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食生活を探検する18

时间: 2020-04-21    进入日语论坛
核心提示:スワヒリの食事「イシゲ、チャイができてるぜ」顔を洗いおわると、ラシディがいう。チャイとは茶のこと、朝の紅茶の一杯から、ス
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スワヒリの食事

「イシゲ、チャイができてるぜ」
顔を洗いおわると、ラシディがいう。チャイとは茶のこと、朝の紅茶の一杯から、スワヒリの一日の生活がはじまる。紅茶といっても上等のものではない。ヤカンに入れて、煎じないことにはよく出ない代物である。お茶には、砂糖をどっさり入れる。コップ一杯の茶にたいして、茶サジ七杯分は砂糖が入った甘ったるいものだ。だが、なれてくると、この飴湯のような紅茶を飲まないことには、朝がはじまらないような気分になる。
雨季になると、草が生えダトーガ族の牛の乳の出がよくなる。すると、ダトーガの少年が、ヒョウタンやソーダの空瓶にミルクを入れて売りに来る。毎朝、ミルクティーが楽しめるようになる。
風邪気味のときは、お茶にコショウを入れて飲むといいと言われる。なるほどコショウ入りのお茶を飲むと、身体中がぽかぽかとしてくる。ぜいたくをするときには、肉桂、ショウガ、丁字などの香料をお茶に入れる。
スワヒリが、日常紅茶を飲むようになったのは、英国植民地時代だ。その以前は、ウジという重湯のような飲物を朝に飲むならわしであった。インド植民地の茶と砂糖をアフリカ原住民に売って、白人は膨大な利益をあげた。その後、東アフリカでも、茶が栽培されるようになっている。スワヒリの家計のなかで茶と砂糖が占める割合は大きい。
ときには、茶のかわりにコーヒーが用いられる。本場のキリマンジャロ・コーヒーだ。コーヒーも、粉末をヤカンのなかで煎じて、そのままコップにあける。|澱《おり》ごと飲んでしまうのだ。
スワヒリの朝は、茶一杯でおしまい。食事は、昼、晩の二回である。昼と晩と、どちらが正餐ということはない。昼でも晩でも、同じようなものをたべる。
ラシディ家の日常の食事は、ウガリとボガである。ウガリは多くのスワヒリの主食である。これはトウモロコシの粉でつくったソバガキのようなものだ。ときには、モロコシ、キビなどのミレット類の粉やキャッサバの澱粉からもつくられる。
 ウガリのつくりかた  台所部屋の三個石をならべた炉のうえに深いナベをのせる。約一リットルの水に塩少々を加え、沸騰させる。ついでトウモロコシの粉を片手いっぱいにつかんで、三、四回ナベのなかに手早くほうりこむ。すぐに、キピキチョとよばれる木の枝わかれの部分を利用して作ったカキマゼ具(図をみよ)をナベのなかに入れて、キリモミをするように回転させる。手早くしないと、粉にシンができ、生煮えの団子状に固まってしまう。

スワヒリのウガリつくり道具
上・ボ   イ、ウガリをこねるさいに、ナベが回転しないようナベおさえに使う。木の枝わかれを利用してつくる。
中・ム イ コ、さらに粉を加え堅くなったウガリをこねる木さじ。
下・キピキチョ、ナベのなかでスクリュー状に回転して、トウモロコシの粉をむらなく湯に溶かす道具、木の枝わかれを利用してつくる。
 
