それは東京人の習慣に過ぎず、全国的には、秋のものとなってるようである。芋名月、豆名月という語があるが、十三夜の時に、枝豆を上げるのが昔の習慣らしい。
それはともかく、私は、川開きの時の枝豆──つまり、関東産の枝豆を、美味なものと、思ってたが、近年になって、その誤りを知った。
枝豆は、越後とか、庄内平野のものが、ウマいのである。最初に、写真家の浜谷浩夫人から貰った、新潟の枝豆で、味を知り、やがて、酒田の本間家が、毎年、初秋に、東京で催す枝豆を食う会で、真価がわかった。
新潟のも、酒田のも、実がマルマルと肥えて、見るから立派だったが、食べる時に、オナラの臭いがするのも、同一だった。最初は辟易したが、そんな臭いがすることが、豆の味のウマさと、密接な関係があるらしく、しまいには、それが魅力となった。
数年前に、私は友人と、出羽三山の紅葉を見に行き、帰途に、酒田の本間家を訪れた。そして、古い料亭で、ご馳走になったが、その時も、今年最後の枝豆だといって、食卓に出てきた。酒田の人は、よほど、枝豆が自慢らしく、さア、沢山あがって下さいと、出席した市長さんまでいった。
紅葉時でも、枝豆があるのである。でも、やはり、新秋頃が、一番のシュンなのではないか。なぜといって、その時の最後の枝豆は、あんまりオナラの臭いがしなかった。
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