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酒を愛する男の酒02

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:酒旗の風昭和二十四年四月の初め、私は国府津《こうづ》の駅を降りた。駅の北寄りの畑道を歩きながら、私は気が重かった。畑には
(单词翻译:双击或拖选)
酒旗の風

昭和二十四年四月の初め、私は国府津《こうづ》の駅を降りた。駅の北寄りの畑道を歩きながら、私は気が重かった。畑には菜の花が咲いていた。私は名取和作さんの家に、ひっそり身を寄せている歌人の川田順さんを訪ねるのである。
当時、川田さんは、歌のお弟子さんで京大教授夫人である鈴鹿俊子さんとの恋愛で世間をアッといわせた渦中の人である。
�老いらくの恋�というのが、川田さんに貼《は》られたレッテルであった。今日のように、マスコミが膨張していたなら、とっくに川田さん夫妻はテレビや週刊誌に追跡され、つかまっていたにちがいない。
しかし、その頃はまだのんびりしていて�老いらくの恋�の新家庭は手つかずになっていた。私の勤めていた「婦人画報」編集部は、のちに岩波写真文庫を創刊・編集した名取洋之助氏と親しいところから、洋之助氏の父君である名取和作氏の邸宅に、川田さん夫妻が身を寄せていることを知ることができた。そして私は、お二人の生活を雑誌のグラビア頁に掲載するために、国府津へ向ったのである。
名取和作氏の邸宅は、まことに広大であった。白い花をつけたからたちの垣根を境にして、小高い山の南斜面いっぱいに畑と森とが展開され、その中に大きな家があった。
川田夫妻は、名取さんの屋敷の離れに住んでいた。離れと母屋の間は、旅館などによくある渡り廊下であった。その頃の住宅事情では、その渡り廊下でさえ、すばらしい住宅であった。
初対面の私が訪問の目的を告げると、川田さんは次の部屋にいる鈴鹿さんの方をチラッとみて、
「庭をご案内しましょう」
といわれて、先にたって表へ出た。追いついた私に、
「私たちがここにいること、どうしてわかったんですか?」
というのが第一声であった。たいへんに困っておられる様子であった。春|酣《たけなわ》の名取邸の庭には、渾々《こんこん》と湧《わ》き出る泉があった。
「飲んでもいいでしょうか?」
私はむやみにのどがかわいていた。
「うまい水ですよ」
私は泉の水を飲んだ。川田さんも私と交替して水を飲んだ。どうしてここがわかったかということで、話はごく自然に名取和作氏のことになった。
「ぜいたくっていうのは、こういうことでしょうなあ。学者であり、実業家である名取さんが、その力を充分に持っていながら、第一線からしりぞいた、これはぜいたくですよ。しかも、うまいものをさんざん食べた人の行きつく境地なんでしょうけれど、自分で菜っぱや大根を作り、そのとりたてを食べる。乳牛を飼ってしぼりたての乳を飲む。ぜいたくでしょう」
そんな話をしているうちに、川田さんはだんだん元気になってこられた。
「うまいものっていえば、先生は何がお好きですか?」
「それが君、いつまでたっても書生料理が好きでね。天ぷら、すき焼き、うな丼《どん》っていうところかな」
端整な顔が明るい若々しい笑顔になると、一高時代の白線帽姿の川田さんが目に浮かぶようであった。私は川田さんが意外に若々しいので、老いらくの恋なんてとんでもないと思った。
邸内の森の茂み——それも私たちのすぐ近くから、けたたましい鳥の鳴き声がした。
「小綬鶏《こじゆけい》?」
「そう、不協和音ですなあ、この鳥は。しかし、肉はうまいんだよ」
老いらくの歌人にしては勢いがよすぎた。
話はピカソの新しい妻のことになり、土門拳さんの写真なら写していただきましょう、これ以上世間をさわがせたら申しわけないという心境で、なるべくひっそりとしていたかったけど、あなたからピカソの話をうかがうと勇気が出てきましたよ、ということになった。
川田さんと私は名取邸を出て県道をしばらく歩いて、一里塚に腰をかけ、満開の桃畑に入って木の下から花を眺めた。
空が碧《あお》かった。川田さんの話は面白かった。中国の詩人の、それも酒好きの詩人の話がしきりと出た。
「ところで、街には飲み屋が復活してるんでしょうか」
「私の社の近くの新橋には『蛇の新』というのがあります。文人墨客入り乱れて盛んなもんです。戦後いち早くカストリから始まって今ではビールも飲めるようになりました」
かなり遠くまで来てしまっている。川田さんは西の空の太陽を見て、
「まだちょっと日は高いようですが、ほんのすこしばかり酒がありますよ」
といわれて、今来た道をもどった。
名取さんの家のからたちの垣根が見え始めた。中国の詩に、友を訪ねると友は不在で、折から垣根のからたちの花が美しかった——そのからたちを、中国の詩では「枳殻《きこく》の花」と表現していますと川田さんは言われた。また、水辺に柳があり、それをすぎると小高い丘まで畑が続き、その一軒の家の軒先には紺色に白くぬいた酒という字の幟《のぼり》が見えて、その幟が風にハタハタと鳴っている。それを「酒旗の風」と表現していますが、「そそりますなあ」と、川田さんの足は早くなった。
私は離れの二間のうち、川田さんの書斎になっている部屋で馳走になった。
「運よく大きなサバが一本入りました」
ということで酒肴《しゆこう》になった。台所は例の渡り廊下のなかほどにあった。夕方になって鈴鹿さんが電気をつけた。はだか電球であった。
数日して、私は土門拳さんと一緒に国府津を訪れた。二日間にわたり、いろいろ取材させていただいた。そのグラビアには、川田順さんの文章もいただいた。題して「掬泉居《きくせんきよ》」。のどがかわいて私が飲んだ泉のことである。文章のむすびには、
 俊子に「歌が出来たろう」と訊《き》くと、「台所が忙しいので」と弁解しながら、左の二首を見せた。
しろき花咲けるからたちの垣根もて
麦の畠《はたけ》と家は境す
潮ざゐのかすか聞ゆるこの夜ふけ
山に響きて汽車も過ぎゆけり
 とあった。
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