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食味歳時記38

时间: 2020-04-20    进入日语论坛
核心提示:鍋01冬が始まって、ものがウマくなるというのは、日本独特の現象ではないのか。霜が降りると、味を増すのは、菜類ばかりではない
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鍋01

冬が始まって、ものがウマくなるというのは、日本独特の現象ではないのか。霜が降りると、味を増すのは、菜類ばかりではない。年を越して、寒に入ると、寒ブリだの、寒ブナだの、魚までウマくなってくるというのは、どうも、不思議である。
初夏の食べ物も、悪くないが、私なぞは、冬を感じる魚菜の方に、心を惹かれる。老人と冬は、ウマが合うのかも知れない。食物に味が乗るばかりでなく、何か、心が落ちついて、静かに、ものを味わうことができる。
十二月の声を聞いて、卒然と食べたくなるのは、まず、フグである。フグ料理店は、十一月から開業するが、やはり、冬景色になってからの方がいい。第一、橙が大きくなる。橙とフグの関係は、マグロとワサビ以上に密接である。
私は鮎の次ぎに、フグが好きだから、毎年、季節を待ちかねるのだが、いつ頃から味を覚えたのか。フグは江戸時代の繩のれんの食べもので、明治になってからも、下賤食だったし、私の家では、フグの毒を怖れ、食うべきものと、思ってなかった。ほんとは、東京の繩のれんのフグは、ショーサイ・フグで、無毒のものだったが──
私ばかりではない。東京で一般人が、フグを食べ出したのは、大正の欧州戦の好景気頃で、築地に�佐久間�という店ができた。下関のフグを、現今の形式のように、いわゆるフグ・づくりの刺身とチリ鍋のセットにして、商売を始めた頃からだろう。でも、その店は、実業家なぞが、珍しがって、出かけるので、貧書生は、近寄れなかった。とにかく、フグの刺身というのは、それまで東京では行われず、繩のれんのフグも、フグ鍋に過ぎなかった。そして、下関風のフグ料理は、中毒しないという評判が、驚異的だった。
私がフグの味を知ったのも、その時代だった。私の渡欧は、大正十一年だが、その前年あたりの晩秋に、亡父の郷里大分県中津に、病いを養ってる伯父を、見舞ったことがある。
私は一週間、伯父の家に滞在したのだが、その間、毎晩、フグを食わされた。といって、チリ鍋であって、もし、刺身を出されたら、私も思い切って、箸をつける気にならなかったろう。
それにしても、初めてフグを食うのに、それほど躊躇を感じなかったのは、食いしん坊の生れにちがいない。そして、食って見ると、実にウマい。こんなウマい魚は、食ったことがない。木下謙次郎の『美味求真』にも、出てるように、あの地方は、フグの本場である。あの附近のフグが、下関の名店に、集まるのである。
最初の晩食って、翌朝、無事で生きてたので私は、一度で、味をしめてしまった。それで、伯母に、他の何の料理も出さないで、フグ鍋だけにしてくれと、頼んだ。今から考えると、どうも、危険な話だが、そのフグ鍋は、伯母の手料理なのである。フグをおろす時は、水洗いが大変らしいが、伯母も、その辺は心得てるのだろうが、家では、活きたフグしか買わないから、絶対大丈夫と、威張ってた。値段は、死んだフグの倍だそうだが、味もよく、中毒のおそれなしといってた。しかし、活きていれば、毒がないというのは、無論、妄断である。
伯父の家のフグ・チリは、今から考えると、フグ料理店のそれと、よほどちがってた。骨つきのアラなぞは、一切、用いない。普通の刺身状に、身ばかりを、厚く切るのである。それを、沸騰する鍋の中に、平ガナの�の�の字を書く要領で、回転させ、すぐ、ポン酢に漬けて、食べる。つまり、長く煮るな、ということらしい。
純白な肉の軽さ、ウマさ。木下謙次郎に形容させれば、�肉は清澄にして光輝あり、白玉の如く、味は嬌嫩《きようどん》にして、甘膩《かんじ》なり。所謂淡にして、薄ならず。肥にして、|※《こう》ならず�ということになるが、つまり、サッパリしてるのに、味が深いという意味だろう。
この頃は、誰もフグを食うから、味を説明したって、仕方がないが、とにかくウマくて、ウマくて、一週間、毎晩食って、飽きなかった。添え野菜は春菊と豆腐だが、それも全部食って、残りの汁に、飯を入れて、雑炊にするのが、酒の後の愉しみだった。一つには、ポン酢に使う橙が上等だった。あの附近は柑橘類の名所で、伯父の家は、古い武家屋敷だったが、その裏庭には、橙、仏手柑、ザボンの類が、枝もたわわだった。
伯父の家のフグ・チリは、恐らく、中津の武家の料理で、フグに中毒して死んでは、主君に申訳がないから、生食の刺身は勿論、皮や内臓には、手を触れないという結果を、生じるのだろう。近くの別府へ行けば、極めて危険な内臓も食う。刺身は、無論である。別府は、町人の町で、ウマいものなら、何でも食うのだろう。
フグ通に聞かせたら、中津の武家流のフグ・チリなぞは、勿体ないことをするといって、憤慨するかも知れない。あの絶味の白子なぞ、捨てて顧みないからである。でも、東京のフグ料理店を、食い慣れて見ると、骨ばかりのフグ・チリが、あじけなくなって、中津風のが試みたくなる。
フグの刺身は、東京で口にしたのだが、勿論、ウマかった。身も結構だが、皮だの、軟骨だのが、もっと好きになった。
ところで、一体、フグの刺身は、獲れてから何時間ぐらいたったのが、一番、美味なのか。普通、魚は活きたのを、すぐ食べるのが、最上とされてるが、フグは、その点、少しちがうらしい。『美味求真』にも、フグが腐敗しにくい魚であることが、書いてあるが、鯛なぞも、あまり新鮮なものの刺身は、硬くて、ウマ味がない。
死んだ�ふく源�の主人は、捕獲後十八時間が、食べ頃と称してた。あの主人は、典型的な九州人で、フグに一生をささげたような男だったから、その言を信ずべきだが、私の友人のフグ好きは、大分生れの福岡育ちで、活きフグに限るという。どっちに与みしていいのか。刺身の問題は、微妙だが、私の経験では、フグ・チリの場合に限り、鮮度高き方がいい。中津のチリに匹敵するものを、東京では、一度も食ったことがない。
私もフグは好きだが、東京のフグ料理の高級化は、ちっとも感心しない。フグなんて、下賤の食べものにして置きたかった。繩のれんの食べものを、金持ちが手を出して、高い値段にしてしまったのである。飛行機で、下関から取り寄せるようなことをしないで、近海のフグで、間に合わせたらいい。木下謙次郎に依れば、東海のトラ・フグは、バカにできない、逸品だそうである。
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