 ナベのなかに、うすいノリのようなものができる。こうなったら、多量の粉を入れても、団子状にかたまることはない。ノリのなかへトウモロコシの粉をさらに、一キロくらい加えて、こねる。これをこねるには、大変な力がいる。女の仕事で、ウガリこねと薪ワリが一番の力仕事だ。力を入れた拍子にナベが炉からころげ落ちないように、ボイと呼ばれる木の叉を利用してつくったナベおさえ(図)でしっかりナベを固定し、ムイコとよばれる主婦連に貸したらよいような大きなシャモジ(図)でもって、エッサエッサとこねまくる。七分間もこねると堅ねりのソバガキのようなものができる。ナベをさかさにして皿、あるいは洗面器のうえにポンとのせる。するとナベ底の形そのままに、小山のようなウガリの一皿、約五人前ができあがる。
ボガとはおかずのことである。もともと、ボガとは、スワヒリ語でヒョウタンを示すことばであった。それが野菜や食用になる野草をも意味するようになり、転じて、また、オカズ一般を意味することばになった。
ムレンダという食用になる半野生の草のオカズは、ボガ・ヤ・ムレンダ、カンバレというナマズに似た魚の煮つけは、ボガ・ヤ・カンバレ。スワヒリ語では、肉をニャマというが、肉のおかずは、ボガ・ヤ・ニャマと呼ぶ。このように、スワヒリ語での料理の命名体系は、料理に使う材料の名でもって名づけられているようだ。
最も一般的なスワヒリのオカズは、野菜あるいは、野草からつくられる料理である。
 ボガ・ヤ・クンディのつくりかた  クンディとは、サツマイモの葉のことである。サツマイモの葉のやわらかなものを集めてつくる。
まず、ナベにラッカセイ油を入れて熱する。これに、タマネギ、トマトをきざんで炒める。マナ板というものがないので、タマネギ、トマトはナベのうえでナイフでけずり落すようにする。
タマネギに充分火が通って、すきとおってきた頃をみはからって、サツマイモの葉を入れ、ちょっとかきまわす。つぎに、ひたひたになる程度の水を入れ、岩塩で味付けをする。野菜がすべてぐちゃぐちゃになるまで煮つけて、出来あがり。この料理法が、スワヒリの料理の最も一般的なものである。すなわち、サツマイモの葉のかわりに、他の野菜を入れる。あるいは、魚、ヤギの肉とか、牛肉を入れるといったふうに、材料が変化するだけで、タマネギ、トマトの油いためをベースに塩味をつけて煮るという、料理の方法そのものとしては変化がない。
ごくときたまには、店から買ってきたカレー粉を入れることもある。基本的には、調味料は塩だけ。コショウ、肉桂などの香料は、茶あるいは、さきにのべたウジに入れるが、調理用には、ふつうは用いない。
日常のおかずは植物性のものが多い。マンゴーラで手に入る野菜は、タマネギ、トマトが主であり、外に、ササゲ、ヒョウタン、ラッカセイ、キャッサバ、サツマイモ、クッキング・バナナ(果実が熟しても澱粉が糖化しないので、生食してもジャガイモを生でかじったようである。焼くか、煮て食用とする)、ニンニクである。
タマネギ、トマトのほかは、野菜よりも、野草のほうが多く、日常の食卓に供される。野草つみは女の日常の仕事の一つだ。マンゴーラのスワヒリが食用に利用する野草は三十二種類であった。
食事の際、ボガとウガリは別々の皿に盛られる。皿はゴザの上におかれ、一同アグラをかいて坐る。女もアグラを組む。まず、手を洗ったのち、ウガリを指先でつまんで団子状にする。熱いウガリを指先から手のひらにうつして、二、三度宙に放りあげるようにしながら、手のひらと指で器用に団子状にする。
ウガリを指先にもったまま、ボガの皿へ手を出して、汁に団子をひたす、あるいは、ウガリにボガをそえて、口のなかへほうりこむ。これらの動作を右手だけでやってのけるのだ。
ウガリの味はどうだって? あなたは、トウモロコシの粉で作ったパンやスイトンの味をごぞんじかな。いくら食糧難の時代でも、配給のトウモロコシ粉を日本の主婦が工夫してつくったトウモロコシのパンやスイトンのほうがうまかった。
居候方式の調査のてまえ、わたしはウガリの主食で百日近くは過しただろう。だが、スワヒリの間で長期間の住み込み調査をした和崎さんは通算すると、一年半くらいウガリをたべ続けた勘定になる。
スワヒリの祝い事のときのご馳走は、肉とメシだ。肉はヤギの肉が使われることが多い。肉の料理法は、先にのべたトマト、タマネギ、塩の味付け。
コメのたきかたは少々変わっている。コメ・水のほか塩とラッカセイ油を入れてフタをせずにメシをたく。もっとも、フタ付きのナベは、スワヒリの家庭で見たことがないが……。米の芯まで火が通ったところで、カマドから薪を引く。ついで金属製の洗面器でもって、ナベにフタをする。炉のしたの|おき《ヽヽ》火をつまんでは洗面器のなかに置く。こうして、ナベの上下から余熱を加えられる状態にして、わずかに焦げつくまでメシをむらすのだ。そこでスワヒリのメシには、ナベの上下にオコゲがある。
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