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食味歳時記40

时间: 2020-04-20    进入日语论坛
核心提示:鍋03 私の貧乏性は、近年、馬肉鍋の味を知るに至って、極限に達したが、老人の肉食として、これ以上のものはない。しかし、馬肉
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鍋03

 私の貧乏性は、近年、馬肉鍋の味を知るに至って、極限に達したが、老人の肉食として、これ以上のものはない。しかし、馬肉のことは、他所でも書いてるから、ここでは触れない。
冬の食いしん坊は、どうしても、鍋料理に尽きる。本来、鍋からジカに食事するのは、下司の習慣とされた。確かに男子の品性を、養う所以ではない。
私が子供の時に、母親が牛鍋をしてくれると、大喜びだったが、牛肉は、せいぜい百匁しか買わず、それを一家で食うのだから、骨肉相食む事態も起きてくる。
「兄貴、肉ばかり食ってやがらァ」
と、弟から、痛烈な糾弾を、受けた。私としては、食いたくもないネギや豆腐にも、手を出してるつもりなのだが、やはり、度数が少くなるのだろう。大勢でスキ焼を食うエチケットというものが、要求されるわけだが、一方、弟と肉を争った時代が、ひどく懐かしく、品性の下落も、ものかはである。
鴨のスキ焼を食べるようになったのは、もう、初老の頃だったから、箸の合戦を闘わすこともなかった。私の家では、いわゆるお狩場焼にするのだが、鴨には合ってるようだ。もっとも、スキ焼の鋤《すき》の語源は、きっと、お狩場焼の鍋の形から、きてるのだろう。
私がお狩場焼を知ったのは、宮内庁の御猟場に、招かれた時だった。自分の網で捉えた鴨を、あまり風情のない食堂で、お狩場焼ということになってるのだが、ほんとのところ、自分で獲った鴨か、どうか、疑問である。獲れたての鴨は、あまりウマくないから、数日前の獲物かも知れない。
御猟場の鍋は、やや大型で、鉄の質もよく、絶対に焦げつかない。生醤油をかけた鴨の肉と、ブツ切りのネギだけで、それを鍋に入れて、あまり焼け過ぎないうちに食べる。単純といえば、これほど単純な料理もない。しかし、味は、結構だった。お酒(日本酒)も頂いたが、制服のお役人のお酌は、何だか、おかしかった。
その時、ちょっと聞いた話だが、御猟場でご馳走になる場合に、モツを頂きたいというような通は、断じて、列べるものでないらしい。モツなぞというものを、招客に出すのは、非礼になってる。といって、捨ててしまうわけではなく、鴨を料理する係員の役得となるらしい。その秩序を破るような注文は、避ける方がよろしい。
私は鴨が好きで、鴨の臭気も、嫌わない。あまりサッパリした鴨は、食ったような気がしない。一昨年だったか、宍道湖の鴨を貰ったが、これは、脂の乗り工合も、臭さも、満点だった。
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