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酒を愛する男の酒15

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:ビールを、もっとビールを私は新聞を読まないと、どうにも落着かない。新聞休刊日などは侘《わび》しすぎる。若い人に聞くと、新
(单词翻译:双击或拖选)
ビールを、もっとビールを

私は新聞を読まないと、どうにも落着かない。新聞休刊日などは侘《わび》しすぎる。若い人に聞くと、新聞はそれほどでもないが、週刊誌がなくてはという。その週刊誌にもいろいろな|向き《ヽヽ》がある。ヤング向き、女性向き、そして少年何々と唱えながら物凄《ものすご》い漫画が載ったりしている。電車の中や喫茶店で劇画ばかりの少年週刊誌を少年ではない大人が喜んで熱読しているとは、夢にも思わなかった。
かつて池島信平さんが「週刊誌で見たけど」という言葉を非常に嘆かれていたことがある。池島さんの嘆きは、「週刊文春」とか、「週刊新潮」という特定の誌名が出てこないで、ただ「週刊誌《ヽヽヽ》」という表現にある。それも読んだのではなく|見た《ヽヽ》というところにある。
つまり週刊誌は私たち日本人の生活に欠くことのできないものになったかわりに、大袈裟《おおげさ》に言えばやや嗜好《しこう》品の趣を呈してきたようである。特にこれから電車に乗るとか、旅をするとかいう時、駅の売店で買う感じは、タバコを求めるあの感じと似ているようだ。
今日の週刊誌の評価が如何《ど》うあろうと、日本の週刊誌時代の基礎を作ったのは、扇谷正造さんではなかろうか。ともかく扇谷さんの「週刊朝日」はすばらしかった。そして面白かった。私のような編集者には、一週間の区切りをつけるテキストでもあった。生活の単位でもあった。
扇谷さんは国立《くにたち》に住んでおられる。その国立に私も住むことになった。斯界《しかい》の大先輩の住む町にうつり住むにあたって、私は挨拶に伺った。扇谷さんの住む場所は国立といっても国立駅の北側で、駅のすぐ近くではあるが、行政区画では国分寺で、それも平兵衛新田というところであった。おそらく平兵衛さんが開拓した土地なのだろう。緑の多い、閑静な住宅地であった。
私が扇谷さんのお宅に挨拶に伺うのには、もう一つの理由があった。それは扇谷夫人が戦前、その頃は珍しい婦人記者をしておられて、それも、私の編集する雑誌の記者だったのである。つまり夫人もまた私の先輩なのである。
私が編集長になった時も、扇谷さんのお宅に伺った。扇谷さんは編集長のあり方を懇切丁寧に話してくださった。
例えば、編集者は読者より一歩も二歩も前を知っていなければならない。否、もっと前《ヽ》も見通さなければならない。また実際に前《ヽ》を歩くことも必要だ。しかし雑誌の編集にあたっては、読者の半歩前を編集すべきである。一歩前では前すぎる。
また一冊の雑誌で五百人の新しい読者を獲得すべきだ。欲張ってはならない。色気を出し過ぎるといけない。しかし五百人以下でもいけない。
そしてタイトルのつけ方も、その内容と同じくらい大きな意味があるという話もおもしろかった。扇谷さんの説によると、HOW・TOものを始めとして、タイトルはすべて七・五・三の縁起をかつぐべしというのである。つまり「日本の民主化を阻む三つの理由」「あなたを美しくする五つのポイント」等々——。その理由が二つであっても、方法が六つであっても、三つにし、五つにし、ともかく七・五・三にすることが読者にうけるコツだ、と言われる。私は名編集長の一言半句も聞きもらさないように敬聴したものである。
ある年の元旦、朝、目をさますと、妙に深閑としていた。起きて庭を見ると雪が積っていた。まだ小降りではあるが、粉雪が降っているのである。私は門のまえの道を雪かきした。年始に歩く人もなく、自動車《くるま》も通らない。静かというよりは、淋しいほどの元旦の朝であった。しかし、雪かきが済むころには雪もやんだ。私は思い立って扇谷さんのお宅に、年始に行くことにした。
一|瓢《ぴよう》を携えて平兵衛新田へ向った。一橋大学の前の大学通りも人通りがなく、私は新雪を踏む思いで歩いた。扇谷邸も深閑としていた。ベルを鳴らすと、夫人が出てこられた。
「おめでとうございます」
「おめでとうございます。ずいぶんお早いこと。ところで、あなたのさげていらっしゃるものは何ですか」
「ウイスキーです」
「ウイスキーはここの家では不要になりました。そこへ置いて、どうぞお上りください」
私は何か変な予感がした。応接間ではなく茶の間に通された。茶の間にはこたつがあって、こたつにどてら姿の扇谷さんがいた。いままで仮眠されてたようなたたずまいである。
「ずいぶん早いな、まぁ、めでたいんだろうな」
と言われた。その言葉に続いて夫人が、
「この家はひとつもおめでたくないんです。お正月なんか来てないんです。それに扇谷はつい先程、禁酒を誓ったところです」
えらいところに伺ったものである。そして扇谷さんが元旦早々禁酒されたいきさつが判った。
昨日、つまり去年の大《おお》晦日《みそか》、仕事を終えて午後三時頃、扇谷さんはスタッフと社を出て、おさめの盃《さかずき》をした。
一年の納めの盃はつい長くなった。七時に電話を入れて、すぐ帰ると言った。九時に電話を入れて、すぐ帰ると言った。何軒目かの店で紅白歌合戦が終り、次の店で除夜の鐘が鳴った。
その頃には家にした電話などは忘れてしまった。そして草深い里へご帰館あそばしたのは元旦の午前三時を過ぎていた。雪が降り始めていた。
長年、新聞記者をし、週刊誌の編集をする主人《あるじ》を送り迎えした家である。午前三時など何でもないのだが、日が悪かった。扇谷さんは大いに反省し、そして禁酒を誓わされたのである。
正月の客膳が私の前にある。夫人のお酌で私は酒をいただいた。雪見酒である。こたつの中から扇谷さんが私を見ていた。何とも落着かない酒であった。
新しいお銚子《ちようし》をとりに夫人が立つ。
「うめェか?」
と扇谷さんが小声で聞く。また夫人がお銚子のおかわりに立つ。
「ビール、ビールを飲みなさい」
私はビールがいただきたいと夫人に言った。
夫人が何かの用で席を立つと扇谷さんが、
「そのコップを早く!」
と言う。すばやく私のグラスを扇谷さんに渡す。空のコップを受け取る。そんなことをくり返しているうちに、|手渡し《ヽヽヽ》の最中にとうとう夫人に見つかってしまった。
「矢口っつぁんの説によるとビールは清涼飲料水だそうだ。ドイツでは小さな子供まで飲んでるそうだ」
夫人が新しいグラスを持ってこられて、そのグラスにビールをなみなみとついだ。
扇谷さんと私は、ビールのグラスで新年の乾杯をした。こうして扇谷正造さんの禁酒はわずか数時間で、破られたのである。
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