日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

酒を愛する男の酒13

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:小人閑居すれば「小人《しようじん》閑居すれば」と、土岐雄三さんが晴々とした顔で言った。「閑居すればどうなります?」「ろく
(单词翻译:双击或拖选)
小人閑居すれば

「小人《しようじん》閑居すれば……」
と、土岐雄三さんが晴々とした顔で言った。
「閑居すればどうなります?」
「ろくなこたあ、ありません。とにかくおれはもうだめな男だと、しみじみ身に沁《し》みるばかり……」
だめな男などと言いながら、その言葉とは裏腹に、土岐さんの顔はいよいよ晴々しいのである。
それにしても土岐さんと銀座で飲むのは三月《みつき》ぶりである。というのも土岐さんは、「むこう三カ月、絶対に盛り場には足を入れない、一ト月三万円のお小遣で暮らす」と宣言したのである。
そしてその三月がたった。その苦難の三カ月が漸《ようや》く満願になって今日は晴れて銀座にやって来たのである。
ホステスの顔をうっとり眺めたり、ミニスカートからはじき出た若々しい|あんよ《ヽヽヽ》に視線を釘《くぎ》づけにしたり、今度は思い出したように室内をぐるりと見まわしたりする。
「ことの起こりは、ほら、鎌倉の瑞泉寺《ずいせんじ》にめしを食いに行ったじゃあないですか。川端さんを囲んで芹沢《せりざわ》さん、阿川さん、立野さん……、その立野さんは亡くなってもういないけれど、あの日、鎌倉から遅くなって銀座に舞い戻って……二軒目に行ったバーがありましたよね。そうだ、藤島さんも一緒だった。その藤島泰輔さんの懇意の店……あそこに着物のびっくりするほど似合う女性《ひと》がいたでしょう」
「着物を着た女性は何人もいたけど」
「その一人なんです。年甲斐《としがい》もなくいきなりポーッとなりましてね。みなさんには内緒でそれからというものは……。まあ、そういったことで昵懇《じつこん》になりましてね。ところが騙《だま》されてたんだな、結局。マンションの頭金とか、踊りの温習会とか、なんやかやで、一金百八十六万かかったとき騙されていたと気がついて……。これまでにこんなことばかり繰り返していましてね」
山本周五郎を師と仰ぐ土岐雄三さんは、伸びたさかやき寂しくなぜて……無駄金つかうが男の道、女に惚《ほ》れるということは、とりも直さずその女に金を使うことだと心得ている。それが男の甲斐性だと決めている。だから、
「その前のさる女は店を出さしてくれというので、少しばかり手伝ったことがあるんです。ほら、有楽町のガードを潜《くぐ》って『そごう』のところを右に行くと、小料理屋めいた店があるでしょう。え、ご存じない? ええ、ご存じなくて結構なんです。私だってケタクソ悪くて、『そごう』のところを右に曲ったことはありませんよ。うっかり忘れて前を通るときなど駆けだします。あの金が、一金二百二十三万。そのまた前のさる女性は月々のお手当が一金五万。あれはどれだけつづいたか……。ともかく、その頃の物価指数など勘案すると、あの頃の五万円は貨幣価値がありましたよ」
「お言葉中ですけれど、土岐さんの話には着物がよく似合うという以外は�一金……�ばかり出てきて、|さる女性《ヽヽヽヽ》の見目形や風情が一向に描写されませんね。行間に女性のエモーションがにじみでない」
「にじまなくても結構なんです。すべて決算済みで金に換算してあるんです」
と言って、土岐さんはさすがに自分から噴き出した。
行間から女性の情緒は生れてこないけれど、土岐さんの女話はいっそ、あっけらかんとしていてさわやかであった。そしてちょっぴりもの哀しかった。それから嘗《かつ》て銀行の重役の、それも型破りの重役であった余香もするようであった。
「そんなことでね、今度ばかりは私は決心したんです。もう一銭たりとも無駄使いはすまい、女のためには金を使うまい、金を使わせる女のいる盛り場には足を踏み入れまい。そんな決心をした晩に、池島信平さんにばったり会いましてね、つい、その感懐を開陳すると、あの池島さんという人は根っからのジャーナリストでさあ。お前さん、一ト月三万円のお小遣で三カ月暮してみないか。そして、その体験記を『文藝春秋』に書きなさい、というんです。おっちょこちょいだから、軽い気持で引受けましたね。それからが苦行のはじまり……」
土岐さんは苦行のはじまりのところで、水薬を飲むような苦っぽい顔をして、オン・ザ・ロックスをぐいと飲み、今度はぱっと明るい顔になって、
「願明けの日だけに酒がうまいや。銀座はいい。生きてる証拠だ」
「三万円で、小人閑居のときは……?」
「それなんです、子供はみな独立しちまって、海外にいたり別の家にいたりだから老妻と二人、九部屋もあるだだっ広い家にいるなんて、間《ま》が持てません。どうしようもないんです。人間、金を使わないとイキイキしてこない。仕方がなしにテレビを見る。今日《きよう》び、テレビってものは昼間っからドラマでね、ミニスカートの若い娘《こ》に初老の男が傾きかけている……、とたんにうしろで老妻の咳《せき》ばらい。『世の中には似たような人がいるもんですね』。あわててチャンネルを変えると、またぞろパンタロンの若い娘に中年紳士がよろめいている。おちおちテレビも見られませんよ。退屈のあまり鴨居《かもい》にぶら下ってテレビを見ましたが、これはちょいといけましたね。それから、双眼鏡で庭の池の金魚や鯉を見るのもおもしろい」
「双眼鏡で池の鯉を見るとどうなります?」
「いえね、家の池の鯉なんてたかが三千円ぐらいのものなんだけれど、双眼鏡で見ると巨大になりますなあ。時価三十万は下らない名鯉《めいごい》になります」
「三十匹いたとして計一千万円の鯉ですか、豪華な眺めです。とにかく鯉はいいもんですねえ」
「いえいえ、もうコイはいけません。コイは憂きもの辛いもの」
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%