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食味歳時記39

时间: 2020-04-20    进入日语论坛
核心提示:鍋02 初冬に食べたくなるものは、フグに次いで、おでんである。十二月になると、無性に、おでんが恋しくなるが、若い時とちがっ
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鍋02

 初冬に食べたくなるものは、フグに次いで、おでんである。
十二月になると、無性に、おでんが恋しくなるが、若い時とちがって、一人で出かけるのが億劫になり、誰か連れをと思ってるうちに、新年になると、もう誘惑を感じなくなる。どうも、近頃、おでん屋へ行こうといっても、快諾する男が、少くなった。おかげで、毎年、おでんを食いそびれてる。
そんなわけで、近頃、どこにウマいおでん屋があるのか、一向、不案内である。一説によると、おでんというものは、儲からないので、小料理の方へ身を入れて、おでん鍋をおろそかにするから、ウマい店なんて、あるわけがないという。それが真なら、悲しむべきことである。
おでんは、ウマいものである。フランス家庭料理のポ・トオ・フウは、おでんに似てるが、私はおでんの方が、好きだ。そして、両方とも、熱いうちに、カラシをつけて食べるが、おでんは家庭でやっても、どうも、うまくいかない。おでん屋を訪れざるを得ないが、行くに値いしない店が多くなっては、困ったものである。
昔の東京には、ウマいおでん屋が、二軒あった。一軒は、神田須田町の�丸銀�であり、他は新宿のムーラン・ルージュの向側にあった、�三角�とかいう店であるが、共に、現存せず。
丸銀の方は、東京風のおでんで、多町に青物市場があった頃だから、そこの連中を顧客とし、材料も吟味した。おでんなぞ、材料はどうでもいいと思ったら、飛んだことで、いいタネを使う店は、のれんを潜った途端に、匂いがちがう。豆腐、ガンモ、大根の類よりも、ナマグサモノの竹輪、スジのようなものを、名ある店から仕入れたのと、駄ものでは、すぐ匂いに現われる。従って、丸銀のおでんは、他店より少し高かったが、おでんなぞは、少し高い家で食った方が、トクなのである。
新宿の方も、材料はよかったが、ここはいわゆる関東だきで、関西風のおでんだった。恐らく、東京に進出した、最初の関東だきだったかも知れない。
関西風の薄味おでんは、最初は馴染めなかったが、酒を飲むには、この方が好適と、思うようになった。ことに、豆腐が、好下物だった。東京風おでんの豆腐は、焼豆腐だが、関西風では、生豆腐を用い、少し味のついた湯豆腐のような、煮え加減のを、カラシでなく、ネギの薬味で、食わせた。しかし、ガンモや芋は、薄味でもいいが、コンニャクは、東京風でないと、頼りなかった。
一体、おでん燗酒の趣味は、東京的であり、その証拠に、関西でも、関東だきと称してるが、かりに、おでん文化というものありとすれば、今の時点では、関西に移ってると、思われる。
東京に、われこそはという店(丸銀のような)がなくなったが、大阪には、�たこ梅�が健在である。この店は、幕末以来ののれんを、誇ってるが、おでんで売った店なのか、それとも、独特の煮物のタコを、看板としたのか。とにかく、現在は、両方を食いに、客がくるのだが、他には、何もできない。しかし、明石産の中型のタコを、ここよりも味よく、柔かく食わせる店は、大阪にもないだろう。ただ、おでん鍋には、タコを入れない。おでんの味を出すのは、鯨の乾したアブラミの「コロ」らしいが、これは、ちょっと臭いけれど、慣れると、いうべからざる魅力となる。それから、東京なら、里芋か八つ頭を用いるところを、ジャガ芋である。私は、これは、感心しない。しかし、ガンモでも、練りものでも、いいものを使ってる。そして、酒がいい。錫の大徳利から、錫の大グイ飲みに、注いでくれるのだが、実に満ち足りた飲み心地に、誘ってくれる。
この十数年来、私は大阪へ行くと、必ず、�たこ梅�の軒をくぐるが、数年前までは、先代のオヤジが、生きてた。曾我迺家五郎のように、ズングリした、典型的大阪人体躯で、一切、客と口をきかず、黙々として、カラシを溶いてた。この男が、何かの折りに、私に話しかけた時には、同行者が、奇蹟が起ったといって、笑った。爾来、仲よしになって、セガレが東京へ出る時には、タコを届けてくれた。そのうちに、オヤジは中気になり、臥床したが、何という執念であるか、自宅へは帰らず、タコとおでんの匂いのする店の一間を、離れようとしなかった。三年ほど前、大阪へ行った時に見舞ったら、元気ではあったが、ロレツが廻らず、好色の話らしいことを始めても、意味が通じなかった。それから間もなく、オヤジは他界したが、彼の私に残した印象は、極めて強烈で、私が大阪弁に堪能だったら、一度は、彼のことを、作品にしたかも知れない。
�たこ梅�は、大阪の誇りになるおでん屋だが、その他にも、北のお初天神の近くに、優秀な店があるらしい。また、京都にも、一軒、よい店があると、聞いてる。それらの店は、材料を精選するのみならず、できる限り自製すると聞いたが、優秀おでんの秘訣は、その辺にあるのだろう。現下の東京に、それだけの心がけの店が、ありや、なしや。
しかし、寒夜の路上から、おでん屋の店内に入った時のあの匂い、そして、鍋前でつつましく、酒を飲んでる客——その雰囲気は、私にとって、若い時から、無上のものであり、他のどんな種類の飲食店にもまさった。所詮、私は貧乏性の生れなのだろうが、下司の味を知って、不幸と思ったことは、一度もない。
ああ、今年もまた、おでんが食いたい。
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